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紙の本
群集心理
2015/08/31 21:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
「群集心理」の恐怖がこの物語から感じられた。
確かに「流行」などは不思議なものでもある。過ぎてしまえばなんてことはないことなのに・・・
「流行」によってとんでもないところへ行く可能性もあると感じた。
紙の本
良かった!
2015/08/21 11:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナス - この投稿者のレビュー一覧を見る
漫画を読んでから買ったが、おもしろかった。内容もそんなに難しくない。
紙の本
考えた先にみえるもの
2008/07/16 21:11
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
政治家や教育者の立場にあるお偉いさん方を「お手本」としてどうしようもない事件がここ何年も続いている。
ワイドショーでもニュースでも、コメンテイターは日本人は恥じらいを忘れただの日本人のモラルが低下しただのとお決まりの文句を言う。
品格という言葉が大バーゲンのように使いまわされバカの一つ覚えのように日本中が同じ責め文句を飛ばしあっている・・・モラルの前に語彙と、個々人の言動と行動の責任意識の低下に問題があるのではと思ってしまう。
一言。正直、私は今国民の半数以上の支持を得ていたかつての小泉内閣が理解できなかった。TVやアンケートの統計とは裏腹に、当時小泉首相を支持している人間が私の周りにはいなかったからだ。
おかしいのは私の周りだけなのか?本当にそうなのか?不思議でしょうがない。本当にそうなのか?TVで報道される世論が、絶対多数が本当に真実なのか?あの頃の私はまだ、そう疑問に感じることが出来るだけのまともな精神と冷静な視点を持っていたのだ。
いつからだろう?メディアの報道を軽く受け止め流すようになったのは?
いつの間にか思考は停止し、面倒くさいからそのまま受け止め、無難だからそれにとりあえず賛同しておく、そんな頭になっていた。
考えろ!考えろ!
彼はひたすら呼びかける。考えろ!何を?目の前に起こるすべてのことに、全身全霊を持って考えろ!
なにはともあれ、この本を読み終えたとき、今の政治家たちがどんな虞衆に見えるのか、もしくはまともに見えるのか、それは考えてのお楽しみである。
紙の本
2005年、というか日本の政治小説は高村薫『新リア王』と、この伊坂の『魔王』で決まりでしょう。ベクトルは全く違うけれど、その目指すと高さの達成のレベルから、この2作以外はいらない、そういう作品です
2005/12/31 17:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はこの本の装幀が我が家で話題になっていたんです。親の影響をうけて若干書痴気味のある娘たちではありますが、この本が届く前から、高二と中三の娘二人が「今度の伊坂の『魔王』、デザインが素晴らしいだよね」騒いでいました。聞いていた私は、正直、???だったのですが手元にきた実物を見ながら、そうか、このシンプルさが子供たちを喜ばせたのか、そう思いましたね。その装幀は、デザインの秘密を明かした『眼の冒険』を書いた松田行正、むしろ嶽本野ばら、の本の装幀をしている人、といったほうがいいかもしれません。
扉の裏に載っている巻頭言は
「とにかく時代は変りつつある」 『時代は変る』ボブディラン
「時代は少しも変らないと思う。一種の、あほらしい感じである」 『苦悩の年鑑』太宰治
とあります。
何だか古川日出男の『ベルカ、吠えないのか』の巻頭言
「ボリス・エリツィンに捧げる。
おれはあんたの秘密を知っている。」
を連想しますね。
「魔王」の主人公は、俺、大学の友人・島に卒業以来5年ぶりに出会う、とあるから27歳だろう、安藤。口癖というか、頭の中で困った時に呟く言葉は、「考えろ考えろマクガイバー」。それが示すように、物事をよく考えることを信条として、学生時代は異色の存在。両親亡き後一緒に暮らしているのが弟の潤也で「岩手山」が大好き、その恋人が詩織ちゃん。職場の同僚で有能な美女が満智子さん。
そして、友人が去ったあとで、電車の中で傍若無人な態度を示す若者を見ているうちに俺が起こした行動、それが主人公の運命を変えていきます。その鍵となるのが、島が語り、潤也たちがテレビで見て、「ドゥーチェ」というバーのマスターも認める政治家。この時、野党、未来党の党首犬養、39歳。ちなみに、ムッソリーニが政権をとったのも39歳だそうです。
発言は明快で、裏表がなく、自分が落選することも国民の意思であれば厭わない、そういう男の発言は、問題先延ばしでなし崩しに現状を捻じ曲げていく既成の政治家に絶望していた人々の心を捉えていきます。その魅惑的な言葉に、主人公はひとり「考えろ考えろマクガイバー」と囁くのです。
「呼吸」は「魔王」から五年後という設定です。語り手は、わたし、詩織、28歳、事務仕事をする派遣社員です。ということは、「魔王」のとき23歳。当時、付き合っていた潤也くんと無事結婚しています。結婚後、一時東京暮らしをしていたようですが、今は二人で仙台に戻っています。
今、私が働いている、というのが、仙台のプラスチック製品のメーカーです。そして、夫である潤也くんは、五年前からなぜかジャンケンでは絶対に負けない人になっているのです。それは、ジャンケンに限ったことなのだろうか、と私と潤也くんが実験をするあたり、それは「魔王」で、兄がとった行動と対をなしています。
あとがき、のなかで伊坂はこの作品を、政治小説ではない、でも でもない、と書きます。読んでいて私が感じたのもそれです。今まで幾つか読んだ政治小説は、欺瞞と腐敗、欲望と暴力に満ち溢れ、ただただ読むものの政治離れを促した気がします。でも、この本を読んで気付くのは、知らないうちに自分が「考えろ考えろマクガイバー」と口にしていることです。
結果は、私は改憲に反対、ですが、人はこの小説に登場する多くの国民のように、とりあえず改憲賛成かもしれません。この話を読んだ娘が、果たして犬養に一票入れるのか、ノンというのか、気になります。
紙の本
21世紀日本を生きるための必読書
2005/12/19 08:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジェニファー - この投稿者のレビュー一覧を見る
友人たちに「この本面白いから読んでみて!」と薦めたくなる本はよくある。しかし、この「魔王」という作品ほど、切実な意味で「絶対に多くの人に読んでもらいたい」と思った本はない。
ここには連作二編が収められていて、表題作の「魔王」では、一人の政治家によって変えられようとしている日本に激しい危機感を抱き孤独な闘いを挑もうとする兄を、そしてもう一編の「呼吸」では、兄とはまた別の闘い方でこの流れを食い止めようとする弟を描く。…が、こんなあらすじでは、この作品の本質を語ったことにはならないだろう。
先日の選挙では自民党が大勝利をおさめた。あまりにもタイムリーすぎて、この作品の意図をいろいろと深読みしてしまいそうになる。だが、「魔王」という作品が描きたかったのは、決して独裁者に支配されようとする日本の恐ろしい未来などというものではない。独裁者と呼ばれる人間を自ら選び、そしてそれに従おうとする、「大衆」という名の顔の見えない怪物の姿なのではないだろうか。
だからこそ私は、私自身を含む「大衆」がこの作品を読むべきだと切実に思う。そして「大衆」であることの恐ろしさと、常に「個人」を見失わないでいることの困難を、深く考えなければならないと思う。
紙の本
小説を超えた小説でした。
2005/11/29 14:59
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきに、「ファシズムや憲法に関して出てきますが、それらはテーマでありません。かと言って、小道具や飾りでもありません。」と書かれている通り扱っているテーマは重いですし、憲法第9条の法改正案や日米、日中問題など未来を予測しているかのような流れになっていたとしてもこの小説はそれに対して述べているものではありません。
社会問題に関して問うわけでも、答えを出すわけでもなく、淡々と「考えろ、考えろ」という「魔王」に登場する安藤(兄)の言葉が読者の胸に響くのです。
読んでいてハッとさせられる瞬間が何度もあり、果たして今自分が考えていることは私自身が出した答えなのか、それとも誰かに刷り込まれた考えなのか、一体どちらなのだろう?と見えない恐怖を感じてしまいました。
情報社会の今、無理矢理目を閉じ耳を塞がなければ自分が知り得たいと思わない情報であったとしても自然と情報の渦の中に巻き込まれていきます。
社会で起きている事件を見ても始めは小さな流れがやがて巨大な津波となり、ある日突然襲いかかってくるという場面を目の当たりにする事もあります。
毎日流れ出てくるニュースに対し、自分が考え意見するものが果たして本当に自分の内から出たものなのか、もしくは別の何者かの意志によって導かれ出した答えなのかすら一瞬分からなくなってしまう恐怖感。
300頁足らずの本で今、自分が置かれている場所の危うさを感じさせられてしまうのです。
しかしだからと言って決して閉鎖的な気持ちになるわけではなく、逆に一筋の光を見出させてくれる、そんな不思議な読了感が残る一冊なのです。
読者の前に荒れ果てた真っ赤な荒野と澄み切った青空の両方の未来が交互に押し寄せてくる、そのどちらを選ぶのか、どちらの未来を手にするのかラストはそのまま読者の想像に委ねられるのですがその余韻が心の中にずっしりと残る一冊でした。
紙の本
ぼくらの未来圏
2005/10/22 21:08
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来小説。しかもごく近い将来の日本が舞台。演説に長けた「犬養」という政治家が党首の未来党が政権を握ろうとしている。断定口調で分かりやすい犬養の言葉に流される若者たち。現在の日本と酷似しているこの風潮に、主人公の青年はファシズムの危機感を抱いている。
今までの伊坂作品との大きな違いは、今の日本の外交・経済・通信・歴史観などに対する批判ともとれる風刺が効いている点だ。本書を読むと、同年代の若者にどうしても伝えたいことがある、という著者の気持ちがひしひしと伝わってくる。伝えたいこととは、「自分の考えを持て」ということ。今の世の中は諦観と無責任が蔓延している、と本文に書かれているが、確かにそのとおりだ。選挙にしても、‘どうせ誰が当選したって変わらない’と思っている20代・30代は多いだろう。でもそこで、投げやりになったり長いものに巻かれたりしていいのか、と伊坂幸太郎は警鐘を鳴らしている。
若者が国に誇りをもてないのは大人が醜いから、というセリフには、著者の同年代の人間として大いに共感できる。正直言って、未来は明るいものとは到底思えないし、どうやったらこの国が良い方向へ向かっていけるのかも皆目分からない。でも、考えることを止めてはいけないのだ、と本書を読んで強く感じた。いつまでも大人のせいにばかりしてもいられない、とも。
—「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば世界は変わる」
—「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」
2人の主人公のセリフは青臭いだろうか。
「未来は晴朗なものなのか、荒廃なのか」—それは誰にも分からないが、自分の力を信じよう、と読み終わって強く思った。同年代の作家に伊坂幸太郎がいるということは、とても幸せで心強いことだ。