紙の本
50年前に書かれたが古びていない
2022/12/19 08:47
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
1972年だからちょうど50年前に出された著作。論理哲学について書かれた本として当時は貴重だったはず。著述スタイルは非常に簡潔で、200ページ少しの中に様々なトピックを折り込み、さらに自身のスタンス、見解もしっかり述べている。新書という制約の中でもこれは立派で、今となってはもっとかみ砕いた本もあるだろうが、今になっても大変な好著。
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論理学や哲学におけるさまざまなパラドクスを紹介し、それについての考察をおこなっている本です。
論理的パラドクスと意味論的パラドクスの基本的な解説がおこなわれたあと、言語分析の立場から哲学上のいくつかの問題についての議論が展開されています。とりあげられているテーマは、同一性と普遍の問題、自由意志と行為にまつわる問題、他我認識の問題などです。著者は、それらの領域に見られるさまざまな問題について、「漠然と常識的に考えられていたことを、明確化してパラドックス的事態にまで追い込む」ことで、言語分析的な手法による解決に近づいていくことができるという立場をとっており、このような見通しにしたがって哲学史においてさまざまなかたちで論じられてきた重要な問題について分析をおこなっています。
著者の哲学的立場が明確に打ち出されており、たんにさまざまなパラドクスや哲学上の難問を紹介しているだけの本ではありません。もちろん本書によって最終的な解決がもたらされたとはいえないのでしょうが、上述のような手法にもとづいて複雑な哲学上の問題を解きほぐそうとする姿勢には、好印象をいだきました。