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紙の本
コメこそ日本文化の機軸
2007/02/27 20:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YOMUひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年、イタリア旅行をしたが、食事はパスタの連続に食傷し、堪らずフィレンツエで中華料理店に飛び込んだ。チャーハンなどの中華料理がやたらにおいしく感じたが、日本食の近さに一息つく思いであった。普段意識しないが、われわれの文化としてコメ嗜好は強固に根付いていると感じた次第である。何か美味なものを食べると、必ず白いごはんが欲しくなるのはよく経験するところである。またコメは単に食生活の基本というだけでなく、日本文化の基軸という位置を占めていると思われる。
本書は日本食の支柱であるコメの歴史について、コメを共通の作物とするアジア的な視点に立った上で、縄文時代から平成6年の新食糧法成立・平成コメ騒動に至るまで、日本の政治や経済および社会との関わりという観点から通史として見通すという野心的な試みである。
イネの起源地については「照葉樹林文化論」によるアッサム・雲南説をめぐる最近の研究動向、日本へのイネの渡来についても、柳田国男の「海上の道」仮説に関するアジア的な視点を取り入れた諸説の紹介など興味深い。
コメの重要性は、天照大神が水田農耕を見守る太陽神であって、その系統を引く天皇は稲作に関わる国家最高の司祭者であるという点に最も如実に現れている。
著者は、コメのみを見ているわけでなく、網野善彦の反水田史観をも視野に入れた議論を展開しているのはもちろんである。
コメが日本の歴史を貫通して、江戸時代にすべての経済的価値基準をコメに求めるという石高制社会が成立し、「コメ志向の完成」をみたというのは、読者になるほどと思わせ、江戸時代の捉え方として大変新鮮な感じがする。本書によって、このようにコメを基点に歴史を眺めることの面白さというものを読者は味わうことができる。
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