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紙の本
★五つは、ちょっと甘いかなとは思う。でも、この本には初めて知る武士と町人の関係や、侍の死生観というものが、あ、そうか、と腑に落ちるように説明されていて、正直、創作意欲をそそられる
2004/10/30 22:42
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしか、新聞の書評があって読み始めた本である。渡辺京二、どうもマスコミ受けする本を書くのが上手なようだ。ただし、悪く取ってもらっては困る。本の中身は決して俗受けを、あるいは新聞受けを狙ったものではまったくない。装丁 毛利一枝、カバー装画は「近世畸人伝」(寛政二年刊)より三熊花顛画、各章カット 鍬形恵斎画「略画式」(寛政七年刊)より。
全11章。1「振り返ることの意味」、2「朗々たる奇人たち」、3「真情と情愛」、4「奇談のコスモロジー」、5「いつでも死ねる心」、6「家業と一生」、7「風雅のなかの日常」、8「旅行けば」、9「隠されたゆたかさ」、10「ぬしが殿様じゃったや」、11「法と裁判」。それに、登場人物略歴、元号西暦対照表、引用書目一覧、あとがき、がつく。
渡辺京二、どこかで見たか聞いたかした名前だなあ、と思っていたら、この人の書いた『逝きし世の面影』(葦書房)が我が家に眠っていることに気づいた。随分、新聞で評判になった本で100頁くらい読み進んだところで、他に読まなければいけない本が溢れてしまい、一時休眠状態。うーむ、あれも読まねば、と思うのではあります。
でだ、これは私自身の問題なのかもしれないけれど、この本、8章を境に面白味が失せる。理由は単純である。私が興味を持っているのは、江戸時代というよりは江戸なのである。だから菅江真澄のように東北地方だけを回りましたという人の話を聞かされても、それは江戸の話ではないでしょ、と言いたくなってしまう。
そうは言っても、詰まらない旅行談ばかりか、というとそういうことは決してない。例えば、地方による風俗習慣の違い、菅江が出羽国雄勝郡柳田に滞在している時に、その地方の少女がかうのけ(眉毛)を剃った女性を見たときの反応などは、ヤマンバギャルが渋谷に登場したときの地方の少女たちの反応を思わせて楽しい。
その点は、江戸小日向水道端(な、なんと我が宿六の生まれ故郷です)の廓念寺のお坊さん十方庵敬順の寛政9年の旅での江戸自慢のなかで触れられる京女の立小便、それが極めて有名な風習だというのを読むと、おお、その点は華の巴里と同じじゃな、などと空間を隔てた王都のありように思わず微笑んでしまうのである。
しかし、物質的には決して豊かではないだろう当時の人々の心の豊かさ、愛情の濃やかさを読むと、明治維新がもたらしたものの不毛を思わずにはいられない。奇人たちには、どうも現在のオタクに見られる暗さがないし、男女の恋愛についても夫婦のあり方についても想像もつかない自由さがある。
現在の政治家が口にすると噴飯ものの武士道や死だが、たとえば5「いつでも死ねる心」を読んで私は初めて得心がいった。いままで、武士の死生観をここまであっさりと説明してくれた本があっただろうか。10「ぬしが殿様じゃったや」に見る子供たちの刃傷沙汰にも、当時の武士の置かれた状況がじつに上手く説明されていて、小説の一本でも書いたろか!という気にさせられる。それだけでも価値ある一冊といっていい。
紙の本
知る
2021/07/19 08:35
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が多くの江戸時代の著作を読みこなして種々の視点からまとめている。そして具体的箇所も引用して説明してくれる。もちろん、興味ある所もあれば飛ばしたくなる箇所がある。著者の感性と造詣の深さには及ばない。それでも武士と一般庶民の関係、庶民の幸福感、江戸人の死生観など啓発された。
「1.振り返ることの意味」と「あとがき」を読むと著者の主張がわかってよい。
巻末に引用書目一覧が掲載されており、今後の読書の道しるべとなる。
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