紙の本
最近、我が家ではラルフ・イーザウの評価ががた落ちで、それに対して旭日の勢いにある、というのがこのライラの冒険。戦いをここまで描けば、平和の意味も見えてきます
2006/01/17 17:59
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アリスエル卿のスパイとともに死者の国に向かうライラとウィル。彼らが求められたのは、切り離されたら共に死ぬといわれるダイモンとの一時の別れだった」ファンタジー。
「黄金の羅針盤」「神秘の短剣」に続くライラの冒険三部作の最終巻です。単行本では一冊で700ページ近いもので、版型が普通サイズなのでファンタジーといえば大型本、という意味もない常識に対抗していた点でも一線を画していました。文庫になったのも、他のものが未だに元の形のままか軽装になったものの、大きいものばかりなので、さすが新潮社は違う!なんて思います。
実の娘を愛することのできないコールター夫人に薬漬けにされて眠るだけの少女ライラですが、この巻で彼女が自分を助けてくれたウィルと向かうのは死者の国です。ライラは自分のために死んだロジャーに一言謝りたくて、そしてウィルは自分の父親と話がしたくて、危険に立ち向かっていきます。彼らがその代償にするのがダイモンとの別れなのです。
他の登場人物を書いておけば、ライラとウィルを追う規律監督法院と殺人の赦免を与えられたゴメス神父がいます。次はアリスエル卿のもとにライラを連れて行くことを命じられている小さなスパイであるティアリスとレディ・サルマキア、ウィルを守る天使のバルサモスとバルクでしょうか。勿論、ライラのダイモンであるパンタライオンもいます。
他にも車輪を操る不思議な生物ミュレファと、彼らを理解し助けるメアリー・マローンやライラを救うクマの王イオレク・バーニソン、友人の死を告げる魔女セラフィナ・ペカーナも登場します。
主人公たちにに襲い掛かるスペクター。コールター夫人の妖しい魅力。ウィルの短剣。ダストの謎と、彼らが失わなければならないもの。そして得たもの。アリスエル卿とコールター夫人が見せる決意。そこで、なぜ二人が死者の国に行かなければならなかったかが、生きてきます。
そして最初の巻に出てきた人々が集います。これは、まさにファンタジーの王道を行くものでしょう。宗教なども、その意味も含めた改めてその存在が問い直されるものと言えるでしょう。
この作品でも、戦いが大きな役割を果たします。プルマンは、決してそれを省略して書こうとはしません。だから、これだけのページ数になったのでしょうが、全体として間延びした感はまったくなく、緊張感は持続します。この頁数に必然性があるんですね。これに対して、たとえば、ラルフ・イーザウのネシャン・サーガの第三巻などは、あれだけのボリュームにもかかわらず、端折ってしまった印象を与えます。それは後半で一気にいくつもの冒険を詰め込んだせいでしょう。
この本では、そこにたっぷり頁を割いた、そこが圧倒的にうまいのです。以前ですが、ある新聞でこの作品に触れて、「主人公たちのキス、それが全てである」といった評があった気がします。でもそれは大間違いです。そのあとで、彼らが直面しなければならないもの、それを乗り越えようとする二人の決意が、静かで美しいのです。これは同時期に出た、そしてその後も続々と生み出される凡百のファンタジーと、この作品を隔て際立たせるものです。トールキンの正統な後継者、というのはあながち嘘ではない、といえそうで、完結に7年の歳月を要したのが納得できる作品です。
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意外な展開の連続だった。いろんな謎が次々と解けていって、すっきり。
結構めでたしめでたしな感じを期待していたところもあったので、あぁやっぱりそこまで都合良くはいかないよね…と思わされることも多かったな。ハリーのように何もかも上手くいったりはしない。そういうところがライラの冒険シリーズの良さかも。
すごく辛い場面もあったりするのだけど、ライラとウィルが成長していく中で経験していくたくさんの痛みが、心理的にものすごくリアルで、端々で“共感”に近い気持ちを抱いた。
想像力の貧富が問われる気はするけど、宗教的背景とかが分からなくても十分に楽しめると思います。
陳腐な言い方になっちゃうけど、静かな感動を覚える作品でした。ほんとまさに。
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これやっぱり児童書じゃないみたい。
なんか、キリスト教に真っ向から喧嘩打ってるような話しだな。
結構泣いちゃうシーンが多々あります^^;
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キリスト教の「縛り」がある人にとってのHや結婚は、そんなものがない人とはちと違う。Hは「罪」なのだ。そして人は「罪」の子。その罪の意識を解くための性教育の本。?,?,?巻めの後半でやっと答えにたどり着いた。長いことは長いけど2000年の歴史を考えれば当然かな。
無論ハリウッドにとっては主題など関係ないようだ。教会関係者が騒げばそれだけ話題になる。ダビンチコードのように。
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ウィルがライラのことを思い浮かべながら空間を切って、再び短剣を折るシーンが印象的。
それから、イオレクとリーの友情の結末にも涙
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運命に導かれるように死者の国への入り口に到着したライラとウィル。ライラの死の案内で足を踏み入れることになりますが…。アスリエル卿、コールター婦人、教会、天使、スペクター…全てが明らかになっているようで、なっていないなぁ〜と感じます。次巻最終巻となりますが、これまでの物語がどうより合わさっていくのか…非常に期待しております。
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目次
魔法をかけられて眠る者
バルサモスとバルク
腐肉をくらうもの
アーマとコウモリ
堅固な塔
事前赦免
メアリーはただひとり
ウォッカ
川上へ
車輪
トンボ
突破
ティアリスとサルマキア
それがなにかを知れ
鍛冶場
意思機
油とウルシ
死者の町
ライラとその死
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2008年8月1日読了。
う〜〜〜ん、だんだんワケがわからなくなってきた。
一体この物語はどこへ行こうとしてるんだろうか?ちょっと一息つきたくなってきたかも。
本当にファンタジーっていうより、SFです。
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ライラ3冊目。益々面白くなってます。でもこれでおしまいなのはちょっと残念です。
色々な謎も解けて、一応きれいにまとまった…ってことでいいのかな。
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あきらめと別れを知って、ふたりは大人になったんだね。
ばいばい、ライラ
ばいばい、ウィル
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ライラが連れ去られてしまったことを知ったウィルは、二人の天使を伴って彼女を探しに行く。やがてウィルは森の奥深くで、母親に監禁されているライラを発見、彼女は薬によって眠り続けていた。ウィルは『別世界への窓』を作ることができる神秘の短剣を使ってライラの救出を試みる。しかし、短剣はあっけなく折れてしまった──。
物語の重要な人物として描かれているメアリーの冒険や、ウィルとライラの成長、ガリベスピアンの登場など、物語は大きく展開を見せる。
イオレク・バーニソンも再び登場し、勇敢なクマの姿にこちらも大きく胸を躍らせた。
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フィリップ・プルマンの琥珀の望遠鏡を読みました。ライラの冒険黄金の羅針盤の3巻目でした。この巻では、この世界に起こっている異常の原因が明らかにされ、そして物語が完結しました。魔女、天使、スペクター、崖鬼、象のような姿をした車輪で移動する種族、トンボに乗った小さな種族、死者の国の門番など、いろいろな種族が登場し物語が進んでいきます。真実を知ることのできる黄金の羅針盤、パラレルワールドの間を移動できる窓を開ける神秘の短剣、この世界の成り立ちを見ることのできる琥珀の望遠鏡と3種の神器もそろい、この世界の災いの原因が解明されていきます。しかし、konnokとしてはこの3巻目は楽しめませんでした。いくつかの世界の出来事が交互に語られていきますが、展開がめまぐるしいだけでなく、ご都合主義的な事件が続き、必然性があまり感じられません。ハルマゲドンが来るのかと思いきや、中途半端な局地戦で終ってしまうし、主人公を狙っていた暗殺者はあっけなく死んでしまうし。最終的にこの世界に災いをもたらした問題がどのように解決されたのかもはっきりしないし。主人公の女の子とその母親が根っからの嘘つきだと言うのも気に入りません。1巻目の黄金の羅針盤は楽しめましたが、あとの2巻は駄作だと思いました。
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ガリベスピアンとかミュレファとか、それだけで一冊の本が書けそうな存在が登場。ああ、まったくこの物語はどこまでいってしまうのか。
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ここに至って少し小説っぽい方向に壊れ始める。
いちいちブレイクとかミルトンの引用が入ったりライラの夢が切れ切れに書かれたり。
ウィルがライラ探索を開始してから、合流し、皆で死者の国に入って死と出会うまで。
他にもヘタレ天使カップルとかネタキャラ臭のする神父とかミュレファとの遭遇とか。
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話の展開が、ミュレファの世界、死者の世界、アスリエル卿の城と、3つに分かれてしまい、進み方が遅くなった上、話がどこへ向かうのかわからなくなってしまった。下巻で一気に収束かな?