わが人生の案内人 みんなのレビュー

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投稿者：未来自由　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　「人生の案内人」。いまではあまり使われなくなった「先達」という言葉を「人生の案内人」として紹介している。著者の人生の一部を知ることが出来る書でもある。
　人生の中で出会った人々から何を学び、何を吸収したのか。本当に沢山の出逢いが著者の背景にあることを感じさせてくれる。
　読み終わっていろいろなことを感じたが、二つだけ紹介したい。
　ひとつは、五味川純平の「戦争と人間」の膨大かつ詳しい巻末註を担当した著者の姿勢。謙虚な姿勢におもわず唸ってしまう。どれだけ大変だったろうと思うが、そんなことはおくびにもださない。勉強になったという姿勢が一貫している。
　もう一つは、小林多喜二が愛したタキさんの手紙。タキさんからの手紙の一部が紹介されている。タキさんの心境をうかがい知ることのできる貴重な資料だろう。
　「私は学校もろくに出ず、何の教養もない事を恥ずかしく、それに母と小さい弟妹等のこともあり、小林との結婚をお断りしました」「私は何も持って居ません。それを恥じて、小林との結婚を辞退した人間です。今になって生き恥をさらしたくはありません」
　多喜二のプロポーズを辞退した心境が語られている。そんなタキさんの健康を祈りたい。