投稿元:
レビューを見る
初代皇帝、アウグストゥスによるローマ統治のスタート。カエサルの言う「人は己の見たい現実しか見ない」という言葉を借りると、「人々に見たい現実を見せる」ことが巧で、その間に着実に権力を手にし、改革を行う。カエサルとアウグストゥスは性格も方法論も全然別だけど、向かうべきビジョンが明確に描いているところと、そこへ向かうためのバイタリティの半端なさが共通している。すごいな。
投稿元:
レビューを見る
カエサル暗殺後のローマ。読んでいてカエサル時代のワクワク感はないが、天才ではないアウグストゥスが如何に自分の欠点を補い、強みを活かして巨大な共同体を動かしていったか?そんな想いでよんでいきたい。
投稿元:
レビューを見る
20110519読了。
アウグストゥスがローマ帝国の中で存在感をまし、手中にしていったのかを語る巻。
アウグストゥスは着実に、少しずつ外堀から埋めて目的を達成していく。
華やかではないが、大きな計画を視野にいれた行動であることが感じられる。
一度アウグストゥスの経歴を一度さらってから
読むと、さらに理解が増してよさげ。
投稿元:
レビューを見る
去年から読み始めたシリーズ。14まできました(遠い目)。
カエサルの後をついだアウグストゥスの慎重きわまるローマ改革の道のり。人物に感情移入しながら読めてしまう不思議。
アグリッパ、ナイスだよ!
投稿元:
レビューを見る
カエサルの後継者に指名された美少年も、既に40代。カエサルの
養子となり、アウグストゥスの尊称を賜り、以降、この名で呼ばれる
ことになるオクタヴィアヌスは元老院が継続を望んだ共和制への
復帰宣言をする。
属州も含め広大になったローマ帝国の政体としては、もはや帝政
に移行するしかないと改革を目指した養父カエサルの遺志を捨て
たような宣言だ。
アウグストゥスのこの宣言感激した元老院は彼に「ローマの
第一人者」の地位を認める。
しかし、アウグストゥスの共和制復帰宣言は帝政への布石で
あった。
不要になった権力を放棄するのと引き換えるように、新しい
権力を手中にする。それは、直ぐに役立つものではなくとも
先を見る目を持ったアウグストゥスには後々必要になるもの
だった。
元老院の目を欺きながら、着々とカエサルの目指した改革
路線を踏襲するアウグストゥスはなんとしたたかなのか。
少年の頃、元老院派の代表格でもある年長のキケロに「父」と
呼びかけ手玉に取っただけはある。笑。
投稿元:
レビューを見る
アウグストゥスの偉大さが満載。カエサルとは違った意味での、天才。政治の天才。その粘り強さと忍耐と信念の強さに敬服。
投稿元:
レビューを見る
ローマが帝政へと移行していく。
アウグストゥスはカエサルと違い地味な強さがある。
何十年もかけて目標を達成するなんて、筆者泣かせにもほどがある。
パクス・ロマーナってこうやって始まるわけですか。
投稿元:
レビューを見る
偉大なカエサルからローマを引き継いだ青年オクタヴィアヌスの物語である。これを読み、カエサルとオクタヴィアヌスの違いに想いを馳せると、現代日本において強力なリーダーが生まれにくい理由が見えて来るかも知れない。
カエサルの政治構想力に基づき広大な欧州の地にばら撒かれたパーツを、ローマ帝国として組み上げる仕事を残されたオクタヴィアヌス。同じ帝政を目指しながら、なぜカエサルは暗殺され、オクタヴィアヌスは皇帝となれたのか。この疑問はかなり興味深い。
カエサルは、同時代に生きた政治家と比較して、明らかに飛びぬけた能力を持っていた。軍隊を率いさせればガリアを平定し、弁舌は兵士を魅了し元老院議員を沈黙させる。その政治的センスが際立っていたことは、反抗的だったガリアを属州の優等生と呼ばれるまでにした統治政策からも明らかだと思う。だが、後世から見れば明らかな事実も、同じ時代を生きている人間から見ればそうとは限らない。まして元老院議員から見ればカエサルは同輩でしかないのだから、一人カエサルが人気絶頂にあれば嫉妬の炎を燃やしもするだろう。しかし、おそらく彼はこの嫉妬が理解できなかったのだと思う。だから、統治すべき民衆に対しては細心の心配りができたのに、同輩の自尊心を満足させる策を打たなかった。カエサルは生まれながらの支配者だったがゆえに暗殺されたのではないか。
一方、オクタヴィアヌスは元老院議員を嫉妬させることが無かったのだと思う。何しろ彼は、軍隊を指揮すれば必ず負け、演説をすればやり込められるような存在だったのだから。ただ、オクタヴィアヌスは自分が天才ではないことを知っていた。きらめくような人をひきつける魅力は無かったかもしれないが、人を利用することは知っていた。だから、元老院を自分の支配構造の中に取り込み、飼いならしていったのだと思う。権威と権力に酔う人間には夢を見させておけばよい。オクタヴィアヌスは元老院に共和制の夢を見させ続けることに成功した。
このように考えると、現代日本で強力なリーダーが生まれづらい理由が分かるような気がする。カエサルとオクタヴィアヌスのように、政治的な意味で”幸せな結婚”が生まれる環境が作れれば良いのだが…。
投稿元:
レビューを見る
カエサル暗殺後、遺書に示された後継者として突如として歴史の表舞台に現れたオクタヴィアヌス。
彼は軍略的にも政治的にも天才的ではなかった。
しかし、彼には人を見極める能力に長け、そして、慎重だった。
カエサルがなし得なかった帝国への路を緻密に進めていく。
ローマ帝国初代皇帝、カエサルの息子。
インペラトール・ユリウス・カエサル・アウグストゥスの物語。
投稿元:
レビューを見る
Augustの語源にもなるアウグストゥスの話。カエサルとは似ても似つかない。
カエサルが大胆、明快ならば彼は堅実、老獪になると思う。
10件の問題解決に10年を与えられたら、カエサルは1年単位に事を成し遂げるがアウグストゥスは全てに10年費やし10年目に成果を挙げるタイプ。
知略だけであれば、カエサルを越えると思う。
帝政確立に奔走する際の、共和政カモフラージュは見事。
投稿元:
レビューを見る
オクタヴィアヌスの権力掌握過程を書いている。前巻でアントニウスに勝利し、ローマの第一人者となったオクタヴィアヌスだが、カエサルの様にズバッと改革をするのではなく、「合法を積み上げて」一身に権力を集めていく。はじめは元老院に妥協するような形をとる。情報公開については、決議や発言を広場に貼り出すのではなく、公文書館に保存するという形で穏健な情報公開に変更し、元老院の議員をスリム化し、「共和政復帰宣言」をする。その三日後「アウグストゥス」の尊称を送られ(るように画策)、執政官であるうちに補佐機関である「内閣」を創設し、護民官の特権(身体不可侵・拒否権の発動)を取得する。内政では、国税庁の創設・通貨改革・選挙改革・食糧確保などを行った。外政では、スペインおよびガリアの再編、エジプトの灌漑および自営農の創出、戦闘をせずにパルティア問題を解決、ユーフラテス川を国境に定めた。軍縮にも20数年をかけてとりくんだ。カエサルとはちがうタイプの指導者だが、なかなか堅実な人である。アウグストゥスは自己抑制能力に優れていて、「わたしのことを悪く言う人がいても憤慨してはいけない。満足しようではないか、彼らがわれわれに剣をむけないというだけで」と養子のティベリウスに書いている。
投稿元:
レビューを見る
アウグストゥス、皇帝を名乗らず、対面だけは共和制を尊重しているように見せながら実質の権利を持っていたのか。意外。
投稿元:
レビューを見る
カエサル暗殺後、アウグストゥスが治める見かけは共和制、中身は帝政のローマ時代の巻。戦乱がおさまり平和な時期に入ってきた時から、カエサルの意志を継ぎつつ、アウグストゥス本人の意思を反映した政治が展開される。あれほど帝政を嫌った元老院が易々とアウグストゥスの思惑に嵌るのはなぜだろうか?15・16巻でその思惑を探りたい。
投稿元:
レビューを見る
オクタヴィアヌスの統治前半の話です。パクス・ロマーナ(ローマの平和)の原型を作っていった話です。オクタヴィアヌスが、単純な政治面だけでなく財政面での裏づけを取りながら、持続可能な平和をもたらす枠組みを作っていった話です。
その中での一つの政体が、帝政であったというだけのことのようです。この帝政も、皇帝だと何でもできる、といったたぐいのものではなく元老院と市民からの承認があって成り立つ、バランスをとったものであったというのが筆者談です。その辺のバランス感については、この巻から読み取ることは自分にはできませんでした。それでも、オクタヴィアヌスという一人の人間が短期間に成し遂げたことにしてはすごいなぁ、と素直に思うくらいの業績がかかれています。
投稿元:
レビューを見る
いよいよローマが共和政から帝政に。「アオクタヴィアヌス」は、「アウグストゥス」、つまりオーソリティになる。元老院を刺激しないように、巧妙に帝政への布石を打っていくのだが、やっぱりなんというか爽快感がないな。戦闘シーンが一切ないからだろうか。めちゃめちゃ周到で頭がいいと思うけど、戦いが弱いというのが、なんとなく男らしい存在感に欠けるのかな。
とはいえ、かなりの美男だったらしい。イメージ作戦で、30代の自分の彫像を沢山作らせ、それが彼のイメージを確立していったというのが面白い。「一体だけ、これだけはもしかしたら後年の彼かと思わせる頭部があるが」というう箇所があるが、やっぱりカエサルのように薄くなったのかな。