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自分のことを自分以上に知ってくれている友がいなければヘコタレてたろう天下の名宰相・・・管仲
2006/08/01 21:00
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はちべえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
父は死に、兄は家財を使いつくし、家も借金のかたに無くす。当然、貧しくお金もなく、やとってくれる君主もいない。そんな時、自分の唯一の希望の光だった美女との婚約を兄が勝手に解消してしまい将来はもう真っ暗という気分。その後も何をやっても運がない。才能だけは豊かにあるはずだが、それを認めてくれるのも友「鮑叔(ほうしゅく)」のみ。・・・と、この本の主人公「管仲(かんちゅう)」はもう、どうしようもなく不遇である。
ところが、その唯一の友、これがまたどうしてここまでできるのかと唸るほどのできた友なのである。ひょっとしたら管仲はこの友を得るために生まれ持った全ての運を使い果たしてしまったのかもしれない。後のことを考えればそれでも惜しくないと言えるだろう。決して生ぬるい友だち関係ではなく、敵と味方に別れて戦うこともある。しかし、いつでも鮑叔は管仲を本人以上に知っていてその才を認め続けている。さすが「管鮑の交わり」。
話は変わるが、宮城谷さんの本を読んでいて、中国の偉人・賢人・聖人という人は、共通して「大成する人は小成をしない」かあるいは「大成のために小成を捨てる」人が多いように思う。また、大きな成功を得る直前までまでは、ずーっと穴ぐらの中でもがくような苦労や不幸を続けている。宮城谷さんの本を読んでいて爽やかな気分になるのは、不遇続きな中でもたまにはへこたれても、逆境で人格を磨いて成長する人たちの姿に、読者も励まされるからかもしれない。
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名宰相管仲の生涯
2006/11/01 22:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代中国春秋時代、斉の桓公に仕え、史上初めての覇者たらしめたという偉大な業績よりも、友人同士の親密な交際を表す「管鮑の交わり(管は管仲、鮑は鮑叔牙のこと)」や、三国志演義で、かの諸葛亮孔明が楽毅と共におのれの能力を比べていたとされることでのほうが知られている気がする管仲夷吾、とてつもない功績を残している割に、斉に仕えるまでの前半生のことはあまり詳しくわかっていないのだとか。この不明なことが多い若き日の管仲の姿を描いた歴史小説です。
よくわかってはいないのですが、古代中国を舞台にした歴史小説を数多く発表し、知識も豊富な著者のこと、親友・鮑叔牙との出会いはまさしくこうだったのだろう、作中で語られる管仲の失恋も、実際これに似たことがあったのだろうと思えてきます。よくわかっていないからこそ余計に著者が創造力を駆使し、自由にのびのびと管仲を描き出しています。
ただ、若き日の管仲に主眼をおいているので仕方ないことなのかもしれませんが、桓公に仕えてから覇者に押し上げていくまでが駆け足だったのが残念です。もう少し長くなってもよかったので、キッチリと管仲の生涯を書いてほしかったです。
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古代中国 戦国時代の有名人
2023/06/24 10:27
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
(上下巻)
斉の国に仕えることになるまでの、紆余曲折が物語の興味を嫌が上でも高めます。仕える斉の桓公のバックルにい矢を当てるくだりは有名です。
その桓公を覇者に押し上げる存在になるのですから分からないものです。
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最初は鮑叔で話がはじまり、途中から管仲に話が変わっていった。管仲よりも、管仲・桓公を作り上げた鮑叔の話で通してくれた方が面白かったのに。
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待ちに待った文庫本化! と言うことで早速読み始めました。意外だったのは、「管鮑の交わり」のくだりが殆どなし。上巻までに公子小白(後の斉桓公)がやっと出てきたくらい。先が気になる・・・
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このところ宮城谷さんの作品でお目にかかっているのは、春秋戦国時代の後期ものが多かったんですが、その中で「管仲」は時々引き合いに出された人の名前として記憶にあった表題本。ということで、本書は春秋の初期の時代の物語のようです。
とはいえ、本、上巻では、まだ大成する前の無名時代のお話で、家族運に恵まれなかったせいか、ひねくれた言動ばかりが印象に残りました。
一方、「管鮑の交わり」でいうところの相方、鮑叔の方は、これまたうって変わって出来すぎの人間であるかの印象で、そんな人がなぜ「管仲」をそこまで持ち上げるのか?それほどまでの「管仲」の魅力は伝わってきませんでした。2006/8/1
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11月中旬読了。宮城谷シリーズで前から読みたかったものだったんですが、残念ながら図書館の表示は常に『開架中』。
やっと運よく、しかも上下巻揃って借りれたので、予備校の自習室に籠もって読みふけりました。・・・嘘ですがw
前から名宰相『管仲』とは何者なのか、というのはあったので、これである程度は知ることができました。
上巻はメインは『管鮑の交わり』で知られる鮑叔との話。
管仲と鮑叔がどのようにして出会ったのか。鮑叔がどのようにして仕官したのか。管仲の不遇時代はどのようだったのかが鮮烈に描かれています。
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斉の宰相・菅仲の長編小説。「菅鮑の交わり」で知られる菅仲と鮑叔の出会いと、菅仲の不遇の期間が上巻のメイン。どちらかと言うと鮑叔の印象が強い。
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紀元前640年頃。名は夷吾,諡は敬,仲は字で潁上の人。春秋時代の最初の覇者となった斉の桓公(公子小白)に仕えた名宰相。管鮑の交わりといって鮑叔と非常に意気投合していた。管仲は鮑叔の政的といっても良い公孫糾の傳として仕えていたが,公子小白と傳の鮑叔に破れた。管仲は桓公を弓で襲撃したが,奉祝の取り成しにより,ついには桓公の側近となり,斉の国を強国に仕立て上げた。衣食足れば則ち栄辱(えいじょく)を知るといい,重農・重商主義を進め,経済が発展すれば国が豊かになると説きました。管仲の政治は『論ひくくして行いやすし』すなはち,政論はわかりやすく,民衆が実行しやすかったとのことです。
『身の不善を患えるべきであるが,人がおのれを知らないことを患えてはならぬ。丹青はいかなる深山にあっても民が取りに行きますし,美珠はいかなる深淵にあっても,民はそれをみつけます。民は天と同じ目をもっています。丹青や美珠を見逃しましょうか。』この言葉が好きだ。
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宮城谷小説の中で、一番好きな作品です。
何が?といわれると、う〜ん。
宮城谷作品の中でも主人公は素朴な感じなんですが、
考え方とかを改めさせられる作品です。
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鮑叔との友情に心打たれる逸品。宮城谷作品のよさのひとつに、人間関係、特に男性同士の強い信頼関係があると思いますが、これは、もちろん元ネタが友情物語だからという部分もありますが、特にその信頼関係の良さがたまらない作品。管仲にとって鮑叔がいかに己を救ってくれたひとであったか、大切な人であったかが体感できるような感覚になる。歴史に名高いのは管仲でも、やっぱりそれを支えたものの誠実さ、篤実さがあってこそなのだと実感する。
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春秋時代の中国。
史上最高の宰相と謳われる管仲。
その人生の前半は過酷とも言えるものだった。
苦境の中で、自分自身を損なうことなく、磨きつづけた管仲の半生。
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中国、春秋時代の斉での話。管仲 ( かんちゅう ) と 鮑叔牙 (ほうしゅくが)の物語です。管鮑の交わりという言葉で有名ですよね。しかし、本当にどういう逸話があるのかを知りませんでした。
貧しく家族に恵まれなかった管仲を比較的身分が高く明るく育った鮑叔牙が知り合い、その雌伏の時代を共に苦労して乗り越えて、高位高官にのし上がっていく話が描かれています。この時代に流れる思想は、今の中国でも脈々と生きている部分があり、また日本人の中にも残っていて、よく理解できるそして参考になる部分が多くあります。
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上下読了。管仲の能力の高さよりもすごいのだろうけど、鮑叔の考えというか心の広さがすばらしいなと思いました。
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三国志以外の中国史もかなり面白いと気付いたきっかけは「キングダム」
。
では、とりあえず読んでみようと手を出したのがこちら。
何となく名軍師と名前を知っていた「管仲」と宮城谷さん。
期待以上に面白かったです。序盤の結構ぶっとんだ展開がさすが中国史と思いながらも楽しんでいたら、そのあたりはフィクションなのですね。。