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紙の本
饒舌な語りとナンセンスな展開
2010/03/04 23:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
田中哲弥七年ぶりの新作短篇集。今は亡きラノベ雑誌「電撃hp」(第一号持ってたよ)などに発表していた短篇と書き下ろしを含んだ全五篇。
田中哲弥といえば電撃文庫の大久保町シリーズが代表作(ほぼすべてハヤカワ文庫で再刊)で、饒舌な語りとナンセンスな設定・展開、そしてやけにさわやかだったりするわりと正統なジュヴナイルストーリーが渾然一体となった異色の書き手だ。高校時分、電撃読者だったころに、そのあまりに胡散臭いあとがきに惹かれて読み出したのがはじまりで、デビュー作に当たる「朝ごはんが食べたい」も読んでいたというくらいには好きだったけれど、ディ・キャンプの超訳はスルーしていた程度のファンだった。
特に印象的だったのはその饒舌すぎる文体で、ライトノベルとしては当時かなり破格のノリだったような印象がある。
で、この作品、出た当時に買っていたのに、ようやく読み終えた。約三年暖めていたことになるが、読んでみてやはり田中哲弥は田中哲弥だなあというような作品集。
なにしろ、冒頭の「ミッションスクール」など、書き出しが
「下痢のため一刻も早く排便したいのですなどと十七歳の女子高生が人前で言うはずがないのだ」
なんていうふざけた代物だから堪らない。そしてこのミッションスクールという短篇自体が、ミッションスクールを舞台に学生に扮したスパイが潜入工作をするという、missionの二つの意味を掛けたダジャレをそのままやってしまうというきわめて下らない発想で書かれている。
さらにはその学園は「聖メヒラス学園」などというふざけた名前で、以下他の作品でもすべてウルトラマンシリーズに出てくる異星人の名をもじったペガツサ、キユラソなどという学園名になっているというふざけぶり。
おまえはふざけているのか、と言えば当然のごとく「はい、ふざけています」と答えが返ってきそうだ。
吉本興業で台本作家をしていたという経歴が生かされているのか、そういう舞台コント的な演出を用いている感触もある。ナンセンスなギャグなのだけれど、書き下ろしの「スクーリング・インフェルノ」の寂寥感はそんな笑いの中に一点の冷たさを感じさせるところもある。また、始終荒唐無稽な展開のナンセンスギャグの「ポルターガイスト」では結構人があっさり死ぬし、なによりヒロインの友人が冒頭でヒロインのせいで死んでしまっているという展開を含んでいて、軽く笑い飛ばせない陰惨さがたまに差し挟まれるのが興味深い。
集中では、子供たちの小さな大冒険といった風の「ステーショナリー・クエスト」が特に読後感爽やかで好きだ。良い意味でとてもラノベらしい作品だと思う。
余談だけれど、矢上裕が漫画化すると合うんじゃないかなと思う。
紙の本
コントのような読後感
2015/09/29 22:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:泉野麻二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何だろう深く考えたら負けという感じの一気に読み尽くせという感じの一冊です。
コントを文字に直した感じです。突っ込みどころが多すぎる展開がくせになる。
作風がどこか筒井康隆を彷彿させる。
紙の本
不条理な面白さ
2006/06/05 21:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校・学生をテーマとした不条理系ショートストーリーが5本入っています
どれも流れるというより流されるような展開
アホみたいなキャラクターとアホみたいな状況と何だかよく分からないオチという感じ
予想もつかない展開が脱力的な笑いを誘います
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