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12ヶ月の花をモチーフにした、12の掌編。400字にみごとに起承転結が凝縮されている。一編一編が、まるで萩尾望都の短編漫画のような透明感に満ちている。3月すみれ(転校生アキの話)、4月ライラック(スイスの難民の子マリのお話)が好き。
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辻邦生の短篇集。
花関連の雑誌に連載されていたらしく、一月に一つの花がテーマとなっていて、12ヶ月分を集めた小品。挿絵には山本容子さんの銅版画が収められている。
あとがきや挿絵を含めて100ページちょっとなので、どちらかというと掌集と言った感じ。
辻邦生というと自分は「言葉の箱」という文章指南の本を手に取ったのが一番始めの出会い。その流れで一回は氏の小説も読んでみようと思い、値段も手頃だったので購入した。
購入したのは数年前だったが、結局今までまともに読まずに置いてあった。なので、この度通して読んでみた。
とにかく文字数が少ないので、ワンシチュエーションにワンエピソードが主体。文章も淡々としていて、展開も駆け足である。
そのため、どうしても感情の積み上げに欠けてしまう部分があり、話も劇的と言うには少々物足りない物が多い。そのため、個人的にはあまり評価は出来なかった。
ただ、レクイエムというタイトルが示すとおり、死や別れが一つのテーマとなっていて、品のある文章に、そこはかとない哀愁が滲んでいる。文末には仄かな感動が得られる物もあった。
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山本容子氏の挿絵に惹かれて手にしたけど、辻邦生氏って、高校の国語の教科書に載っていたなぁ・・・などど思い出しつつ・・・1月から12月まで、季節の花をとりあげ、短いお話と美しい銅版画の挿絵でさらさらと読ませてもらいました。6月って、やっぱり紫陽花なんだなぁ。
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とても綺麗な本でした。昼下がりに紅茶を飲みながら読書をする奥様、みたいなイメージです。挿絵も素敵で楽しめます。文字も少ないので比較的誰でも楽しめる様な本だと思います。
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短編12章。1年12ケ月、季節ごとに咲く美しい花を題にし繰り広げられる短編物語、短く美しい文章に魅了される。とにかく美しい文章に心が動く。
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辻邦夫、きれいな物語を紡ぐ作家で、安土往還記などの名作もあるが、この小品は、戦前のころのプチブルジョアの臭さが鼻につく。
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切ない内容ばかりの短編集。
この本を読みたいと思ったきっかけは、
最近、ある模試の国語の試験問題を見たのだが、
そこに問題として出題されていたからだ。
本の題名と作者名をこっそりとメモして、
古本屋、本屋と探し、最後に大学図書館で見つけた。
人が亡くなったり、外国へ行くということで離ればなれになったり
という内容が多いが、それは当時では普通のことだったのだろうか。
そして当時というのは、戦争前後のことだろうか。
詳しくは分からないけれども。
儚い内容に加えて、挿入してある
銅版画の絵も非常に味があり、
この本の切なさ、儚さをより一層引き立てていると思う。
裏表紙の説明に「文学と絵画が深く共鳴しあう、小説の宝石箱」とあったが、
まさしくそうで、
その一文がこの本を物語っている。
誰かに贈りたくなる素敵な本だった。
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こよなく魂が憩う本でした。
小説家辻邦生氏と銅版画家山本容子さんとのコラボレーション。
山茶花、アネモネ、すみれ、
ライラック、クレマチス、紫陽花、
百合、向日葵、まつむし草、
萩、猿捕茨、クリスマス・ローズ
ひとつひとつの花を短編にしたてて。
それぞれの花の銅版画もあって。
ちょっと「ジュニア ソレイユ」の挿絵入りの小説を思い出した。
吉屋信子氏の「花物語」は私の時代でないけれど、きっと思い出す人がいる。
奥付をみると「挿花」という雑誌が初出だから。
でも、辻氏のこの短篇には気品がありました。画に花の香りがしました。
私の好みは物語では「紫陽花」「向日葵」画では「すみれ」「まつむし草」。
「紫陽花」
紫陽花をとめどなく好きな母に育てられたヒロイン。
『眼をつぶると、いつも雨に濡れた紫陽花が見える。』
そして、『その花影に誰か男の人がいるように』...実在のひと?亡くなったといわれた父?
鎌倉の紫陽花寺でデジャヴュを感じ、一緒に来ていた研究室の先輩が、人影その人になり恋を感じ結ばれる。
白い結婚衣裳を直してくれる母の手、『私はふと、実は私が母であり、自分の娘に』私が直してると感じた。
母と娘の空想的な理想というか、本当にそうかもしれないと感動してしまった(涙)
「まつむし草」の版画がとても可愛いんですよ。
花のひとつひとつがバレエのチュチュで、踊っているよう。
今度花に会ったら、そう思って見てしまいますね。この絵がほしい!
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短い物語が12編収録されています。一月は山茶花、二月はアネモネ、三月はすみれ・・・・・・といった風に、それぞれの月に合わせた花、文学、版画が物語を構成しています。どこか懐かしさを感じます。記憶の奥底に眠っていた思い出の引き出しを開いてくれる、そんな作品。