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みんなのレビュー14件

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紙の本

私がこのタイトルで思い出すのは夢野久作の本ではなくて、有栖川有栖『スイス時計の謎』に出てくるロックバンドなんだね

2004/01/02 20:13

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

単行本は1993年に他社から出版された。東雅夫の解説によれば、『黄泉がえり』が好評なため、新潮社が梶尾の他社の作品で埋もれたものに目を向けた気がする。それはともかく、このタイトルを見ただけで、ミステリファンなら、すぐにピンとくるだろう。有栖川有栖『スイス時計の謎』の「あるYの悲劇」に出てくるインディーズ系ロックバンド〈ユメノ・ドグラ・マグロ〉だ。

いやあ、10年も前の本に今出たばかりの短編の話が、うん、これってミステリだねと思える人は、かなりのマニアで、案外若い人は素直に信じてしまうのではないだろうか。もちろん、有栖川の短編の話は本当だが、梶尾真治が意識したのは、戦前に出版された天下の奇書、夢野久作の『ドグラ・マグラ』であることは、たしかに間違いがない。

それは東の解説を待たずとも、冒頭の「…ヴィイィーンンンーンンンー。」や、舞台が古い大病院であり、夢野のそれは脳病院が舞台であったのに対して、こちらは総合病院とはいうものの、痴呆気味の老人の入院患者が多いなどという点が、似ていないわけではない。ICUに入院しているのが右翼の老人、福岡久作というのは、九州の地名と夢野久作を足して二で割ったとも言える。

由井美果は、横嶋市立第二高校を卒業後、高等看護学校にはいり、今年から培尾総合病院に勤務し始めたばかりの新人看護婦。これは彼女が経験した、悪夢のような深夜勤務の話である。彼女と一緒に夜勤をするのが柚桂子、先輩たちいわく悪魔のような婦長で、美果が見る限り50代というよりは30代に近い女性。

夜、寮から出てきた看護婦に車の中から声をかけてきた、チンピラと呼ぶのも恥ずかしいような二人のバカガキは19歳のフリーター鶴井薫平と塗装業の見習い小山亀吉。彼らに追われたことを告げようとした警備員のうち、酒に溺れて婦長に怒鳴られている60代の老人がケンタッキーこと内藤。

高野千晶、ボーイフレンドの岡田達行、50代の会社員、20代のインターン、30代の離婚早々の男、45年以上天井裏にひっそりと潜んで暮らすジョン・デュー・キルロイ、尊皇攘夷を旨とする防共創櫻塾の塾長の福岡久作、90歳近い老人、塾の先輩でお姐言葉を使う30代の巨漢の早乙女、生き方に迷い福岡に救われた16歳の少年小泉瀬彦。

ICUにいる福岡の様態が急変した。コールに返事をしない安田医師を探しに行った由井が見たものは、部屋で首を切断された男の姿だった。深夜に響き渡る絶叫。彼女たちに忍び寄る、妄想にとらわれた二人のチンピラ。そして、どこからともなく現れる謎の生き物。恨みを抱いた軍人の幽霊。

これは決して『ドグラ・マグラ』の世界ではない。解説の東も、最初のうちは久作に捧げられたオマージュみたいな書き方をしているが、途中で無理に気付いて、アメリカのB級SFホラー、あるいはスプラッター・ムービーと言い直している。たしかに、そのほうが判りやすい。それは話の流れにも言えて、東がいうように夢野の作品が、閉じた迷路のような構造であるのにたいして、梶尾の作品は、もっとシンプルで、どちらかというと誰にでも楽しめる、ただしその分「孤高の」といった独特の高みをもたない作品にはなっている。

少なくとも、この作品はパロディでもなければパスティーシュでもない。あくまで、夢野の世界のほんの一部を利用した、まったくの別物で、ここまで違うと、むしろこじ付けのようなタイトルころ、不要ではなかったのかと言いたくなる。そこで、有栖川の『スイス時計の謎』インディーズ系駆け出しロックバンドの名前〈ユメノ・ドグラ・マグロ〉になる。どうも、私にはこの名前のほうが、口にしやすくって記憶にに残るんだなあ、これが。秀才梶尾だけれど、私は『黄泉がえり』を薦めます。もちろん、骸骨のように痩せた薄気味悪いアイドルが出る映画ではなくて、小説のほう。何度読んでも、涙がでてくる。

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2004/10/24 13:03

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