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再読。太宰の、太宰による、太宰のための、故郷津軽の紀行文。
内容は大の大人が、友人知人宅に次々に上がり込んでは大酒を飲むというお話です(笑)
閉鎖的な田舎人ではなく、東京人としての冷静さを兼ね備えつつ、どれだけ津軽や津軽の人々を愛しているか、不器用で率直に書かれています。さすが、自称専門科目「愛」!!w
やはり、津軽が一番好き。不器用で頑固で、でもとても純粋な太宰の価値観が好き!ラストは嬉しいやら切ないやらやっぱり嬉しいやらで何度読んでも涙目です。
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生誕100周年を迎へた太宰治。
没後61年にして、その人気は健在のやうであります。愛読者の一人として、まことに喜ばしい。
私が初めて読んだ太宰作品がこの『津軽』です。『人間失格』でも『斜陽』でも、或いは『走れメロス』でもなかつた。
元々出版社から依頼を受けて執筆された津軽の風土記ですが、他の作品にない明るさ、ユーモアに包まれてゐます。ゆゑに当時中学生の私は「太宰治といふのは、きつとユーモア作家なのだな」と勝手に納得してゐました。
本書執筆のため、太宰は3週間にわたる津軽旅行へ出発します。彼にとつて津軽は郷里であり、脱出してきた土地。複雑な感情が入り混つてゐます。実の兄姉たちと再会した際の、あの余所余所しさと言つたら!
それに比べ、かつて津島家(太宰の実家)に奉公してゐた「たけ」といふ女性に対しては苦労をして、やつとのことで再会を果たします。その場面は、割と呆気なく描写されてゐますが、「ああ、良かつたなあ」と感情移入させられます。
『人間失格』を最初に読んで、引いてしまつた方には、本書を是非読んでみてください。太宰治の印象が変ることでせう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-203.html
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作者が久しぶりに帰郷して
「異邦人」の目で故郷を眺めた紀行文。
まったりとした味わい。
しかし、頭の中で
つげ義春マンガ風ヴィジョンが展開されてしまうのは
私だけだろうか(笑)。
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『津軽』は、太宰治の小説である。
彼の出生の地である津軽地方への旅を通じた、東京で暮らした経験を踏まえた上での津軽地方の「印象記」である。
訪れた地ごとに章立てをし、初めにその地方の地理的・歴史的背景を記述している。その後、実際に出会った友人や親族とのやりとりを描く、といった構成になっている。
太宰治の持つ、生に対する一つの信念が浮かんでくるように思える作品であった。『人間失格』に見られる、自身に対する絶望から生じる死の願望が太宰作品の原動力になっていると思われがちだが、実際には死を意識することによってより鮮やかな生を営もうとしているのではないだろうか。
津軽地方の様々な魅力と、太宰治の本質的な人間性に触れられる作品であると感じた。
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読んだ期間*2012年3月27日~4月16日
“大人というものは侘しいものだ。愛し合っていても、用心して、他人行儀を守らなければならぬ。なぜ、用心深くしなければならぬのだろう。その答は、なんでもない。見事に裏切られて、赤恥をかいた事が多すぎたからである。人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である。大人とは、裏切られた青年の姿である。”
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本棚整理のため、11年ぶりに再読。評価変更☆4→3
津軽(生家と知人)紀行。生家がでてきてクライマックスで”たけ”に会うシーンを中心に太宰にしては爽やかな印象を与える作品。
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不意に旅行記のようなものを読みたくなって、本屋の中を歩いていたら、目にとまったので読んでみることにした。国語の教科書に一部掲載されているのを授業で読んだきりだった。
太宰治の小説を読むこと自体中学だか高校以来のことだったので、非常にわくわくして読み始めたのだが(昔好きだった)、期待を裏切らないとても面白い作品だった。
国語の教科書に掲載されていた「たけ」との再会のシーンは言わずもがなとして、他の土地において旧友たちとの話や彼らを紹介するための挿話にしてもとても的確であった。津軽の人たちの元気というか良さというかをひしひしと感じた。
また、各章の最後はいずれも非常に良く、読後感も素晴らしかった。
津軽に行きたくなった。
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太宰治の書く文章はやっぱり大好きだ。太宰治の小話は思わず笑ってしまう所もあった。金木の太宰治の生家に行ってから即読んだので。より一層楽しめた。
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津軽人・太宰、弟としての太宰。
一人の、たくさんの人間と繋がっているただの男としてのエッセイ。
描かれた太宰の周囲の人々が、皆ちょっと間抜けで素朴でいい人。
これは、津軽人だからでなく、太宰の目が、人々をそう見ていたからに他ならない。
やっぱり一人の平凡なおっさんである太宰が好きです。
でも、一人のおっさんは時々、
悲しさとそれをつっぱねようとしている必死の姿を覗かせます。
「元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」
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「なぜ、旅に出るの?」「苦しいからさ」で始まり、自分の気持ちの説明は気障で文学的虚飾であるから何も言いたくないと前置きしながら、紀行文では気持ちの説明だらけ。調べるとたけとの再会の場面等々脚色も結構あるらしい。で、ラストが「私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」で終わる。全体を通して昭和19年とは思えないほのぼのさがある。太宰を読むのは学生以来だが、やはり上手い。で、こんなに明るくて、正直で、ユーモアたっぷりの作家だったという事に驚き。
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太宰治というのは、実際、こういう人だったのだなあ。
ちょっと微笑ましくさえ感じられた、故郷への旅の話でした。
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太宰治にしては珍しい機嫌の良い作品。目の前で他の人の小説が絶賛されてて、ムカついたのでいっちょ俺がDISってやると読んでみたらすごく良くて、カッコ悪い感じになったのにいい文章が読めたから幸せっていう太宰萌え。
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評価が付けられないほど、自分にとって特別な一冊。
心の安定剤がわりに、死にたくなったら読むようにしてます。
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大人とは、裏切られた青年の姿である。 うん!!
親孝行は自然の情だ。倫理ではなかった。 わお!!
何か、東西問わず(?)、現代の小説に足りないものはこういう作者の哲学が詰まっている何気ない一言なのだとは思う。
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東京三鷹に居住し、心身が安定していた時期に帰郷したらしい。
太宰治=暗いというイメージには程遠い。
おちゃめで繊細で、心優しい人柄なんだと感じた。
何かにつけて常に酒が出てくる。酒好きな人だったんだな・・・とも。
育ての親「タケ」に30年振りに再会した所、目頭が熱くなった。
'12.12.18読書完了