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新現実 いちばんあたらしい文学がここにある。 Vol.01 みんなのレビュー
- 東 浩紀 (責任編集), 大塚 英志 (責任編集)
- 税込価格:922円(8pt)
- 出版社:角川書店
- 発行年月:2002.9
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ムック
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紙の本
【エヴァ】に乗りたくないジジイが「新現実」を購入した。まちがい?
2002/09/28 13:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【新現実】創刊号を還暦間近いジジイは「お呼びでない」と恥じらいつつ買ってしまったのは東浩紀×大塚英志の対談「工学 政治 物語」を読みたかったからである。かって、「批評とおたくとポストモダン」(小説トリッパー2001夏季号)で、ふたりは現代思想の今をジジイにも腑に落ちる説明をしてくれたし、今度もふたりして、ジジイの頭を風通し良くしてくれるのではないかと期待したわけである。特に大塚は吉本隆明との共著〔だいたいで、いいじゃない〕で(エヴァンゲリオン)を生真面目に鑑賞した吉本に懇切丁寧に解釈し、その説得力に吉本のみならず、私も首肯したのであった。だが彼の解釈で何となく見たような気になり、未だに未見であるが、本音は恐ろしく忍耐力を要するアニメだろうと、危惧するからである。福田和也と9.11以降を語った対談も意識的に東(右)と西(左)の立場を明確に、ただ倫理の一点だけは踏み外さないで真摯に問題の有り様を炙り出してくれたし、大塚英志は対談の名手だなと常々思っていた。それに東浩紀著〔動物化するポストモダン〕の「動物化」が気になっていたのだが、さすが、大塚はそれは19世紀末フランス自然主義のゾライズム的な人間観で人間を「動物」として生物学的に記述する態度と変わりないのではないかと言う。まあ、大塚が物語の側から東は工学の側から四つに組み、何とか中央の政治の場に引っ張り出そうと面倒見の良い大塚が「倫理」「作家性」「固有性」と様々な言葉を東に投げつけるが、彼はシミュラークルな主題のない物語(情報工学)で抵抗する。近い将来、東以降の若い世代は年寄り達の付けを背負わされるのが目の前に見えるのに政治にコミットしなくても、やり過ごす事が出来ると高を括っているのか、余りに絶望が深いが故にホワイトアウトの状態で微かに発信する生理的欲望だけに反応しているのか、ホンマにジジイには判らない。フィギャア人形、ギャルゲーに向かう欲望の構造も判らない。「セキュリティか自由か」の二者択一ではなくて、個々人が「倫理」を持たなければ自由なんて有り得ないし、そこから生じる責任がセキリュティを保証する。倫理は「美」「内在規範」なのだ。だから、若い人達に言える事は早く自分達の「倫理」(大きく無くても良いソコソコの物語)を作らないとヤバイという危機意識を老婆心ながら、持って欲しいと言うしかない。メインカルチャアとサブカルに接木して見通し良い視野を持っている大塚は若い子達の尻に火を付けて【新現実】の舞台に押し上げ彼らに意味ある言葉を喋らそうと企んだ心優しい演出家なのかもしれない。御健闘を祈ります。でも、やっぱ、このムックは私が買うべきではなかったのかなあ……。どうか、若い人達、買ってやって下さい。
追記:ところで、〔海辺のカフカ〕を読了したのだが、大塚はーデーターベースからのサンプリングで物語を作っている点で自分とオウムは同じだと村上春樹は告白する。オウムの事件が起きた時に彼は一度目をそらしたという事実を表明した上で、じゃあ、麻原の表現を自分の表現がいかにして乗り越えられるのか、どうやって、ジャンクでしかない表現がジャンクの外側の現実と関わっていくことが出来るのかというのが村上春樹の意思表示だったわけだよねーと語る。確かに私はカフカの父たるジョニーウォーカーに麻原の姿を重ね合わせた。しかし、最も気になったのはナカタさんであった。唐突に【イエスの箱舟】のおっちゃんを思い浮かべたのです。猫たちはおっちゃんの信者達であり、犬はオウムの信者と勝手な妄想を抱きました。おかしいかな。
紙の本
著者コメント
2002/07/19 18:26
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投稿者:東浩紀 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大塚英志氏に誘われて、いつのまにか「共同編集」になった。もともとは二人の対談本企画だったので、その名残りで創刊号は対談が大半を占めている。ほかの寄稿はすべてサブカルチャー寄りだが、これは、とにかく若い読者に読んでもらいたいという両者の希望が反映されたものであると同時に、準備期間の少なさが現れた弱点でもある。次回以降はもう少し社会批判色の強い雑誌にしたいと思うが、なにせ、大塚氏と僕、そして角川書店では立場が違うので、どこまでその希望が反映されるかは分からない。とりあえずいまは第3巻までの発刊が決まっている。全巻買っても3000円になりそうもない安価な雑誌なので、冷やかしがてら、手にとっていただけると嬉しい。高価なゲームやDVDがどかどか売れているなか、この「商品」にも、少なくとも880円分の価値はあると思う。
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