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花まんま みんなのレビュー

133(2005上半期)直木賞 受賞作品

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みんなのレビュー107件

みんなの評価3.9

評価内訳

105 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

甘く苦い記憶

2005/07/05 22:13

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書に収められた6つの短編に共通するのは、子供の頃の素朴な疑問や不思議な体験を、大人になった主人公たちが回想する形式を取っているところだ。子供の幽霊や、クラゲのような「妖精生物」や、人を楽に死なせる「送りん婆」など、一歩間違えればホラーにもファンタジーにもなり得る題材なのだが、舞台となっている大阪の猥雑さと昭和の空気が巧みに描かれていて、物語を地に足の着いたものとして落ち着かせている。
本書を読んで、幼かった「あの頃」に思いを馳せる読者は多いだろうが、本書が思い出させる「あの頃」とは、たとえば、特に意味もなく友達に意地悪をしてしまった後の鈍い胸の痛みだったり、人の「悪意」というものにうっすらと気づいてしまった時の悲しみであったり、けっしてキラキラしていただけの「あの頃」ではない。
本書の短編の中でどれか3つを選ぶとすれば、表題作の「花まんま」と「トカビの夜」と「凍蝶」を挙げたい。これらの短編を読んだ後、声をあげて泣きたくなるのは何故だろう。もっと無垢な目で世の中を見ていた頃の自分への憧憬か。何も考えていなかった頃の自分の行いへの悔恨か。子供の頃は分からなかった社会のカラクリが分かってしまったことの悲しさか。そのいずれでもあるのだろうが、何よりも、人が生きている限り避けて通れない「差別」が、弱者の視点を忘れることなく描かれていることが大きい。
「差別」に対する著者の強さと優しさが、本書を、単なるノスタルジー小説と一線を画す作品に仕上げている。

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紙の本

寂寥感の中に、ほのかな温かさ、生きる力強さを感じる作品。

2006/02/25 21:42

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ありさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

なつかしいにおいのする昭和の町を生きた子供たちが、それぞれ主人公の短編集です。
軽い語り口で読みやすく、現実に見え隠れする不思議な現象(ファンタジー)や、貧しくとも活気ある町並みや人々に誘われるように、続きが読みたくて仕方なくなりました。
「妖精生物」だけちょっと怖かったです。ホラーみたい(笑)
他は人の死にまつわる物語。重くなりすぎず、そこに登場する主人公の子供らしい視線や発想が、切ないやらおかしいやらで、涙ぐみながら笑いと笑顔のまま読み進めました。
大切な人の死、日常にはびこる差別の目など、とても悲しく涙がこみあげてきますが、そこにある子供らしい視線や思いがあたたかく、心なごませてくれると同時に、だからこそ、亡くなった時の様子、大切な人を失った悲しみ、そして弱い、普通の人々の姿が、「悲劇」などとひとくくりにできないほど切なく、心に刻まれていきます。
命を終わらせる瞬間、それが望むものではなかったとしても、悲しくてどうしようもない状況でも、いわれない差別をされても、そこには、生きていく人々の強さや煌きがあるということを感じる、力強い作品だと思います。

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紙の本

やっぱり直木賞受賞は妥当だったかな、なんて思います。安易なシリーズ化や単純な回想趣味に走らなかったのが勝因?

2006/07/07 20:42

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ええと、私が朱川作品を読むのはこれが二冊目です。直木賞作を、受賞後に読むのは癪なので無視して、『わくらば日記』から読み始めました。そのときは、正直、褒めませんでした。小説ではなく影山徹のカバー画のほうをべた褒め。こう書いています。
「カバーがいいです。まず色がいい。小説にも出てくるお化け煙突を中央に配して、その向こうが夕焼け、というか沈んでいく太陽の光を受けて暖色に染まる雲でしょ、これがもうノスタルジックで。
しかもです、その色合いが夕闇が迫る色に染まりつつある町全体を暖かく包むわけです。向かって左側手前のタバコ屋さん、カウンターに置かれた公衆電話、その正面は交番でしょうか、入口の上に取り付けられた外灯の光の暖かさ。そしてその向こうにある時計、5:35分をさしているんですが文字盤の色が、いかにも古びていて手描き風です。
全部が線描ではないですし、手描きというわけではなくて色なんかも印刷のときにベタで指示したようなところもある、描かれる町にしても電信柱くらいはあってもいいかな、ちょっとスケールがなあ、この巾の路地に交番はないんじゃあないなんて思いもするんですけど、全体がいいんで納得ですね。」と降参状態。
一方、小説の方は、というと
「私には主人公の身勝手さだけが見苦しく映ります。
お話としても、どこかで読んだような。これで直木賞か・・・」とバッサリ。
で、やっと受賞作を読むことになりました。装画は吉實 恵、影山の絵はデザイナーっていう感じですが、吉實のそれは趣が全く違ってある意味万人向け。私は見ていて、洋画の大家である大津英敏の作品を連想しました。少女の表情、ちょっとヘタウマふうな風景の描き方。やったー、という感激はありませんが、抵抗感はありません。いかにも日本の風景といった感じです。装丁は奥沢光雄。
収められているのは六篇。書き下ろしの「凍蝶」以外は、すべて文藝春秋の「オール読物」に2003〜2005にわたって掲載されたものばかり。まさに文藝春秋主催の直木賞のサラブレッドとでもいいましょうか・・・。簡単に紹介をしていきましょう。
三十年以上も昔の、大阪万博の前のこと。私が大阪で過ごした小学二年から四年までの三年間。文化住宅が並ぶ袋小路に住む人々と朝鮮人の家族の関係が「トカビの夜」、大阪の下町に住んでいた私が十歳のとき買ってしまったのは、それを飼う家に幸せを運んでくれるという「妖精生物」、ろくに働きもせず、いつもぷらぷらしていたおっちゃんが死んだ。女のひとにもてたおっちゃんの遺体が火葬場にむかうとき起きた「摩訶不思議」。
娘の誕生を誰より喜んだ父は、二年後に事故で死んだ。そして四歳のとき妹は変った。彼女が見ていたものを僕が知ったのはそれから三年後「花まんま」、四十年近く前、大阪に住んでいた八歳の私が死を前にした男の病床で見たものは「送りん婆」、三十五年ちかく前、大阪に住んでいた私は、生まれた家ゆえに差別をされていた。親しかった友だちもいつしか離れていって、いつも一人ぽっち。そんな小学二年生に声をかけてくれたのは18歳のお姉さん「凍蝶」。
これなら直木賞をとってもいいかな、と思います。まず、シリーズ・キャラクターがいない。どの話も独立しているのがいいです。つまり、短編という制約の中で勝負をして、読み手に登場人物、時代、地方といったものを完璧に伝え、しかも単にノスタルジックにならず、どこにもちょっとした不思議があります。
「摩訶不思議」以外は、主人公が過去を回想する、というパターンをもってはいますが、ただ過去の風物に思いを馳せるというのではなくて、昔の不思議はいったい何だったのか、といったミステリ風な展開をします。ただ、その謎というのはあくまで話の展開に必要なものではあっても、中心は人間です。

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2005/10/20 17:54

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2005/11/07 23:49

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2006/01/11 17:28

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2006/01/26 00:39

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2006/02/14 18:52

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2006/03/16 13:14

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2006/05/15 12:17

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2006/04/25 00:00

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2006/04/29 09:54

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2006/06/06 19:32

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2006/07/15 21:51

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2007/03/04 15:42

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