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ローマ人の物語 14 パクス・ロマーナ 上 みんなのレビュー

文庫 第41回新風賞 受賞作品

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みんなのレビュー60件

みんなの評価4.0

評価内訳

60 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

なぜ、今古代ローマか?

2004/11/15 01:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ヨーロッパ最大の英雄、ユリウス・カエサルは死んだ。本書は、カエサル死後、彼の後継者によってなされる「パクス・ロマーナ」すなわちローマによる平和が達成される過程を描く。

 物語は、カエサルが死に、後継者アウグストゥス(事実上の指揮者は完全にアグリッパという人)がエジプトのクレオパトラ・アントニウス連合軍を海中に叩き伏せ、いよいよはじまるローマ帝国の創生のところから展開される。

 この本作の主人公とも言うべき、皇帝アウグストゥスは、何の力で天下を取ったか? ナポレオンにしても司馬仲達にしても、秀吉にしても、およそ武力(戦略戦術力)なくして、政治力だけで天下を取った者はいない。
 それをやってのけたのが、アウグストゥスである。その政治的手腕は並大抵のものではない。4000年の歴史を持つ中国史を紐解いてみても、大帝国を築いた者、あるいはその周辺の人間で、アウグストゥスより政治力の優れた人間は、私の知る限り見当たらない。無論、戦争をしたら諸葛孔明はおろか、並の武将にやられてしまうだろうが、その政治的手腕は世界史に冠たるものといってよい。

 東洋で言えば、徳川家康が最大の政治力者だろう。家康は、世界でもトップ3に入るほどの政治力者だと思うが、彼に勝るかといえば、なんともいえない。それは、読者一人一人が判断されることと思うが、アウグストゥスの政治的バランス力には感服する。言葉のマジック、本音と建前の使い分けは殆ど神業に近い。これは、現代を生きる我々にも、生きる知恵を与えてくれるはず。

 ローマ帝国の端緒が本書にあるわけだが、ローマという2000年前の大帝国の国民は、驚くほど日本人と似ている。なぜローマがこれほどまで領土を広げえたのかといえば、ローマが多神教の国だったからである。だからこそユダヤ人にも、その統治を歓迎された。また、キリスト教やイスラム教の国が他国を支配しようとしたら、絶対にその国の宗教を許さない。だから、頑強に抵抗し、泥沼化するのである。現代アメリカをみれば分かると思う。
 日本も、八百万の神、もっといえば先進国で唯一の無神教国家である。ハンチントンのいう文明の衝突は、日本には無縁である。ユダヤ教ときいて嫌悪感がないのがその証拠であろう。

 他にも、ローマ人の無類の温泉好き、死者への考え方、火葬にするところ、肉食ではなかったことなど枚挙に暇がない。本書は、そういったことも書かれている。

 ローマ帝国とは、許す文化、和の心で成し遂げられた帝国である。他者を認めない、暴力的帝国では断じてない。古代ローマを見ると、現代の日本がダブって見える。古代ローマに、現代の日本が進むべき国家戦略のヒントがあると思う。来るべき宗教戦争の世の中を日本が第三国として、仲介役を引き受ければよい。その役目は日本が最適だ。田原総一郎、石原慎太郎、中曽根元総理もかつてこの構想を述べておられたが、古代ローマを見るとまさに、と思う。

 現代世界は、いまやパクス・アメリカーナの時代である。しかし、一神教の国、他者を許さぬ国が平和を維持することは難しい。だからこそ、時代は古代ローマなのだと思う。彼ら、20世紀前の古代人たちに学ぶべき事は果てしなく多い。
 

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紙の本

全く違うタイプの才能に引き継がれたローマ

2008/05/20 17:44

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 カエサルの政治構想力に基づき広大な欧州の地にばら撒かれたパーツを、ローマ帝国として組み上げる仕事を残されたオクタヴィアヌス。同じ帝政を目指しながら、なぜカエサルは暗殺され、オクタヴィアヌスは皇帝となれたのか。この疑問はかなり興味深い。
 カエサルは、同時代に生きた政治家と比較して、明らかに飛びぬけた能力を持っていた。軍隊を率いさせればガリアを平定し、弁舌は兵士を魅了し元老院議員を沈黙させる。その政治的センスが際立っていたことは、反抗的だったガリアを属州の優等生と呼ばれるまでにした統治政策からも明らかだと思う。だが、後世から見れば明らかな事実も、同じ時代を生きている人間から見ればそうとは限らない。まして元老院議員から見ればカエサルは同輩でしかないのだから、一人カエサルが人気絶頂にあれば嫉妬の炎を燃やしもするだろう。しかし、おそらく彼はこの嫉妬が理解できなかったのだと思う。だから、統治すべき民衆に対しては細心の心配りができたのに、同輩の自尊心を満足させる策を打たなかった。カエサルは生まれながらの支配者だったがゆえに暗殺されたのではないか。
 一方、オクタヴィアヌスは元老院議員を嫉妬させることが無かったのだと思う。何しろ彼は、軍隊を指揮すれば必ず負け、演説をすればやり込められるような存在だったのだから。ただ、オクタヴィアヌスは自分が天才ではないことを知っていた。きらめくような人をひきつける魅力は無かったかもしれないが、人を利用することは知っていた。だから、元老院を自分の支配構造の中に取り込み、飼いならしていったのだと思う。権威と権力に酔う人間には夢を見させておけばよい。オクタヴィアヌスは元老院に共和制の夢を見させ続けることに成功した。
 このように考えると、現代日本で強力なリーダーが生まれづらい理由が分かるような気がする。カエサルとオクタヴィアヌスのように、政治的な意味で”幸せな結婚”が生まれる環境が作れれば良いのだが…

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紙の本

戦闘シーンは無いけど・・・

2015/08/28 17:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る

天下統一を果たしたオクタヴィアヌス。しかし、彼には安定した統治システムをローマに作り上げるという前代未聞の大事業が待っていた。
これまでの巻と違って戦闘シーンが全く無く、そこで感じるような興奮やスリルはないが、一人の冷徹な男が四十年の年月をかけてローマを作り替えた過程が描かれている。作者はこの実に「書くのが難しい(本文より)」男の業績をよく一冊の本にするほどに読みやすく、わかりやすく書いた者だと思う。

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2004/12/24 04:45

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2006/03/13 14:07

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2007/08/19 21:23

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2010/03/06 21:46

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