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紙の本
挿絵に魅せられる「大人」の楽しむアンデルセン
2005/12/13 09:16
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
極彩色のビアズレー、とでも言うような、ちょっと恐ろしい感じもする挿絵が多数収められた、アンデルセンの童話の新訳本です。挿絵の作者ハリー・クラークは英語訳のアンデルセン童話集に書いたこの作品が処女作、2作目が「ポオ怪奇小説集」のカラー挿絵だったそうですから、雰囲気が想像できるというもの。好き嫌いのはっきり出そうな、異世界的、夢幻的な挿絵です。本自体も5センチほどの厚さ、重厚な色合いに金文字の入った装丁で、大人が愛でる、という感じの本になっています。
2005年はアンデルセンの生誕200年の記念の年。こういう本の出版もそのためでもあったのでしょう。
「雪の女王」はこんなお話だったのかとか、大人になって読むと童話もまた違うものを読んでしまうものになることがわかります。「夜鳴きうぐいす(ナイチンゲール)」の挿絵が、中国のお話なのにどう見てもこれは中近東だ、と余計な知識が邪魔してしまったりもしますが、王様のところに戻ってきたナイチンゲールの気持ちが何故か良くわかる、などというのも大人の読み方かもしれません。「おやゆび姫」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」「人魚姫」「絵のない絵本」と、良く知っているつもりの話も違う挿絵で読むとまた違う味わいです。「コウノトリ」「豚飼いの王子」「蝶」「パラダイスの園」などは読んだ記憶がないので、以前に読んでいても違った内容・結末だったのか、とも思います。あるいは大人になったので印象が強くなっただけかもしれません。
アンデルセンの作品は何度も翻訳されていますが、童話の御他聞にもれず、アンデルセンの童話も「子供にふさわしくない」と思われる部分が、時代時代によって省略されたり書き換えられたりしているそうです。今回の新訳は英語からの翻訳だそうですが、「絵のない絵本」の第十一夜は英語版で割愛されていたままとのこと。少し残念ですが、それも挿絵を重視、という性格上、この挿絵を最初に採用した英訳版を尊重したということで仕方がないのでしょう。
挿絵を楽しみ、大人になったからこそ味わえる、童話の世界を楽しむのもよいと思います。
紙の本
アンデルセンは自意識過剰な鼻持ちならない男だけれど、その童話も性格を反映して暗いものばかり。といって、それが詰まらないか、といえば少なくとも本人よりは遙かに面白いです
2006/01/15 22:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒俣宏の訳で贈る豪華本、といっていい一冊で、その鍵を握るのが挿絵をつけているハリー・クラーク(1889-1931)。彼のビアズレーを彷彿させる白黒、カラーの作品がこの本の特色でしょう。それについては、「ビアズレーもどきではない」ということも含めて訳者の解説に譲りますが、単に作品がカラーか否かだけで「似ていない」とは荒俣らしからぬ乱暴さではあります。
沢山の作品が収められているので、目次を書き写すことはしませんが、巻頭に「イラストレーション・リスト」があるのが、この本の性格をよく表わしています。収められている24の作品に、荒俣宏の「アンデルセン生誕二百年の、ささやかな贈りもの」という解説がつきます。ただし、この本の装幀についての注記は見当たりません。不要と思われるまでのクレジットを載せる会社もあれば、ここまで割り切る出版社もあります。この温度差は何に起因するんでしょうか。
個人的に意外だったのが「絵のない絵本」ですね。こういうまとまりのない、アル意味文学的と見られる作品とは思っていなかったので、あれれ、と思いました。アニメにでもすれば映像で誤魔化せるんでしょうが、文字情報だけでこれを読んで、例えば自分のこどもにこれは名作だよ、何ていえる大人を私は信用しませんね。これを味わうには、かなりの読み込みと修練が必要でしょう。
それは、どの作品にもいえることではあります。アンデルセンの人生の反映、おのれの傲慢ゆえに他人に受け入れられることの少なかった男の世界の見方が出ている、とはいえるでしょう。皮肉、とまではいいませんがどれも暗くて読んで心が晴れるというよりは、口数が減り俯いてしまうような話が殆どです。勿論、ホラーとかダークというのではないんですが。
で、荒俣の解説によればアンデルセンの作品には暴力と性の臭いが感じられ、それゆえ原本がそのまま訳されることは少なく、この本も英語本から翻訳だそうです。かなりオリジナルに近い、といわれる作品でも私はそういった気配を感じることはなくて、それってグリム童話のことじゃあないの?と思ってしまいます。やはり原本を訳出した上で読者の判断を仰ぐのが出版人の勤めでしょうね。
結構立派な本で、箱入りなものですから目立つのでしょう、娘たちに、なんていう作品が入っているの、と聞かれすぐに答えられたのが「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」「人魚姫」。読み終えて、あ、これがと思出だしたのが「おやゆび姫」「皇帝の新しい服」「雪の女王」「夜なきうぐいす(ナイチンゲール)、印象的だったのが「大クラウスと小クラウス」「幸福の長靴」「丈夫なすずの兵隊」「コウノトリ」「モミの木」「ワイルド・スワン」「沼の王の娘」。
人によって好みは違うでしょうが、数があるので気に入った作品が必ずやあることと思われます。
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