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文庫本上下巻。司馬遼太郎は本作において長曾我部元親を家康ほか一流の戦国武将に匹敵する天才と評している。しかし巡り合わせが悪く、その点悲運の武将として描いている。
長曾我部元親の悲運は、土佐という当時の僻地に生まれ、統一に十数年を費やした点にある。その間東海・近畿地方では信長の台頭が著しく、地方の大名たちは大きく水を開けられてしまったのである。この点から司馬は、頼朝、信長、秀吉、家康ともに天下に号令するためには東海道に生まれる必要があるという法則を示している。
なお元親は、中央政権に対して鋭い感覚を持っていた。本作での記述かどうか記憶は定かでないが、司馬は地方の大名で他にこのような感覚を持っていたのは大友宗麟ぐらいであるとも述べている。
元親は、信長に接触する際の窓口として明智光秀に接近した。しかし光秀は信長との関係が決して良好ではなく、これも不運であった。もとより信長には元親の領土や命を保証するつもりはなく、信長が四国征伐のために大坂に大軍を集結しているという情報を得たときの元親の絶望についてもよく描かれている。なお、この四国征伐は信長の死をもって中止され、元親は命拾いをした。
しかし結局は秀吉の軍門に降ることとなった。秀吉は基本的に人殺しが好きではなく、元親も比較的円満な合併のような形で臣従する形となった。
ただ、そこから親会社の小役人的社員の高圧的態度に悩まされる子会社社長の悲哀を味わうことになる。九州征伐の際の戸次川の戦いでは、仙石秀久の拙劣な作戦によって嫡男信親を失うことになる。元親の助言は聞き入れられなかった。これ以後元親は、政治はもとより人生に対する意欲を失っていく。晩年はお家騒動が発生したりしている。
戦国時代の隠れた名将ともいえる人物にスポットを当てた意欲作である。
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以前「人の人生は生まれた土地によって決まる」という話を聞いたことがありますが、このお話の主人公、元親はまさにそれだなと。
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長曾我部元親について書かれた本の上巻。
若かりし元親の、土佐を治めていく姿のなんと勇ましいことか。
劇的ではありませんが、世界にぐいぐいと引き込まれていつのまにか下巻へ行ってしまいます。
元親をご存じない方も、BASARAや無双から入った方々も、是非とも読まれたし。
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「戦国時代の女性で1番強いのは誰ですか?」
「菜々さまです。」
武家のむすめを見くびったか。 菜々さま最強伝説。
2巻の信親が好青年すぎて惚れる。
そしてどこまでぐうたらなんですか一家の主は。
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僕と苗字がちょっと似ている長宗我部氏の隆盛を描いた作品。
・あらすじ
四国の一郡の領主に過ぎなかった長宗我部元親。
そんな彼が武力調略を駆使し、四国を征服し京へ・・・。
しかしそこには隆盛の時を迎える信長がいた。
自分と名前が似ているし、四国を制覇した長宗我部元親に関する歴史小説ということで是非ともと思い読みました。
とても臆病で、それゆえ知略に長けた元親。彼は生涯を費やし四国制覇を成し遂げます。彼の独特の人柄、そして数多くの武勇が描かれていてとても面白いです。名前だけは知ってはいたけど、ここまでの人物だったとは。やっぱり、司馬遼太郎は面白い!!
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長宗我部家を描く小説を読むのは、この作品が初めてでしたっ!
あえて元親ではなく、妻である菜々の視点を中心に描いていて、新鮮でした。
妙にかみ合っているようないないような、そんな夫婦ぶりに心躍ったり、四国の想像以上の田舎っぷりにカルチャーショックを受けたり、なかなか初土佐は興味深い体験です!(この本は図書館で借りました。今度買います絶対)
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長宗我部元親の話なら読むしかないだろうjk。
太閤記を読んだ後やけんやけど、やはり四国統一ぐらいが身の丈なのかもしれぬな。
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長曾我部の戦国時代の作品だったと思う。実はまだ深く読み込んでいない。
さわりしか読めていない。でも面白かった。時間に余裕ができたら絶対読む
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2008/07/18上下巻読了
奥さんと元親の会話が可愛い。
この頃の瀬戸内の馬が見てみたくなった。ポニーみたいな感じなんだろうか。
下巻では時代の波に飲まれちゃった感というか、無気力になっていっちゃうのが切ない…
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土佐から興り、四国統一を果たした長宗我部元親の物語。
国を興す元親の勇気と行動力、それをささえた南国土佐の風土と気質、そして美濃から嫁いだ奈々の朗らかで暖かなまなざしによって鮮やかに描かれている。
実は元親は、幼少時には内気で「姫若子」と呼ばれただけあって、慎重で用心深く、なかなか陰湿な謀略家であり、決してさわやかな人物ではないんだが。それでも国の草創期の情熱とか、中央活躍する織田信長を目指す様子などは、表題のように若々しく気持ちがいい。
しかし、夏草のごとく長宗我部家が廃れるのも早い。信長の死後、大きく変換する世の流れには逆らえず、元親の領土は土佐一国に収まる。そして、将来が期待された長男・信親の死。長宗我部家の翳りが見えてくる。
長宗我部家は、元親の一代に興隆と滅亡とを語ることができてしまう。その一生の苛烈さ・鮮烈さが魅力なのではないだろうか。
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内容(「BOOK」データベースより)
英雄豪傑が各地に輩出し、互いに覇をきそいあった戦国の世、四国土佐の片田舎に野望に燃えた若者がいた。その名は長曽我部元親。わずか一郡の領主でしかなかった彼が、武力調略ないまぜて土佐一国を制するや、近隣諸国へなだれ込んだ。四国を征服し、あわよくば京へ…。が、そこでは織田信長が隆盛の時を迎えんとしていた。
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戦国BASARAで一躍有名になった長宗我部元親がテーマの小説。
お里や菜々の阿呆っぷりが面白い。
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長宗我部元親の人生を描いた歴史ヒューマンドラマ。家族への想いや大望を行うと同時に悩み苦しむ元親の純朴な優しさがとても心に響きました。妻の菜々姫が美しくてカッコよくて大胆豪気、そしてなによりも優しくて強い。元親の妻が菜々姫でよかった!この夫婦大好き!
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長曾我部元親が主人公の小説です
初めて知ったときは大興奮でしt(ry
当時の状況や登場人物の個性さがとても良く
歴史小説の中で一番早く読み終えたものですね。
いつの間にか、元親と一緒にいるような感じで
笑いや涙がでてしまう。という不思議な魅力がでています。
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戦国時代、土佐、四国を平定した豪傑長宗我部元親の話。
印象深いのは5歳の息子を戦場へ連れて行くと言い出し菜々と議論している場面。息子を連れて早期鍛錬するつもりなのかと心配する菜々に元親は言う。
「(戦場で)どの程度におびえるのか見たい。それを見た上でこの児の行く末にどれほどの期待をかけてよいのか、それを見たいという興味がある。臆病者であれば、信頼できる。臆病者こそ智者の証拠であり、臆病こそ智慧のもとである」
元親は自分が人一倍臆病であること、そしてそれゆえに智慧を高めることが出来たと自覚している。元親に言わせれば武将に必要な勇気は天性のものではなく、臆病者が自分自身を智慧で練り上げていくことで辛うじて得られる、後天的なものなのだそうだ。
このように一風変わった、しかしそのためにとても人間的な人格の持ち主である元親、好奇心が強く冷静に物を考える頭脳を持つ菜々、奔放な強さと誠実さを持つ信親など、この小説の中心となる人々はとても魅力的で、その分結末は残念で、これまで呼んだ司馬先生の作品の中では一際、感慨深いものがあった ◎