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紙の本
家族のすれ違いと衝突、憎しみと悲しみ、深い情愛と結束を描いた豆腐屋京やの二代記
2010/01/04 19:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
<あらすじ>
希望と不安を胸に京から江戸へ下ってきた豆腐職人・永吉。
新兵衛店にやってきた永吉は、幸運にも明るく快活で世話焼きの娘・おふみと知り合った。
おふみと次第に仲良くなっていった永吉は、おふみを嫁にもらい、新兵衛店で始めていた豆腐屋京やを二人で力を合わせてもり立てた。
初めは売れなかった京風の豆腐は、彼らを応援する人の隠れた援助によって、徐々に得意先を増やし、受け入れられ始めた。
跡取りとなる長男・栄太郎をもうけ、忙しくも順風満帆かと思っていた矢先、不注意から栄太郎の頭に傷を付け、手に火傷を負わせてしまった。
おふみが『命にかえても大事に育てる』からと八幡様に栄太郎の命を助ける願いをかけてから、京やの取引きが広がっていくものの家族の歯車が狂い始めた。
<感想>
山本一力氏が直木賞を受賞した作品で、京から江戸へ出て豆腐屋を始めた永吉のサクセスストーリーと、すれ違う家族の愛情と深い所で繋がっている堅い結束が見所。
物語は二部構成となっており、第一部では、永吉とおふみが周囲の援助と努力によって豆腐屋の取引を広げていく様子と、やがて歯車がずれていく家族を描いている。
第二部では、歯車が狂ったあとの兄弟妹に焦点が当てられ、兄弟妹の視点や、ずれていた歯車が正常にかみ合っていく様子を描いている。
話の展開は、山本作品定番の、障害と縁と努力によって主人公が成長していくものだが、その障害を縁によってなんだかんだとうまく乗り越えていく豆腐屋や、散々すれ違っていたものが、おふみの幼なじみの取りなしによって一つにまとまっていく兄弟妹など、都合良く感じられる所もある。
しかし話の流れに違和感はなく、努力と自分たちを大切に思ってくれる人たちへの感謝が清々しい気持ちにさせる。
また物語に多く描かれている、おふみの行動に端を発する家族の混乱は、おふみの思いこんだらとことんまでいってしまう性格や、理由も聞かずに相手を責めるなど、家族がすれ違っていく原因が分かっているだけに、もっと話し合えばいいのにと歯がゆい気持ちになる。
しかし、おふみの幼なじみであり栄太郎が世話になっている鳶の親方の取りなし、渡世人の傳蔵の粋な行動によって、家族の気持ちが一つになる様子は、その歯がゆい気持ちを消化させ、家族が一つになったという爽やかな安心感に満ちている。
最後には数々の困難を乗り越えて、一回り大きく成長する様子は、山本一力作品の定番。
最後に結束する兄弟妹には堅い絆が感じられたが、残念なのは家族全員が幸せになっていないことだろう。
少々厚みのある本ではあるが、物語は起伏富んでおり、翻弄する荒波の様子や家族がそれをどう乗り切っていくのかが読者の興味を惹き付けて、すぐに読み終えてしまう作品になっている。
紙の本
もう一歩の理解と我慢
2005/09/04 02:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まっすぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が、多くの人の中で互いに支えあい、認め合い生きていくのは大変難しい。そう思うと同時に、「もう少しだけ進んでみよう。」、「その角を曲がってみよう。」そんな、お気楽だけど、前向きな姿勢は崩さない、こういう心がけが、目の前を明るくするのかもしれないと、感じる物語でした。
紙の本
あんなに仲のよかった夫婦なのに、いがみ合うようになってしまう・・・。
2023/02/02 19:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
■評価を「4」にしようか、「5」にしようか、迷って、「4」に。
■夫婦の「仲」、親子の「情」-人間の不思議な気持ちがよく描けていると思います。
■政策を立案するときも、この人間の不思議な気持ちを大切にしなければいけないと思います。
■理路整然とした政策は説明しやすいけれど、それだけでは、人間は支持してくれないのでは・・・。
■小説なんだけれども、人間の気持ち・情を大切にした政治を行うことの重要性をあらためて感じました。