紙の本
THE 帝都ロマン。だけど「ちゃんと」ミステリ。
2010/02/15 00:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は昭和七年。上流家庭・花村家の長女・英子付きの運転手として雇われたベッキーさんこと別宮みつ子。その聡明で凛々しいベッキーさんの佇まいに英子は信頼を寄せるようになる。日常生活のいたるところで謎を見つけは心を悩ませる英子。そんな好奇心旺盛な英子の相談相手は決まってベッキーさん。そしてベッキーさんに相談するといつも英子の謎は解決する。
これぞTHE 帝都ロマン! 昭和初期の上流階級の雅で豪華で奥ゆかしい雰囲気が作品全体を覆っていて酔いしれる。あぁ、好きだなぁこの雰囲気。
そしてホームズ役のベッキーさんとワトスン役の英子のコンビがいい。どちらも英知にあふれ、自分の立場を弁え、でしゃばらず、かといって卑屈にならず、そして何よりも心優しい。二人の他の登場人物――英子の両親も兄――たちもよく出来た人物ばかりで、読んでいて清々しい。
―― 以上が本作品を初めて読んだ時の感想 ――
実は既にこの後に続く『玻璃の天』、『鷺と雪』を共に読み終えていて、シリーズ全巻を読み終えてからもう一度、本書を再読した。
初めて読んだ時は作品の至る所に薫る大正ロマンに酔いしれ、あぁいいなぁ…この時代のこの雰囲気、としか思わなかったのだが、完結編の『鷺と雪』を読み終えて改めて読み返してみるとこの時代の陰の部分もそこかしこに散りばめられていることに気付く。
昭和七年。それは混沌と動乱の時代でもあった。そしてこの時代というフィルターに載せて著者が訴えたかったことに気付いたのも、再読をしてからのこと。このシリーズは長らく記憶に残る作品になりそうだ。
『街の灯』収録作品
・虚栄の市
・銀座八丁
・街の灯
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職場のIさんに貸していただきました。面白かった!!明治の銀ブラしたくなります。3編のおなじ主人公の中篇が連なってます。「街の灯」がとても好き。並びなき名家に生まれついて自分を駄馬と言い切る道子さんの諦念が切ないぞ。
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資産家のお嬢様(10代半ば)、花村英子と宝塚の男役のようなお付きの女性運転手ベッキーさん〔別宮(べっく)さんの愛称〕を主人公とした連作ミステリー。昭和7年という舞台設定が新鮮。北村薫氏らしい美しい日本語と相まって、今後の展開に期待。
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待望の北村薫の可憐なミステリ新シリーズ。昭和初期の上流階級をベースに、お嬢様と知的で腕利きの女性運転手「ベッキーさん」の物語。ゆっくりと脳に染み渡るような謎の物語は相変わらず心地よい。今までと違いって明確なホームズとワトソンではなく、ホームズ(ベッキーさん)がさりげなく嫌みなく提出するヒントを経てワトソン(主人公のお嬢様)が解決してゆく。多感な少女の心の揺れと、それを暖かく支える男装の麗人。また楽しみができました。
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著者の本を読むといつもながら
優しい気持ちになれる・・・
身近に感じられるミステリや暗号。今回はまた魅力的なレギュラー登場です。昭和初期の古き良き時代が背景だから、優しい人物に違和感がない・・
タイトル名はチャップリンの名映画。誰もが良かったと感動の涙するシーンを自分の心の在り様によってヒロインの隠された表情までゆがめてしまうという
くだりが、印象的だった。
これもまた、読み手の心の在り様か・・・
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北村薫さんらしい、優しく品のいい文章。
時代が昭和初期、というところにロマンを感じる。
現代では浮いてしまうような、育ちのいいヒロイン。
古きよき日本を感じることができてよい気持ちになります。
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この人は少女を描かせたらどうしてこんなにうまいんだといつも思う。謎を解いた、終わり、ではない読後感が暖かい作品。
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大好きな北村薫さんの新シリーズです。またキャラクターの設定がとても面白いです。ベッキーさんの素性・・気になります
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ベッキーさんが格好良い!これからの展開が楽しみな「日常の謎」派の先頭をいく北村さんならではの優雅なミステリー。
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昭和七年、士族出身の上流階級に育った令嬢の英子。彼女の女性運転手となったベッキーさんとのちょっと不思議な探偵小説。
設定は面白いので、もっとシリーズ化して続いてくれたらいいなぁ…。
あと、無理やりに殺人事件を作らなくても日常の謎の話を描いて欲しいと思うのだけど…。
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ついに「私のベッキーさん」シリーズが文庫化です。時代は昭和7年、主人公は士族のお嬢様の花村英子と彼女付の女性運転手「ベッキーさん」こと別宮みつ子。謎の美女ベッキーさんも素敵ですが、典型的な北村薫のヒロイン英子もやはり鋭い感性を持っている素敵な少女です。北村薫が好きな人は間違いなく楽しめると思います。北村薫を知らない人にもお勧めしたい一冊です。
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昭和初期、街には街灯が立ち日に日に明るくなっていたのだろう。その頃も今と変わらず人の心の闇を感じる事件はあった、けれどもそんななかにもやはり街の灯りのようなぼうっと明るいものが存在すると思わせてくれる、そんな作品。
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ベッキーさんが素敵♪主人公・英子ちゃんが面映ゆいところもありつつ、これからの成長を期待して読めそうな感じです。
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昭和初期上流階級が舞台の「日常&本格系」連作。今回の探偵とワトソンの役割のバランスが今までの北村作品にはないかも。あ、でもワトソン狂言廻しにかなりの素質がないと、っていうパターンは他の北村作品にもあるなあ。ベッキーさんの素性も、英子ちゃんの成長も楽しみなシリーズ。
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北村薫さんのお話はやっぱり面白いです!お話の時代設定が昭和初期なのでレトロな世界観がまた私の好みにはまりました。ベッキーさんがとてもカッコいい素敵な女性です。英子とベッキーさんのコンビの今後が楽しみなシリーズです。NHKとかでドラマしてくれないかな?