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アクロイド殺し みんなのレビュー
- アガサ・クリスティー (著), 羽田 詩津子 (訳)
- 税込価格:1,056円(9pt)
- 出版社:早川書房
- 発売日:2003/12/01
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文庫
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紙の本
フェアもアンフェアも関係ない。心地よく酔えればそれで良し。
2011/07/09 15:04
19人中、19人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:道楽猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の姉が、高校生の頃一時海外ミステリにハマっていて、特にアガサ・クリスティは大のお気に入りだったので、家にはほとんどの作品が揃っていた。
にも関わらず、当時中学生だった私は、そんな姉を「下賎な民よのぅ」とナナメに見下ろして、トルストイだのブロンテだのを知ったかぶりして読みふけっているスットコドッコイな似非文学少女だったので、姉のコレクションなぞには全く興味がなかった。
なんて勿体ない。クリスティもクィーンも読み放題だったのに。今から思えば宝の山だよ。
人は、失ってから無くしたものの価値に気付くのだよね。(しみじみ)
月日は流れ、今やすっかりミステリファンとなった私だが、読んでいるのは日本の作家の、それも最近の作品ばかり。海外ミステリにはとんと疎い。
作家の名前だけは色々知っているが、実際に読んだことは全くと言っていいほどなかった。
で、まずは、かつて姉が大いにハマっていたクリスティを読破しようじゃないか、と思い立ったわけだ。
「アクロイド殺し」(姉が持っていたのは「アクロイド殺人事件」というタイトルだったと思うが)は、その中でもクリスティを一躍世に知らしめることとなったという意味で、金字塔とも言える作品である。
とは言え、まったく予備知識はなし。
「オリエント急行」と「そしてだれもいなくなった」は何故か犯人を知っているのだが、こちらは「なんだか評価が分かれて揉めたらしい」「クリスティずるい」と言われたらしい、というぐらいしか知らなかった。
で、読み終えて、「なるほどなぁ」と唸った。
今でこそ、こういった仕掛けは珍しくもないが、当時としては実に画期的で、しかも大冒険だったんじゃなかろうか。叙述ミステリーの先駆けとも言える本作品は、なるほど確かに実によく練り込まれていて隙がない。
そして、人物描写がとても巧みであることにも驚いた。
ほんの少しのセリフと仕草でその人物の人となりを的確に表現する。簡単そうでこれはなかなか出来ることではない。クリスティはそれをさらりとやってのけている。
ポアロは、私のイメージとちょっと違っていて意外だったのだが、なるほどなかなか食えない探偵だなと苦笑した。
さて、前述の「クリスティずるい」の部分だが。
私は「別にずるくないよね」と思った。ミスリードに引っかかったのは読者の勝手な思い込みのせいだし、伏線は至るところにばら撒かれているので、気付かないのは、これも読者がマヌケなせい。
でも「ずるい」とじたばたしてしまう気持ちもよくわかる。
そしてそれこそが叙述ミステリーの醍醐味なのだ。
人は騙されると腹も立つが、逆にその毒に引き込まれ、「もっと巧く騙してほしい」と望むようにもなる。
手品は、タネも仕掛けもあることをみんな知っている。それでも騙されたいと一流のマジシャンの元に人は集まる。
思えば、お酒だって人の感覚や感情を騙すものだよね。
きっと、みんな何かに"酔いたい"んだなと思う。
本格ミステリの真髄に触れたい人は、この本を読むといい。
心地良い酩酊に、頭の芯が熱くなる。
紙の本
賛否両論?
2014/07/31 20:31
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yami_aru - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典的名作・・と評されますね
私も子供(中学生)の頃からネタバレ状態で読んで、この年になって35年ぶりに再読しました。
やはり「名作」です。
きちんと手がかりも提示されていますしアンフェアな要素はありません。
ただ本筋とは関係のないいろいろな事象をどこまで取り除けるかが真相に近づけるかですが、まず無理でしょう。
ヘイスティングズが登場しない分、いらいら感がないのですが、まあそこは読了後のお楽しみ♪
ポアロ引退させてもらえないですね。
紙の本
やっぱり普及の名作
2016/01/17 21:55
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アジア坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリファンなら知らない人のない今更ながらの名作。
「アクロイド殺しをミステリ初心者に薦める無邪気さ」という意見もありますが、私は是非初めてミステリを読む人に薦めたい。
このトリックに関する論考で知られる笠井潔氏が解説を書いておられるのも今を感じる。
ただし決して未読の方は、解説を先に読まないで!
紙の本
推理小説史に残る衝撃の真相
2019/05/27 20:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KTYM - この投稿者のレビュー一覧を見る
推理小説史上に燦然と輝くアガサ・クリスティーの傑作(1926年)。
ポアロの相棒、愛すべきヘイスティングス大尉は本作ではお休み(アルゼンチンにいるとの設定です)で、英国の田舎町キングズ・アボット在住のシェパード医師が語り手となる、ポアロ物としては異色の体裁。警察を引退して余生(カボチャ作り!)を過ごしにキングズ・アボットに移住してきたポアロが、「おかしな外人」としてゴシップの対象となるのが楽しいです。
本作の読みどころは何と言っても、誰もが唖然とし、我が眼を疑い、何度も読み返すことになる衝撃の真相でしょう。多くを語ることは出来ませんが、推理小説史に永遠に残るトリックです。余りの衝撃のため、現代推理小説がメタフィクションの方向へ進化するきっかけの一つともなりました。何を隠そう、小生は小学生時代に子供向けリライト版で本作を読んでしまったという黒歴史の持ち主で、今回はほぼ半世紀ぶりの(犯人を知った状態での)再読だったのですが、随所に伏線やヒントが残されてて、作者が「フェアネス」確保のために、本当に細かい箇所にまで気を使っているのが良く分かりました。メイントリックだけでなく、サブのアリバイトリックも時代を感じさせるアイテムを利用していますが、秀逸です。
本書中盤で、ポアロが関係者を集め「みなさん全員が何かを隠していらっしゃる。どうです、わたしのいうとおりでしょう?」と挑みかけるシーンがあります。そしてポアロが謎を一つ解き明かす度に、明らかになる人間ドラマ。純情で口下手な老ハンター、ゴシップ好きのシェパード医師の姉に見せるポアロの優しさなどなど。衝撃の真相をさて置いても、三面記事的読み物としての楽しさに溢れていて、ここら辺りも、クリスティ-人気の秘密でしょうか。
紙の本
とても面白かったです
2023/11/21 16:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後まで犯人の検討がつかず、ラスト間近になり、「ああ!そうなんだ!」と、感嘆させられます。
早川書房のシリーズを、順に読んでいる所です。本編は、友のヘイスティングズが登場せず、少し寂しかったですが、内容は大変素晴らしかったです。アガサ・クリスティーは天才です。遅ればせながらですが。
紙の本
流石名作
2019/04/30 09:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の最後にどんでん返し。レビューで細かく書くとネタバレになる。最近では珍しくない結末だが、この本が出版された時にはセンセーショナルなものだったと推察する。ミステリーの名作の中でも一、二を争う名作。金字塔。ミステリー好きなから必ず読むべし。
紙の本
個人的にはフェアだと思った本作品のトリック
2016/12/25 12:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
使われるトリックがフェアかどうかが、ミステリ界で賛否両論がわかれた本作品。
ネタバレになるのでここに詳細は書きませんが、私個人としては、フェアなトリックだと思います。
実際、作者の別の作品でも同様のトリックが使われたものもあるので、社会的にも評価されていると思います。