- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
こんな結末だったっけ?!
2010/02/27 04:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争で家族を失った女性、ヒルデガルデは、新聞の求縁広告で玉の輿を探す日々を送っていた。そのような広告を通じて知り合った男アントン・コルフ。彼女は彼と共謀して、億万長者カール・リッチモンドの妻になる計画を立てる。やがて目的は達せられ、彼女は彼と結婚するが...。
古典的ミステリー小説『わらの女』の原作を私は読んだことがなかったが、ショーン・コネリー主演の映画、あるいは昔のNHKドラマを通じて、そのストーリーは知っているつもりだった。だから、さしたる興味もなく本屋でこの本を手に取り最後の数ページに目を通したとき、おやっと思った。結末が違うぞ!
かくして、腰をすえて原作を始めから読んだ私は、その後味の悪い結末に愕然とすることとなった。巻末の解説には、この結末ゆえに本国フランスではどこの出版社も扱ってくれず、スイスで初版が発売されたと書かれている。なるほど悲劇的結末を好むフランス人にさえも、このエンディングは耐えられなかったのだろう。
登場人物のドロドロした欲望ばかりが目立つ作品だが、美しくロマンチックな部分もある。打算的でクールな女主人公ヒルデガルデと、人間性を失ったかに見える富豪のリッチモンド、この二人の心の奥底にあるやさしさがそれである。彼らが結びついたのも、政略というよりも互いの美点を理解したからではという気がする。陰謀の立案者アントン・コルフは、ヒルデガルデが人格の高潔さゆえにとった行動にすべての計画が狂わされそうな焦りを覚えた。そんな彼の焦りを救ったのが、リッチモンドの彼女への求婚であったわけだが、それも彼女の性格に惹かれたリッチモンドのやさしさがなせる技であった。こう考えてゆくと、人間らしさをもった人々がその人間らしさゆえに破滅を強いられる、という実にやるせない物語だという気がする。そんなところも、この作品の陰欝さを増しているといえよう。
紙の本
ドレスデンに死す
2016/04/03 21:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドレスデン大空襲と言えば、東京大空襲にも匹敵する第二次世界大戦最大の惨劇の一つだが、その災厄で家族を失って生き延び、恋人も戦地で失った一人の少女が、戦後も虚無を抱えて生きている。社会は復興していき、彼女も仕事を持って安寧な生活をしているが、魂は孤独のままであり、将来の希望と言えるものも持てないでいる。
そこにある大富豪の結婚相手募集という新聞広告を目にして、応募する。そんなもの半分ヤケクソ、当たれば儲けものぐらいのはずだが、富豪自身も元はドレスデン出身で戦前にアメリカに渡って財産を築いたという縁もあり、話はトントン拍子に進んで、莫大な財産を我がものにするという将来が現実のものとなる。もちろん巧妙に仕組まれた罠である。
罠といっても、もちろん単純なものではない。常人が想像もできないほどの巨額の財産を巡るそれは、複雑怪奇に練り上げられ、そして想像もつかないほどの資金が投入されて動く陰謀であって、合理性も何も超越した、もはやそれ自体がおとぎ話のような、現実とも虚構とも言えないような迷宮である。そこにまったく根無し草である女が一人放り込まれて、疑問も脱出も考えようもなく、翻弄されるばかりとなってしまう。
なんとか妻の座に収まってアメリカに渡れば、財産目当ての結婚としてメディアも世間も非難の目を浴びせかける。片方の世界では生きるために当たり前のことが、もう片方の世界では道徳と称する壁のために通用しない。ドイツに、ドレスデンの人びとに襲いかかった悲劇など、こちら側ではまるで顧みられることなどないのだ。
日本でも戦後の混乱期を必死で生き延びようとし、時には犯罪にも手を染めてしまう人間を描いた作品は、松本清張などをはじめとして数多く書かれたが、ドイツなどでもその事情は同じだろう。ただそれら地域の社会では人々が過去の悲劇を共有しあえていたとしても、アメリカ大陸ではそういった彼らの物語はまったく理解されず、それゆえに受ける打撃は比べようも無く大きい。さらに罠をかける側は、そのギャップ、無関心までをも計算に入れて利用しようとする。
この物語に説得力があるとしたら、犯罪が巧妙で、サスペンスに迫真性があるとしたら、それは彼らが我々を二度殺そうとしていることを示してはいないか。この主人公が悪女で、その報いを受けているように思えたら、我々さえもいつのまにか殺す側に回ってしまっているのではないか。
ミステリ小説の体裁に隠れながら、作者は読者に対してさえも罠にかけようと企んでいるかのようだ。
紙の本
ドラマと違う展開にびっくり
2019/02/07 11:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう10年以上前になろうか、昼ドラ『美しい罠』がとても印象に残っていて、その原作ということで読んでみた。
ストーリーのなかにすっと入っていけて、途中までは麿赤兒さんや櫻井淳子さんの顔を思い浮かべながら楽しく読んでいたのだが、途中からドラマとはまったく違った展開にびっくり(当たり前か)。
以下ネタバレ注意。-------------------------------------------------------------------------------
ニューヨーク市警警視も最初はヒルデガルデに対して推定無罪で接していたのに、途中から推定真っ黒みたいな態度に変わったのはどういうわけ?と思ってすごくイライラした。
あんなのありえない。読んでいて気分が悪くなり、吐きそうになった。
いくら容疑者とは言え、状況証拠しかないにもかかわらず頭から否定してかかるなんて。おかしいわ。
それに、この犯罪で誰が一番得をするのか考えて見れば、真犯人が誰かぐらい見当はつくでしょうに。こいつら節穴なの?無能なの?と正直思った。
ほんとに救われないストーリーだった。
しかし、読んでいる途中はまるでこれが現実の話かと思うぐらいに、物語に没入してしまっていた。
そういう意味では、この作者はすごく力量のある人なんだろうと思う。
結末の後味の悪さで-2、楽しませてもらったという意味で☆3つにしておく。
紙の本
いかにも、おフランスざますわねえ
2015/04/09 08:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
う~ん、救いがないなあ。