紙の本
城山三郎だから面白い渋沢栄一
2019/05/09 15:56
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
城山三郎が上下二巻にわたる「わが国屈指の実業家」渋沢栄一の伝記小説を執筆したのは1971年のことだ。
『総会屋錦城』で第40回直木賞を受賞したのが1959年だが、70年代の城山といえば高度経済成長で加熱していた日本経済とともに最も脂の乗り切った時期かもしれない。
その当時のサラリーマンの愛読書には必ず城山作品がはいっていたのではないだろうか。
そんな城山が描いた渋沢だから、下巻にはいよいよ実業の海に乗り出していく姿が描かれていくことになる。
実業家渋沢の姿だけでなく、下巻では誕生したばかりの明治政府の政治家の姿も活写されていく。
そのうちの一人が大隈重信。新政府の役人に推挙されそれを断る渋沢に慰留をした人物である。
その時の言い草が「われわれみんなが八百万の神々なのだ。きみも、その神々の中の一柱」と言われて感銘を受けることになる。(この挿話は上巻)
あるいは、大久保利通とのこと。江藤新平の話。もちろん、西郷隆盛のことも描かれている。
つまり渋沢が生きた時代はそんな「神々」が跋扈していたのだ。
もちろん、渋沢も役人を辞めて後もそんな「神々」であったことは間違いないが。
下巻で最も面白いのは渋沢とは対極にあった岩崎弥太郎との対談場面だろう。
岩崎との考え方の違いを描くことで、渋沢の生き方も明確になる。
これはその時の一節。
「あらゆる人に、同じようにそれぞれとりえがあるという考えを、栄一はすてることができない。そのとりえを吸収し、結び合せてこそ、はじめて人生の大事を成就することができると思う」。
渋沢にしろ岩崎にしろ、あるいは大隈といった政治家にしろ、そんな「神々」がいたからこそ、この国が現代にまで続いたのかもしれない。
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渋沢栄一に興味津々
2016/07/04 04:33
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投稿者:ちぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
じっくり読んで、自分の人生と照らし合わせています。
とてもとてもまねのできる人物ではありません。
しかし、雲の上の人と思えても実際に存在していた人物ですし、現在、渋沢栄一が平成の今日に生きていたら、どんな世の中になっていたのだろうなどと思いめぐらすだけでも楽しさが倍増します。一度、深谷と王子に足を運んでみたい気になりました。
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幕末の見方が変わります
2016/01/31 19:00
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投稿者:V-UP - この投稿者のレビュー一覧を見る
渋沢栄一を知るために買ったのに、徳川慶喜の偉大さが知れた。幕末の見方が変わる一冊だ。幕末好きの方にはお勧めの一冊。
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生涯に設立に関わった事業の数は約500、キリンビール、みずほ銀行・・・日本が誇る実業家である渋沢栄一の生涯をつづった本。晩年は慈善事業など、公益のためにつくした。その功績が認められ、百姓出身にもかかわらず子爵を与えられている。著者は、経済小説の第一人者である城山三郎。
(小谷)
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政府に入ったり、政府から出て民業に身を投じたり、動きがすごい。アントレプレナーシップを書き立てられるが、人生の後半部分がかかれていないので、先を知りたくなる。
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●2018/5/1
再読。
なんだろう?
城山にしてはおもしろくない。
両渋沢のキャラクターは好きだわ。
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生涯で500の民間会社と600の社会事業に関係した渋沢栄一。
同時代を生きた人間達と比して大きな違いが果たしてあるのでしょうか。大にすれ微細にすれ、違いがあるとすればそれは何だったのでしょうか。またそれは一人の人間が生きていくうえでどれほどの違いになっていくので...
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渋沢栄一が明治新政府に招かれ大蔵省に入った以降の話。
大人物として描かれている渋沢はなるほど気持ちのよい性向であり、
日本を代表する実業家として活躍している。
倒幕攘夷の浪士、一橋家の幕臣、新政府の高官、実業家
と次々に転身していく姿に不快感を抱く人がいるかもしれないけれど、
俺は与えられた運命に背かず、その場を懸命に生きようとする姿に惚れました。
-my bookdarts-
「力ある者は力を、智慧あるものは智慧を、金ある者は金を出し合う。政治もそうだが、実業の世界は、よけい、そうでありたい」
好んで争うことはないが、人生、衝突を避けるわけには行かない。人間には、まるくとも、どこかに角がなければならぬ。まるいだけだと、ころびやすい。正しいことは、ゆずってはならぬ。
あらゆる人に、同じようにぞれぞれとりえがあるという考えを、栄一はすてることができない。そのとりえを吸収し、結び合わせてこそ、はじめて人生の大事を成就することができると思う。
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すごいと思ったのは結果にこだわる老練さと時代をよみ行動を変える柔軟さ。やりきった後に省みて行動を変えられるか、やはり器の大きな人だったんだなぁ
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渋沢栄一の名前は、教科書で聞いてはいても、主人公にしている小説を始めて読んだ。
そんな中で、この時代の特有の熱気のようなものを感じさせながら、しかも私欲を排し、大局的なものの見方をするこのような人物が、今の時代に必要なんだと感じさせられました。
銀行の原点なども感じることが出来ますし、商売、金融の世界に入ろうとされる方には読んでほしい本です。
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明治が夜明けを迎える時代に渋沢栄一が民間側から起業と国家の形成に挑む人生を綴った書。
主な登場人物:渋沢栄一、徳川慶喜、井上薫、大久保利通、三野村利佐衞門、西郷隆盛、他。
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政府に出仕し、調整役としての才能を発揮し、ついに日本初の合本組織の立ち上げとつづく。岩崎弥太郎率いる三菱との海運業の競争など。
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その偉業のわりに世間様に知られていない我が故郷出身の偉人、渋沢栄一翁の生涯を描いた時代小説。自分の故郷の描写が、そうそうその通りと頷けてうれしい。早々からお札の顔になることが検討されていたらしいが、ひげがないために延び延びになっているそうな。偽造印刷防止の技術も上がったことだし、そろそろ……と期待しつつ。
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しばらく前に読んだ、宮本常一と渋沢敬三を扱った本で両者に興味を持ち、渋沢敬三のことをもう少し知ることが出来るかな、って思って手にとったのが、敬三の祖父である渋沢栄一の伝記である本書。栄一の、まだ比較的若い時点で物語は終わっているので、渋沢敬三のことは全く触れられていない。が、渋沢栄一の伝記そのものが面白かったので、それは別に構わない。
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八百万の神々が知恵を持ち寄れば。
渋沢栄一のその謙虚さと行動力に感心させられる。若いころの栄一がどのような経験をしてそこに至ったかを知るのも面白い。渋沢栄一のような社会になれば、万人がしっかり働いて生きていける。