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カモメに飛ぶことを教えた猫 みんなのレビュー

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みんなのレビュー39件

みんなの評価4.3

評価内訳

39 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

猫たちは、カモメに飛ぶことを教えることができるのか。

2010/06/05 21:13

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yutsu - この投稿者のレビュー一覧を見る

日光浴をしていたふとった黒猫ゾルバのところに、原油にまみれ力尽きたカモメが落ちてきた。弱ったカモメはゾルバにみっつの頼みごとをする。
ゾルバは雄猫なのにママになり、育てると約束したのは食べ物にもなりうる鳥。そして飛べない猫がカモメに飛び方を教えるために、タブーを破って人間に力を借りる。
原油で海を汚したのは人間という生き物。いちばんはじめの救いの言葉はなんともしらじらしくも見えるのだけど。

たくさんの壁が、壁として存在はしていても、それは塞ぐものではないのだと、意識次第では簡単に跨ぎ越すことは可能なのだと、その広い度量 で猫たちは教えてくれる。他のものの立場や尊厳を尊ぶことすら。

カモメとの約束でひなに飛ぶことを教えなければならないのに、猫に育てられたひなは「わたしは猫がいい。飛びたくない」と言い出す。ゾルバたちにあんなふうに愛されているなら、そう言い出したフォルトゥナータの気持ちがわからないとは言えない。チンパンジーにいじめられ、泣きながら「わたしをふとらせて食べるつもりなの?」と問うフォルトゥナータに真剣に語るゾルバが、愛しい。

猫たちは、カモメに飛ぶことを教えることができるのか。

最後の詩人のためいきと共に吐かれた言葉がたまらなく好き。
牧かほりさんのイラストもキュート。ひなが猫たちに囲まれて、きゅーっと伸び上がっているところとか、ゾルバの背中でくったりとくつろいでいるところは特に。幸せ。

猫に頼られるような詩人になりたいと、本気で思いました。

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紙の本

異なる者どうしの愛

2010/03/09 22:03

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

サンゴロウに、ルドルフに、ゾルバ。

猫本を読む度に、心の猫友達が増えていくこの頃。

特に最近は、黒猫の友達が多い。

黒猫が他の猫と違うところは、「黒猫である」ということに
重きを置かれた設定になっているところだろうか。

それだけ、黒猫は黒猫として見られているということだろう。

黒猫は普通に素通りされることがない。

縁起が悪いといわれるか魔除けとしてありがたがられるか。

『キャット・ウォッチング2』によると、
イギリスでは黒猫は幸運をもたらすといわれ、
アメリカでは縁起のいいのは白猫、縁起の悪いのは黒猫であるといわれる。

ゾルバも生れて早々母親にこんなことを言われてしまうのだ。

  港の猫はとても恵まれているわ。でも、おまえは慎重に。

  おまえには、もしかしたら何か不幸を呼ぶものがあるかもしれないから。

  きょうだいたちをごらん。

  みんな、グレーか、トラのようなしま模様でしょう。

  それなのにおまえだけ、ほら、真っ黒で生まれてきたんだもの。

  あごの下に白い小さな星があるほかは、体じゅう黒いわ。

  人間のなかにね、黒猫は不幸をもたらすと思っている者もいるのよ。

  だから、ぼうや、決してかごから出てはだめ

だが、そんなことでひるむゾルバではない。

好奇心が勝って冒険に出かけるのだ。

それでヒドイ目に遭うのだが、
子猫の頃から災難にも屈しない精神力と
機転やユーモアがあったのだ。

ヒドイ目に遭ったことがきっかけで
今の飼い主の男の子に出会うことになり、
今は結構よい暮らしをしている。

黒猫は、災い転じて福となす???

そんなゾルバは、大きな猫で、
チンピラ猫やねずみには、デブ猫なんて言われている。

もちろん、それを聞いてだまっているわけじゃない。

長い爪を一本見せてこういうのがお決まりだ。

「どうだ、気に入ったか、これが?
 同じモデルがあと九本ある。試してみたいか?」

さて、そんなゾルバは、飼い主一家が旅行に出かけて
しばらく気ままに過ごせると思っていたのだが、
ひょんなことから予期せぬことに巻き込まれてしまう。

バルコニーでのどをごろごろいわせながら、日光浴を楽しんでいると、
体じゅうに、いやな臭いのする黒いものがしみついている
カモメが飛び込んできたのだ。

  黒い波にやられました。あの黒い毒、海の呪いです。

  わたしはもう死ぬ……

  わたしはこれから卵を産みます。

  最後の力をふりしぼって、産んでみます。

  猫さん、あなたはいい方だわ。高貴な精神をお持ちだわ。

  わたしはあなたに、三つのことを約束してもらいたいの。

  聞いてくれますね?

  どうか、わたしが産む卵は食べないと、約束してください。

  そしてひなが生まれるまで、その卵のめんどうを見てください。

  最後に、ひなに飛ぶことを教えてやると、約束してください。

ゾルバは、カモメにその3つの約束を守ることを誓うのだった。

港の猫仲間の大佐、秘書、博士は、
「港では、一匹の猫の問題は、すべての猫の問題」、
「港では、一匹の猫が名誉にかけて誓った約束は、港じゅうのすべての猫の約束」
ということで、ゾルバに協力する。

カモメの卵をかえすのはゾルバが卵を温めて奮闘し、
育てるのも港の猫みんなの協力でどうにかなった。

しかし、問題は、3つ目の約束である。

飛べない猫がカモメにどうやって飛び方を教えるのか。

しかも、カモメのフォルトゥナータ(「幸運な者」という意味で命名された。)は、
猫といっしょに育ったせいか、自分を猫だと思っているし、
飛ぶ必要性があるのかとさえ思っている始末。

自分は猫ではなくて、鳥なのだと、教えられ、
また、本能的にも飛ぶことに対する憧れがあることに自分で気づくのだが、
彼女には、飛ぶことを見本となって教える存在・母親や同種の仲間がいない。

それでも、なんとか飛ぼうと挑戦するも、なんと17回も失敗してしまう。

このままではフォルトゥナータが自信をなくしてしまうと
この挑戦を中止しようと考える猫たちだが。

そんなときゾルバは猫界の掟を破らせて欲しいとある提案をする。

それは・・・・。

ゾルバの掟破りの行動はユーモラスであるとともに
その勘によって選ばれた相手は、
一見、鳥を飛ばすことにおいて知識があるとは思えない者なのである。

その結果はどう出るのか・・・。

17回挑戦しても飛べなかったフォルトゥナータは飛べるのか?

飛ぶというのはどういう意味を持つことなのか?

そもそも、この物語のきっかけとなったカモメの死、
そして、猫たちの会話の端々に、
人間の行動の不可解さや環境問題というテーマが隠されている。

私たちは、個性の異なる者に対してばかりでなく、
異種共存に対して種としても狭量すぎるのではあるまいか。

ゾルバがフォルトゥナータに異なる者どうしの愛の素晴らしさ、
それに気づかせてくれたのはフォルトゥナータなのだと
力説するシーンには大いに心を動かされる。

3ページほど丸ごと引用したい誘惑に駆られてしまうが、
一部に留めておくので、全文はぜひ確かめてみてほしい。

  いいかい、きみは、カモメだ。

  そして、カモメとしての運命を、まっとうしなくてはならないんだ。

  だからきみは、飛ばなくてはならない。

  飛ぶことができたときこそ、フォルトゥナータ、
  きみはきっと、ほんとうに幸せになれる。

  そうしてぼくたちに対するきみの気持ちも、
  きみに対するぼくたちの気持ちも、
  今よりもっと強く、かけがえのないものになるはずだ。

  だってそれは、まったく異なる者どうしの愛だから。

違っていても愛せるのではなく、違っているからこそ愛せるのだ。

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2006/01/22 00:23

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