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紙の本

「王侯相将いずくんぞ種有らんや」〜そして乱世に至る

2004/03/10 21:46

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

章邯、という将がいる。
いま、『将』と書いたが、登場してきた時の彼は、税を司る官に過ぎない。
既に、勇猛な将軍・蒙恬を処刑していた秦の二世皇帝・胡亥は、迫りくる反乱軍に対して、成す術もなかった。そんな危急存亡の秋だからこそ、受け入れられたのだ。全く軍事経験のない章邯の「強制労働をしている囚人を許して兵とし、反乱軍を撃つ。」という映画『特攻大作戦』のワイド版のような訴えが。この時章邯を動かしたのが、国=秦に対する愛でも、皇帝に対する忠誠でもなかった事が面白い。彼はただ、「一度でよいから万を越える兵を指揮してみたい。」とのみ望んでいた。皇帝の「駄目でもともと」の思いと、章邯の極めて個人的な願いが奇跡的に結びついた事で、かくて、晴れて『将』となった章邯が、歴史の表舞台に登場する事になる。

後年、丞相・趙高に馬を鹿だと謀られても、自分がおかしいと思い続けた胡亥。『馬鹿』の語源となるエピソードといい、どこまでも暗君のイメージが強い胡亥だが、そんな彼のたった一つの決断が、秦の滅亡を瀬戸際で止めるのだから、歴史というのは、実に不思議な采配を振るう。歴史の不思議に弄ばれたのは、何も章邯ばかりではない。本作の主人公・田横も有為転変を繰り返す。あわや殺される所を、奇跡的に皇太子・扶蘇の娘に救われ、その縁で扶蘇の傍近くに仕える。そのままいけば、彼は次帝の側近となる行く末も考えられたが、扶蘇の自刃によりその道は閉ざされる。
登場人物達は、よく空を見上げる。田横は「三人とも王になる。」と言われて空の星を仰ぎ見る。最初に王になった田横の従兄も、最期の時を迎えるにあたり、夜空の星を見る。そして、章邯もまた、複雑な思いで十二月の満天の星を見る。あまりにもめまぐるしい地上の動きに、疲れた心身を休めるためか、それとも行く末を問うたのか。

常勝の道を歩み始めた章邯は、大軍にも驕らず、将兵達の気を常に守り立て、窮地に入れば入るほど、才が煌めく。このような知謀に長けた名将に、果して敗北の時など訪れるのだろうか?と思うが、空高く輝いていた星でさえ、季節が変われば沈むように、地上の星、群雄達も、やがて後から昇ってくる星にとってかわられる。
将軍になって三年目、章邯が対するのは、自らが殺した項梁の甥、項羽。自軍は二十万、項羽軍は五万余。数の上から考えれば、勝つのはどちらか明白である。果して歴史上はどうなったのか。その時、何が決断の決め手となったか。中巻を最後まで読み終え、是非その結果を確かめられたし。

本来の書評ならば、主人公である田横についてもっと語るべきなのだろう。しかし私はどうしても、章邯について書かずにいられなかった。「王侯相将いずくんぞ種有らんや」、これは「王、侯、将軍、大臣となるのは、家柄や血統で決まるのではなく、各人の才能や努力によるものだ。」という意味の言葉だ。章邯は体制側に属していたが、反乱軍の指導者・陳勝のこの言葉を体現した人物として登場してくる。能力のある人だから、その才を十分に認める上司に恵まれていればと悔やまれる。彼は思いを切々と訴えながら男泣きするが、その場に居合わせたら、とてもいたたまれない。上に恵まれず涙を呑んで、望まぬ選択をするのは、彼が最初でも、また最後でもないからだ。
さて、田横や章邯、そして数々の地上の星は、一体どこに、いつ、落ちてゆくのか。歴史書をひもときたい気持ちを必死に抑え、私は今、下巻を静かに待っている。

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2006/03/08 14:17

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2006/11/14 00:04

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2018/05/19 17:17

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