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紙の本
森博嗣は21世紀の赤川次郎です、って言ったら、お二人はどんな気持ちでしょうか。マンネリズムの心地よさ・・・
2006/07/07 20:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
お馴染みのシリーズなので、新鮮味はありませんが、安心して読むことができることだけは断言できます。今回はバスジャックが核にあります。ただし、外部との連絡、具体的にいえば携帯電話による通話が許されるという奇妙な状況なので、サスペンス溢れるというよりは、何故ということへの興味が大きいです。
《Φは壊れたね》《θは遊んでくれたよ》《τになるまで待って》に続く第4弾ということですから、登場人物も今までと変ることはありません。巻頭の登場人物一覧も、殆ど意味がない、そんな気がします。基本的には西之園萌絵、国枝桃子、犀川創平を軸に、山吹早月と加部谷恵美、海月及介、赤柳初朗だけで充分でしょう。
カバーから引用をしますと
山吹早月と加部谷恵美が乗車していた
東京発中部国際空港行きの高速バスがジャックされた。
犯人グループは、都市部に爆弾を仕掛けたという
声明を出していた。乗客名簿には
《εに誓って》という名前の謎の団体客が。
《Φは壊れたね》不可思議な事件の連鎖を解く鍵を
西之園萌絵らは見出すことができるのか?
最高潮Gシリーズ第4弾!
カバー折り返しには
「覗いているよ、あそこから。
ずっと隠れて見張っているね。
出てこない死に神のファンクション。
ハートと振り子のオークション。
「買いましょう、ベラスケス」
「どうぞご自由に、ファン・アイク」
とあります。
データ的なことですが、装幀関係は
カバーデザイン=坂野公一(welle design)
フォントディレクション=紺野慎一(凸版印刷)
ブックデザイン=熊谷博人・釜津典久
目次は
プロローグ
第1章 悲しみの始まり
第2章 悲しみの連なり
第3章 悲しみの広がり
第4章 悲しみの高まり
第5章 悲しみの静まり
エピローグ
となっています。
メインの仕掛け、多分、ミステリ好きなら途中でなんとなく気付きます。どう落とすかな、そうかやっぱりな、そういう感じです。むしろ、このシリーズ全体にさらに大きな仕掛けがあるんだろうな、それが殆ど不要とも思われる海月及介の存在に繋がっていくんだろうな、そんな気がしています。凄さは感じませんが、ま、21世紀の赤川次郎かな、なんて思ったりもして・・・
紙の本
ん?トリック??犯人???
2006/06/15 17:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういったトリックの仕掛け方、ってのは森ミステリィでも初ではないだろうか。しかし「ええっ!?」といった感じではなく、「えーー・・・?」な読後感。バスジャックを扱った本作品であるが、当然思いつく、とあるトリック。基本的に、その予想通りであったのだけど。でも、そのトリックを仕掛けたのが・・・。
大体ハイジャックものやバスジャックものなどは、そのスピード感を大事にするもの。そして時限爆弾のようなタイムリミット!が読み手をハラハラさせる物だが。本著ではそれはほぼ、無いw。バスは高速道路を走るが60キロにスピードは抑えられ、犯人もあくまでも冷静に低姿勢だったりする。乗客も騒ぐ事無く、静かに物語りは進む。乗客はみな寝ていたりするのだが、正直読んでるこちらも眠くなったw。
今回も10作完結となるのだろう。これまでは全作を通した壮大なトリックが一発隠されていると言うのが、森ミステリのシリーズ。今回のシリーズもその隠された壮大なトリックに期待して、個々のトリックやストーリはその部分でしかないのだと理解すべきかもしれない。それに、真賀田四季が絡んで来るのは間違い無いようだ。真の天才がきっとまた、読者を驚愕の世界に連れて行ってくれると信じよう。そうすれば・・・少なくとも「期待感」は持った読後を味わえると思う。この一作を持って評価しよう、というのがそもそも間違いなのかもしれない。