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あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集 みんなのレビュー
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紙の本
作家人生を俯瞰できる短編集
2003/01/04 09:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
初期から後期までの作品が集められているこの短編集では、日野啓三の作風の変遷や、韓国、ベトナムなどに滞在した経歴を知らずに読んだ人は、内容のバリエーションの幅広さにとまどうだろう。私小説からSFまで、である。
だが日野はいろいろなジャンルに挑戦する、といったタイプの作家では無い。一貫して自己の内面から湧き出る声に忠実に創作を続けて来た。作風の変化もそれに忠実になぞった結果だ。その視線が、身のまわりの環境や人間関係から、次第に「都市」というものへ移って来たことはよく知られていることだ。
だが日野の描く対象は、都市そのものではない。「ここはアビシニア」中で述べられている新進写真家の写真集「世界という廃虚」では、なにが写されていないかということが重要なのだと評されたのと同様、都市という環境によって人間が失ってきたもの、都市の外側にあるものが注視されている。それはたとえば動植物であり、大地、風、宇宙、そしてそれらを統べる物理法則にまでいたる。目に見える欲求や世間や社会といったものではなく、もっと根源のところで人間の行動を支配する、目に見えない要素の方に日野の関心は移ってきた。
結果として作家人生を縦断する形で集められたこの作品群を通して読むと、日野の視線がそういった環境の変化と、それによってもたらされる人間の変容へ移っていった流れ、つまり作者の変化を見て取ることができる。
電子書籍
陰湿な話って、いいですよね
2019/01/27 21:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞作家・日野啓三氏の短篇小説集。1974年の下期に表題の「あの夕陽」で受賞している。この作品が、とても陰湿で、とても好きだ。好きで結婚したわけではなく、なんとなく結婚してしまった妻、でも、いつも従順な妻。でも、男は韓国特派員時代に知り合った朝鮮人と付き合っている。なんとか別れたい、別れ話を切り出したいと思っていた矢先に妻の方から、「相手が日本人なら絶対わかれない。朝鮮人なら別れてもいい。でもあなたにそんな度胸があるのか」とすごまれる。舐めていた妻から反撃を食らうのだ。離婚に行き着く前に、この話は終わってしまうのだが・・・まあ、もう夫婦ではいられないよな
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