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太平洋戦争を総復習できる本だが、ただ史実を当てるだけでなく、一つ一つの決定や時代の空気がどのように形成されたのかがわかりやすい。
また、戦時中の異常な状態と思いがちなことが、現実の社会にもおこりうることだと感じさせられた点が印象に残り、考えされられる。
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知っているようで知らない太平洋戦争。
年表に載っている事柄は知っていても、
その中身が何なのかはよく分からない、ということもしばしば。
これはその中身について、感情に偏らず淡々と
書かれていて読みやすい。
ここにかいてあることが全て真実とも限らないので、
一冊の本に書かれている事を鵜呑みにしてはいけないが
太平洋戦争、というものについて知るきっかけにはなると思う。
なぜ日本は戦争をすることになったのか。
なぜ止められなかったのか。
途中でやめる選択は無かったのか。
あの時、もうひとつの選択をしていればそこで
終わったかもしれなかったのに、というポイントが思った以上にあって、
読んでてとても歯痒かった。
また、戦略が無く戦術のみで突き進んでいったところなど
現代日本の政治にも当てはまっていると思う。
最近の政治家を見ていると、国家百年の計、とか
どう考えているんだろう、とかよく思うから。
あと、こういうのを読めば読むほど、
真実の歴史、正しい歴史、などというものは存在しない、
だからいろんな角度から書かれたものを万遍なく読まなければ
、と思う。
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太平洋戦争を批判的にとらえながら概観した本。
細かい部分の記述を最小限にとどめ、あくまで「どうして戦争が起こったか」、「どのように戦争が進んだのか」「なぜ戦争は続いたのか」「なぜ戦争が終わったのか」といった大きな枠で読者が理解できるよう構成されている。学校で近現代史を細かく習うことの少ない日本人にとっては、このぐらいの説明がちょうど理解できる範囲にあると言えると思う。少なくとも私にとってはちょうどよかった。
本書で大変興味深かったのは、「日本ははっきりとした目的を持たずに戦争に突入した」点について掘り下げて説明している点である。すなわち、「何をもって戦争の終結とするか」があいまい、というよりもその視点がないまま、「攻める、勝つ」という近視眼的な見方によってのみ突き進んでいってしまったというのである。
別の本で、太平洋戦争の時代、すでに他国ではインテリジェンス戦略が重視されていたが、日本は終戦直前に中野学校で養成された情報将校がいるばかりで、しかも彼らのもたらすインテリジェンスは戦略として活かされることはほぼなかったということを読んだことがあったが、まさにそうした点が本書も指摘するところの「戦略・戦術のないまま進んだ戦争」に陥ってしまった理由ともなっているのであろう。
もう一点、本書で感じたのはやはり、昭和天皇の存在の大きさである。本書からは終始冷静にして、国民を思う心を第一とし、政府の人事についてもできる限り平和裏に問題を解決できる人材が表舞台に立てるよう腐心した昭和天皇の姿がうかがえる。終戦後最初の総理大臣を皇族から立てたことは、とりもなおさず戦後復興の重責を担う覚悟を天皇自らが強く持っていたからに他ならないものと想像する。
ともかく、太平洋戦争の内幕についてまず流れをつかむためには大変よい本である。
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ひとつの指針として捉えるべき内容です。あくまでこの作者は「あの戦争は如何に愚かだったか」を解きたいようです。それはそれで受け止めましょう。両端の意見をふまえた上で、持論をもつべきです。そのためのいち材料としては、読みやすい文体でシンプルだったと思います。
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戦争について学ぶことが好きだけれど、体系的な知識に欠けるな・・・と思っていたのでこの本を手に取りました。
保阪正康さんは『昭和陸軍の研究』などで名前を存じており、 元来は作家さんなのでわかり易いかな、と。
事実、とてもわかり易かったです。昭和の日本が、なぜ戦争へ向かったのか・・・そして戦争責任は誰にあるのか。それに関してはこれまでもいくつか本を読んできましたが(卒論も軍事関係でした)この本には海軍が戦争の直接的な引き金を引いたと書かれており、大変驚きました。
この本の事実を鵜呑みにするのは、あまり賢明なことではないかもしれないので、今後複数の文献から客観的な事実を追究したいと思います。
2・26がターニングポイントとなり、シビリアン・コントロールが利かなくなった、というのは納得の説ですが、今後再びこういうことが起これば戦争が勃発する可能性があるとも考えられます。戦争でなくとも、国家が間違った方向へ誘導されることが有り得るのではないでしょうか。
今の日本の戦力(自衛隊とか警察とか)内では、恐らくそういうことをする人々は居ないと思いますし、そういう教育もされていないので大丈夫だとは思いますが、今後何十年かして状況が変わってきたとき、100%起こり得ないと言い切ることはできません。
よって、多くの人々がこの問題に目を向け、この事例を知っておくことが戦後日本の私たちの務めだと考えています。
そして棄民・・・二度とこういう人々を出さないような国家で有りたいです。
大変読み易い本でした。
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[ 内容 ]
戦後六十年の間、太平洋戦争は様々に語られ、記されてきた。
だが、本当にその全体像を明確に捉えたものがあったといえるだろうか―。
旧日本軍の構造から説き起こし、どうして戦争を始めなければならなかったのか、引き起こした“真の黒幕”とは誰だったのか、なぜ無謀な戦いを続けざるをえなかったのか、その実態を炙り出す。
単純な善悪二元論を排し、「あの戦争」を歴史の中に位置づける唯一無二の試み。
[ 目次 ]
第1章 旧日本軍のメカニズム(職業軍人への道;一般兵を募る「徴兵制」の仕組み ほか)
第2章 開戦に至るまでのターニングポイント(発言せざる天皇が怒った「二・二六事件」;坂を転げ落ちるように―「真珠湾」に至るまで)
第3章 快進撃から泥沼へ(「この戦争はなぜ続けるのか」―二つの決定的敗戦;曖昧な“真ん中”、昭和十八年)
第4章 敗戦へ―「負け方」の研究(もはやレールに乗って走るだけ;そして天皇が動いた)
第5章 八月十五日は「終戦記念日」ではない―戦後の日本
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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受験勉強ではほとんど軽視されてしまう近代日本史。「軍部の暴走」の一言で片付けられ、根本的な開戦の理由や、戦線を拡大させた理由など欠落した事実を確認するには良著。終戦記念日が8月15日だと思っていたところから、世界の常識とのギャップに驚く。
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読み易い良書。なぜあの様な馬鹿な戦争をしてしまったのか、というよりも、開戦後何度も機会があったのに何故やめることができなかったのか、を考えさせられた。考えることを放棄してしまうのが日本人の欠点である。311の原発事故後も似ている。
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年齢に関係なく読んでおくべき本だと感じた。
戦争に至るまでの過程を知ることで、今の社会と似た出来事も冷静に理解できる。あの戦争から学べる教訓は現代に活かせる。
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太平洋戦争総論。人間で言えば骨格か、「昭和史七つの謎」など各論(肉)を読むことで、その全体像が把握できるようになる。
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太平洋戦争の全体像がコンパクトにまとまっている。
思想的なバイアスもなく冷静な筆致で書かれている。
太平洋戦争の目的が何だったのか、そしてなぜ戦争が続けられたのか。
焦点がしっかり定まっているのがよい。
結局、列強のアジア進出に当時の日本の軍部が焦ったんだろうと思うけど、
(しかもとんでもなく"場当たり的"だったという…)
いま自衛隊のトップがいくらアナクロな発言をしようとも、
いろんな状況がマッチングしない限り、
軍部が突出せざるを得ないような60年前の状況が現出するとは
ちょっと考えられない。
案外、60年前の「異常な状況」から
現代に通用する教訓として引き出せるものは少ないと思った。
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面白い。
色々意見が多く主観ぶちまけが多いこの題材だが、ちゃんと事実と意見を分けて書いているため、読者に客観的に判断させようとしている文体が実に素晴しい。
この本の事実も一面かもしれないが、それでも自分が戦争を考える上で十分に参考になる内容であった。久しぶりにヒット。
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思想だとか理念だとかを押し出さずに書かれているところがよい。歴史を事実として受け入れることが大事なのだ。
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タイトル買いの1冊。
帰国の飛行機内で一気読み。
面白かった。
看板に偽りナシ…と思いますが、読み終わった今「あの戦争はなんだったのか」説明できない私がいる。…馬鹿なの?
「はじめに」が秀逸だと思う。
戦争を知ることから逃げてはいけない。
知るための努力をし続けたい。
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太平洋戦争の全体像がしっかりまとまっている本でした。
どうして日本が戦争に向かって、あんな無茶な戦い方をしなきゃいけなかったのか。
絶対の指導者がいるわけじゃなくて、国全体として暴力的な方向に向かってくのは必然だったように思う。
大本営が嘘を伝え始めたあたり、ガ
島あたりから場当たり的な戦力の投入を行い始めた当たりからどんどん狂っていったんだと思う。
外国がどうかわからないけどこういう組織の体質って今も変わらないし目標に対して一途に盲目になれる日本人の国民性もあまり変わらないのか。
ただこれが正解も不正解もない紛れもない歴史だしこれを後世のためにどう活かすかが私たちに与えられた課題。