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武士道と日本型能力主義 みんなのレビュー

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みんなのレビュー2件

みんなの評価4.8

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紙の本

武士道は滅私奉公を求めるものではなく、自立に重きを置く考え方であった!

2005/08/04 01:00

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、武士道を近世歴史学の観点から考察するとともに、その担い手たる武士たちによって培われてきた「日本的能力主義」と呼ぶべきものについて論じられた注目すべき書物である。
本書の前半では、「主君押込の慣例」「武家屋敷駈込み慣例」「藩の陣立て」などの様々な例を具体的に取り上げ、従来とは異なった観点から、武士道について論じられている。それによると、武士道はもともとは組織に埋没することのない個人の自立ということに重きを置き、君主やお家(藩)の為と信じれば、誰憚ることなく自己の信念を貫くことを良しとした考え方であったという。また、武士道の中心的な徳目とされる忠義についても、「阿諛追従でもなければ、奴隷の服従でもない。主体性をもち、見識をもった自立的な武士の責任ある決断として献身の行為」とし、滅私奉公的な面が強調された従来の見方に見直しを迫っている。
本書の後半では、武士が近世全般に渡って政治・行政を担うことを通じて形成された「日本的能力主義」について幅広い観点から論じられている。
著者によると、江戸時代は、門閥制度というイメージが強いが、それは一面的な理解でしかないとし、近世幕藩体制が独自の能力評価システムを取り入れ、身分が低くても、能力があれば上級職まで昇進できる体制を身分制と調整を図りながら構築していたとしている。その例として、徳川吉宗の「足高制」や幕末の諸外国との交渉に当たった外交官僚の異例の抜擢など身分にとらわれない人事を行ってきたことなどが紹介されている。このように固定的な身分制度に必ずしもとらわれなったことが、幕末の難局を乗り切り、19世紀にアジアで唯一近代化を成し遂げた一つの原動力となったと著者は指摘している。
一方、著者は、武士が長い間幕府や藩内の行政官僚を勤めていく中で、年功序列制度や稟議制度など独特の制度が培われ、それは幕府瓦解後も明治政府にも受け継がれ、近現代日本の大きな遺産となったと論じている。
現在では、両制度とも、否定的に捉えられているが、著者によれば、一概には否定できない面があるとしている。年功序列は、単に年を重ねれば、そのまま昇進できるというものではなくて、もともとそこには同僚との激しい競争が伴っていたとし、稟議制度は、見識があり実務に秀でた下からの意見を吸い上げるボトムアップ的な側面を有していたとしている。
著者は、終章で、バブル経済崩壊後の「失われた十年」と呼ばれ、日本経済が大きく減退した時期に、上述のような長い間培われてきた日本的な能力主義の慣行が失われ、それと入れ替わるように短絡的な「アメリカ経営型業績主義」が導入され、それが上手く機能しないことでさらに日本経済の悪化を招いたと指摘している。
本書は、武士道をやや理想化して捉えており、そのマイナス面の指摘が抜け落ちているなどいくつかの疑問点もあるが、日本近世の武士像の見方に再考を促す出色の書物と言ってよいであろう。

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2021/08/19 00:34

投稿元:ブクログ

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