紙の本
東京タワーの見守ってくれる場所の物語
2008/07/27 18:11
11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
叔母を家まで送った帰り、首都高目黒線に乗った。しばらく走ると東京タワーが右手に現れました。高速は緩やかなカーブになっていて東京タワーがどんどん迫ってきます。ビルのなかに立っている東京タワーは真夏の空に高くそびえ男らしく見えました。私のバッグの中には『東京タワー』(江國香織著)の本が入っていました。東京タワーが視野から消え去ったとき、これはきっと引き寄せられたのだと思いました。
この小説の書き出しは「世の中でいちばんかなしい景色は雨に濡れた東京タワーだ」。またあるときは「昼間の東京タワーは、地味でやさしいおじさんのようだ」と。主人公、透の部屋からは東京タワーが見えます。透と耕二は高二のときからの親友です。裕福な大学生活を送っている透と耕二。そして年上の女と恋をしている透と耕二。私は大学生と人妻の恋の行方より江國香織さんの愛の形に魅了されました。
「恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを詩史に教わった。いったんおちたが最後、浮上は困難だということも。」(52ページ)
「誰と暮らしていても、私は一緒に生きたい人と一緒に生きる。そう決めてるの」詩史はそう言ったのだった。透をまっすぐに見つめ返していた。その顔には美しい微笑さえ浮かべていた。(260ページ)
この文章に一つの愛の形が凝縮されていると思います。愛の甘美さのなかに残酷さが感じられ、まるでパイレーツ・オブ・カリビアンの海賊船が深海を彷徨っているような怖さがあります。一方、耕二は恋愛に利己的ですが脆さ、弱さをもっていて読んでいて、ほっとしました。この作品は二十歳になった透と耕二の対照的な恋が描かれていて、魅了されました。もっともっと江國香織さんの作品を読みたくなりました。
紙の本
伝わってきた想い
2017/10/17 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る
透は本当に詩史のことが好きなんだと伝わってきました。そして、不思議なことに喜美子のほうが詩史よりも年上に感じました。
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大学生の二人の少年の恋愛を描いた作品です。主人公の一人である透は、母親の友人である詩史を高校2年生の頃に紹介され、それから数年後の今現在、全てが詩史中心の生活を送ることになる。既婚者である詩史との未来を考えることは、透にとっても苦しく切ないものだけど、それでも、音楽、本、匂い。日常の全てが詩史中心となり、一喜一憂しながら毎日を過ごしてしまう。一緒に暮らす、のではなく、一緒に生きる。人生のパートナーとして。大学3年生になった透と誌史はある決意をするのだが・・・ちょっと不思議な日常のお話。 二人のちょっとゆがんだ恋愛はどこに向かうのか。。 江國さんの恋愛作品で、大学生の男の子が主人公になるなんて、ちょっと意外だった。夜の寝る前に、物語の中の世界として楽しむには退屈しない本だけど、あまり健康的じゃないストーリーな感じだった。
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この話は苦しいなぁ、と思った。透が苦しすぎる。詩史を愛しすぎて内にこもりすぎだし、バランスが悪く幸せには思えなかった。
引用にステキなセリフがあった。こんな瞬間味わいたいな。と思った。すごくステキに表現している。
あとは。ポテンシャルを低くしていておいた方が傷つくことが少ないのかもしれない
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いくつになっても恋愛したいと思う女性が多いという。
年下の男性と不倫したい人は読んでみては?
私は疲れそうだと思った。
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「確か映画化されていたなぁ」という軽いノリで読んでみました。
うーーーん。
ここに出てくる人妻たちはとても恋愛の才能がある人たちなんだね。と姫野信者のワタシは思いました。
ドロッとした不倫関係をさらさらと小川のような文体で書いてあり、登場人物の心情に感情移入しにくい。
江国香織の文体はオシャレすぎて好みじゃないので購入はしませんわ…
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年上の女性(主婦)と付き合う二人の19歳大学生のお話。
現実的に書いてあるかと思えば夢うつつにきれいで江国さんらしい。
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江國さんには珍しく、二人の青年が主人公。そのせいか、なんとなく物足りなさを感じる。高校生から大学生になる時期の男子って、こんなに清潔感(というか理性)あるかなぁ?実は、このおはなし、『鳩よ』連載時に読んでいたはずなのですが、印象薄いんですよねー。単行本になって読んでも、それは変わらず。うむー。
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ずっと前から気になって、文庫本が出るのをずっと待ってました♪
他の江国作品とは少しテイストが違って、ますます作者の幅の広さを感じさせられました。。映画を直前に見ていたので、違いを楽しみつつ一気に読みました。
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2人の青少年の目を中心に描いている。少年と中年女性との恋愛ドラマを淡々と描いていて、エンディングもきちんとしているわけではない。
でも記憶には残る作品。
センスの良い会話。そして描写。
どこまで読んだが分からなくても、途中から読んでもなんとなく納得してしまう。ちょっと不思議な本です
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このお話しは主婦と学生の恋愛モノな訳ですが結論的には終末までの事は書かれていません。
始まり〜終末直前までが描かれてますが読み終わった時は結論を知りたい!!と思いました。
でもよく考えるとこの組み合わせで結論をHappyEndで終わらせるのは至難なのかなぁと・・・
明るい未来に向かって進んでいく感じで終わるのでそこで終わるのが一番良いのではないかと思うのです。
これ以上続けるとその未来もくじかれて破局し暗い感じで終わるのかなぁと・・・
全体を通して綺麗という印象で描かれているので最後までその状態でEndを迎えてなかなか作品としては優れているのではないかと思った。
私如きが点数つけちゃうと90点あげちゃいます。w
まぁお話しを読む時って中の人に自分を照らし合わせて感情移入してしまうのですが、この作品の場合主婦側にも感情移入できるし、学生側にも感情移入しちゃったり・・・
私はどちらの立場も少しずつわかる感じでふらふら揺れ動いてました。
続きはまた・・・
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江國さんにとっては珍しい大学生の男の子2人が主人公の話。彼らは年上の女性と付き合っているが、2人とも既婚者。それでも真剣に恋愛しているというの彼女の方の気持ちが私にはどうしても理解できなかった。
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大人の女性と大学生の恋。詩史さんは素敵だけれど、何を考えているのかイマイチわからなかった。わかりやすすぎる耕二はどうかと思う。透は純粋で、いいなと思う。喜美子さんは怖かった。でもお金が使える主婦って素敵だ。
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期待しすぎてしまった。というのが率直な感想。自分の好みが変わってきたせいか、江國さんの本にあまりハマらなくなってしまいました。
どうなるのかなってどんどん引き込まれはしたけど、特にどうもなかった。でも、映画はどんなかなーって気になります。
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ふむ、えくに先生こういうのもかけるのよ、みたいな感じ?対比しなくともよかったんではないか。映画が見てえな〜。