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紙の本
長崎屋の若だんなと妖怪が解決する事件の数々。しゃばけシリーズ第二弾。
2010/10/28 18:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
廻船問屋兼薬種問屋長崎屋の若だんな・一太郎は超虚弱体質で、ちょっとした拍子にすぐ寝込んでしまう。
大事な跡取りに何かあってはと両親が過保護なだけでなく、手代として長崎屋に奉公する妖・仁吉と佐助も、大妖だった若だんなの祖母の命を受けているため、過保護どころではない。
そんな訳で何もさせてもらえず暇を持て余している若だんなは、周囲で事件が起こると、あれこれと理屈をつけては妖達の助けを借りて、事件の解決に乗り出すのだった。
全体の印象は第一弾のしゃばけと同じく、なくても理解できる解説による間延びした印象と、説明不足による理解しずらい部分、理解できない行動がちらほら。妖怪の妖怪たるべき特徴もあまり描かれておらず、単なる登場人物になっているのも気になる。
それでも、そこそこ楽しく読めてしまうのは、妖怪達の力を借りて起った事件の情報収集をし、若だんなが聡明な頭脳を巡らせて推理、解決するという軽めの推理ものであり、物語そのものも面白いからだろう。
ただ、妖怪が簡単に情報収集してきてしまうことに推理ものの醍醐味はなく、軽めの情景描写ということもあって、肩の力を抜いて気楽に読む作品だと感じた。
本書は、長編の第一弾と違い、一話完結の全六話で構成されている。
仁吉が参考人として疑われた、家事とともに起った人殺しの解決に乗り出す【ぬしさまへ】
幼なじみ・栄吉の作った不味い饅頭で死んだと騒ぎになり、若だんなが栄吉の無実を晴らす【栄吉の菓子】
若だんなの腹違いの兄・松之助の奉公先桶屋東屋で起った事件と、若だんなと松之助の初対面を描いた【空のビードロ】
田原屋で買った新品の布団から聞こえる女のすすり泣き。そこには田原屋内の問題が関わっていた【四布の布団】
長崎屋の手代・仁吉の千年にもわたる思いと、その失恋を描く【仁吉の思い人】
若だんなが入り込んだ誰かの夢と、その切ない思いを描いた【虹を見し事】
第三話【空のビロード】では、腹違いの兄・松之助の奉公先桶屋東屋での出来事を描いているが、第一弾で描かれているのと異なる部分があるのが残念。
本書の中で、第二話【栄吉の菓子】が物語の推理色が強く、一番楽しんで読めた。
紙の本
長編『しゃばけ』よりおもしろかった。短編のほうがいいですね。不満もあるけど
2006/03/02 22:10
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸でも有数の大店の一人息子、体が弱くよく寝付くが妖しのモノを見ることができる一太郎と、店の手代二人(実は彼らも妖怪)、妖しのモノには妖しのモノが寄ってくるのか、彼らの周りには不思議な事件がよく起こる。布団が泣き声をあげたり、友人の菓子屋の跡取り息子がつくった饅頭を食べたご隠居が急死したり。頭脳明晰ながら病弱で出歩けない一太郎、代わりに妖怪たちが手足となり事件の謎を解いていく、『しゃばけ』に次ぐシリーズ二作目、短編六作を収めた短編集。
どれもそれなりに楽しめはするのですが、不満なことも。前作を読んだ人なら、一太郎と妖怪たちが力を合わせて(といっても妖怪たちは情報を集めて回るくらい、もうちょっと活躍させてもいいのでは。これも不満の一つ)事件を追っていくのが読みたくて、このシリーズ二作目を手にする方がほとんどではないでしょうか。ところが、肝心の妖怪たちが出てこないのがある!六作中一作だけなのですが、この『空のビードロ』、一太郎の腹違いの兄の生い立ちについての話で、人情話としてはよくできてはいるのですが、このシリーズにそんなのを期待していない。妖怪たちが活躍しての人情話ならまだしも、まるで出てこないんですから。だいいち普通の人情話なら、もっともっと上手に書く人がたくさんいる。読みたかったらそっちを手にします。せっかく病弱な若旦那と妖怪たちというおもしろい設定を思いついたのですから(似たようなのは小説にもマンガにもいっぱいありますが)、もっともっとそれを上手く利用していったほうが良いのではないでしょうか。読者の多くもそれを望んでいると思います。
この後のシリーズ作も出ているようなので、そちらに期待します。