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紙の本
親が自由に振舞うから、子供も自由に生きる。なんと逞しい子供たちであり、寛容な親なのだろう。でも、私にはそれが幸せというよりは、寒々しく思える時がある
2005/03/16 21:15
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分はモンゴル、妻はチベット、息子はアメリカ、そして娘はアメリカから一時的に帰国。そんな家族が揃うことのできる場所は」私小説。
エッセイとも自伝ともつかない、世界を活動の舞台にするシーナさんの家族の驚くべき日常が淡々と描かれる。
いいなあ、この装丁。黄色と白いシャツ、それから上のほうにあるロープの感じ。裏を見ると白い、多分トランクスがひるがえって。それにカバーの紙のザクッとした質感。たまらないなあと思っていたら、やっぱり南伸坊だった。今、南は新境地に立っている、というのが私の思い。ま、黄色いに弱い私ではあるのだが。
で、小説のほうは、新境地ならぬ安定した私小説路線のシーナさん。全体は12章。引越しの顛末を描く「桜の木が枯れました」、あれ、つい最近も読んだことがあるなあ、何だろう。これって再読かなあ、と私を不安に陥れたけれど、それは『ニューヨークからきた猫たち』だった。引越しが終わって、何かが心の奥に棲みついてしまったシーナの「高曇りの下のユーウツ」。緑に囲まれた郊外の一戸建てから、都心への移住。他の本でもお馴染みのチベット人のツャンが出てくる「窓の向こうの洗濯物」、都会でなければ味わえない風景がいい。
アメリカに行っている娘と息子が母親の体調不良を気にして何年ぶりかで集まる。新しい家の場所を知らないままに帰国した息子とのやり取りが面白い「東京の白い夜景」。NHKの「ようこそ先輩」の取材風景と、思わず熱くなっていく自分「冬の椿の山の上」。病院の屋上に住み着いた男が調理する美味しい匂いが患者に嗅ぎ付かれて「屋上男の見る風景」。
モンゴルのナーダムと、ラサにいる妻を思う「エルデネ村の狼狩り」。スコットランドを娘や取材チームと行く「アザラシのためのコンサート」。WTCへのテロとミャンマーへの旅、そして沖縄の食堂で出会った光景「波止場食堂のノラ犬たち」。北海道の別荘に家族が集まって「雪山の宴。キタキツネの夜」。九州の漁港を仲間達と取材をしていく「イイダコの水鉄砲」。九年ぶりに訪れたパタゴニア。息子のためにベルトのバックルを作ったことがあるプンタ・アレーナスで、その息子と再会する「プンタ・アレーナスの金物屋」。
静かな私小説だなあ、と今回も思う。それを特に感じるのは、モンゴルの風景を描いた「エルデネ村の狼狩り」。更年期に差し掛かった妻が、チベットにいって体の変調を乗り越えていく部分も、他の本で読んだ気がする。そのせいか妻の体調より、メキシコに行っているという息子の行動力のほうに感心が向く。この章、椎名はモンゴルにいる時に、奥さんはチベット、娘は日本、息子はメキシコと、一時代前ならば考えられないようなバラバラな場所で過ごしている。それがシーナ一家の日常だというのだから、私などには想像できない。
ただ、それが羨ましいかといえば、そうではない。家庭の荒廃すれすれのところでの自立。考えてみれば、椎名は若いときから、両親と生きるというよりは、友人と暮らしてきた。それを見てきた子供たちも、親に対して同じように振舞う。普通の親なら、でも自分たちが望む時は、子供といたいと虫のいい思いを抱く。しかし、椎名は子供たちの自立を、いや妻の自由な生き方をすら受け入れる。ここが椎名の家庭が、普通の家庭と異なる点だ。繰り返す、私はそれが素晴らしい、とは思わない。
紙の本
椎名さんの日常
2016/02/29 13:56
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投稿者:honyomi - この投稿者のレビュー一覧を見る
椎名さんの日常に関するお話で、
SF以外の書籍はこれしか読んだことがありません。
家族の話であったり、いろんな場所への旅の話があったり、
いい事ばかりではありませんが、
ゆったりとした時間が流れる本だと思います。
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