投稿元:
レビューを見る
芸事関連でない、有吉作品初。読み易さ、話の引き込みぶりに脱帽。
虚飾の女王、一女事業家の人生が彼女に関わった人の口から語られる。悪女という人、善人という人。白夜行なんかとはまたちょっと違うタイプの悪女だな、と。
彼女の最期は果たして。
投稿元:
レビューを見る
「悪女について」というタイトルだけど、この人(富小路公子)は本当に悪女かなぁ?
「子供が出来た」と言われて、「それは困る」とか言ってる男が何人か出てくるけど、それはお前だって悪いんであって、そんなことで「悪女」とか言われてもねぇ。
27人の話の中に出てくる公子さんは、本当にいろいろで、どれが本当の姿なのかわからなくなるけど、私はなんだか途中から「いいぞいいぞ、公子さん、いいぞ!」という想いで読んでいた。
27人全員の話が複雑に絡み合っているので、さらにもう一度読み返してみたい気がする一冊でした。
有吉佐和子さんの本、初めて読んだけどおもしろかったので他の本も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
初めて読んだのは、15年前。当時の上司に一言、「おもしろいよ」と言われ譲り受けたことがきっかけでした。
もう、面白くて面白くて・・・!
少なくとも、10回以上は読んでいます。
主人公は一度も登場せず、周囲の人間が語ることで主人公の姿が浮き彫りになる小説。読み始めたらグイグイと引き込まれていきます。語り手たちの姿や声音が想像できそうな活き活きとした描写や、にじみ出る「昭和」の雰囲気がたまらない。
悪女と呼ばれることもあった主人公「富小路公子」は、果たして本当に悪女なのか・・・?お金と名声にまつわる嫉妬や偏見が彼女を悪女に仕立てあげたのかもしれない。或いは、彼女自身がお金と名声に取りつかれたがゆえに、悪女になったのかもしれない。
多くの人が語れば語るほど、主人公の行動には「ええっ」とのけぞるほど、というか「おいおいおい」と言わずにいられない、えげつないものがあるのですが・・・私は、富小路公子を憎めない。なんて可愛い女だろう、そう思わずにいられない。
この小説の発表はテレビドラマと同時進行で、いわばメディアミックスの走りだったとか。再び映像化されないだろうか。2000年頃には、十朱幸代主演で舞台化されたという。また舞台化されることがあれば是非見に行きたいものだ。
ちなみに、私が思い描く「富小路公子」は若い頃(30代ぐらい)の星由里子。
これからも、年1回ぐらいのペースで必ず読み返すであろう抜群に面白い小説です。
投稿元:
レビューを見る
有吉作品について初めて読んだ。良かったので「複合汚染」も、引き続き、読んだ。
主人公:富小路 公子について、27人の知人が語る面白い構成。
悪女と良女が入り混じっていて、面白かった。
発想が良い。
投稿元:
レビューを見る
きよこ的このミステリーがすごい!
第一位決定ですよ。
やっぱり一番わからないのは人間だね。
この物語を通して語られる、死んだ一人の女性が悪女だったのかそれとも、そうではなかったのか、どっちなの?と首をひねりながら夢中になって読み通したのですがその人がどんな人かなんて誰も知らない。もしかしたら本人だってわかってないことかもしれない。
ただ誰しも人と関わらずには生きてはいけないから、他の人が感じとるその人とはという影のようなものの集合がかろうじてその人とはということを代弁しているに過ぎない、最終的にそんな感慨に至りました。
彼女が悪女だったのか、そうでなかったのか、彼女はなぜ突然死んでしまったのか、すべては藪の中です。
投稿元:
レビューを見る
これは、死んだ女についての証言集だ。主人公である女は死んでいるので、証言者として彼女が語ることは一度もない。女は、それぞれの証言者によって、ときに謙虚に、ときに強欲に、…【続きはこちらから:http://wan.or.jp/book/?p=1#more-1】
投稿元:
レビューを見る
殺された女実業家の周りの人たちのモノローグで構成されているお話。
君子は純すぎてぶっ飛んでいるのか、はたまたとんでもない腹黒悪女なのか。証言は両極端に分かれるけど、やはり共通点はある。たくさんの証言を重ねていくにつれ、悪女の面が色濃くなっていくのが面白かった。
ただどれも似たような話ばかりで飽きてしまった。
投稿元:
レビューを見る
別の本(おそらく「The女子力 ―生きるための処方箋―」)で太田光代さんが紹介されてたのをきっかけに読んでみたが。。
とんでもない作品に出会ってしまった!
こんなに興奮した小説、久しぶりだ。★5確定。
続きが気になって気になってがーって読み終えて、もう一度読みたい気持ちと、あえて1回だけで留めておきたい気持ちが交錯する。
多人数視点の作品をもっと読んでみたいと思った。
27人の語り手の物語における「富小路公子について-」。
私は彼女の存在を一生忘れない気がする。
投稿元:
レビューを見る
三度目か四度目の再読。
前に読んでから一年ほどしか間を空けていないので、内容はなんとなく記憶にあるのだけど、それでもやっぱり面白かった。
初めて読んだときの衝撃は忘れられない。
ぐいぐいぐいぐい読まされて、読み終わって虚脱状態になるような、そんな作品。内容をほとんど忘れてしまうくらい何年も何年も間をあけてから再読したほうがいい。
「有吉佐和子も面白いよ、【三婆】とか」なんてだいぶ年上の書店員の友人に教えられて読んでみて、今になってみれば三婆みたいな話のほうが有吉佐和子には多いということがわかるんだけど、当時は「面白いというか読まされてしまう筆力があるすごい作家さん」と思っただけだった。
タイトルからしても断然面白そうだと思ったこの「悪女について」を読み始めてみたら、まったく違う世界、今までに他の作家のものでもあまり読んだことのない手法で語られる物語、その謎の真相について、もうほんとに読書がこんなに面白かったのは久しぶり。
投稿元:
レビューを見る
爆笑問題の太田さんの奥さんが雑誌で紹介していたので読んでみた。
美白の女王の鈴木その子さんがモデルかと思った。悪女ってとこじゃなくて、見た目とかビジネスとか。
山崎豊子さんの「女系家族」にちょっと雰囲気似てるかな。
投稿元:
レビューを見る
「まああ」。
時折出てくる、この言葉の間合いが面白い。人物描写を的確に、それでいて輪郭をあやふやにするような浮遊感のある感嘆。
それぞれの登場人物のモノローグのリズムが心地良く響き合う。書かれた時代を超えて、今もなお読み手を物語へと引き込む。それでいて尻尾を掴めない気分になるのは、時折出てくる、この感嘆の台詞のせいだと思った。
さり気ない言葉遣いに、迷宮の美しさを感じる。美は細部に宿るとは、よくいったものだと思う。
投稿元:
レビューを見る
これは深い話ではなくて、ミステリーというか娯楽映画的な面白さ。昭和58年とかに発行された小説なのに、構成が斬新でモダン。
かなりのインパクトで面白いです。
ぐいぐい引き込まれるので、人によってはすらすら一日で読めちゃうかも。
すごいと思ったのが、
・「鈴木君子」がどういう人か、これだけあらゆる角度で検証しているのに、「鈴木君子」の直接のエピソードが一切なし。間接に徹しているところがミステリアスを増長
・エピソードの順番とか、よく考えられているなぁ、と。終わり方も好き。
なんというか、こういうニクイ感じというか、完成度の高さというか、忘れられない本になりそう。
投稿元:
レビューを見る
20年ぶりの再読
やっぱ最高
証言によって一人の女性の人生が浮かび上がってくるのが、ゾクゾクするくらいエンターテインメント
読み出したら止まらなくて参った
投稿元:
レビューを見る
二十七章、読み切るまで何もわからないようで、その実ものすごい情報量だった。華々しく何度も登場して、彼女のことは何だってわかるという気持ちにさせられながら、その癖一度だって本人の言葉が聞けず、まるで登場人物のように自らが踊らされた気分になった。とても面白かった。
投稿元:
レビューを見る
悪女こと富小路公子。彼女は自殺だったのか、それとも殺されたのか。
生前交流があった人たち(恋人、愛人、母親、幼なじみ、元夫、使用人など)計27人が公子について一人称で語っていくのですが、たくさんの語り手から見る公子の姿が重なったりブレたりと、なんともうまく書かれていました。
読んだ人によって違った公子が出来上がると思います。
また、死因は最後まで断定されず、これも読者に委ねられます。
今年一番のヒットでした。