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吉原手引草 みんなのレビュー

137(2007上半期)直木賞 受賞作品

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みんなのレビュー153件

みんなの評価3.8

評価内訳

149 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

いやいや本著といい先日読んだ辻原登『円朝芝居噺夫婦幽霊』といい、斬新な趣向の文芸ミステリー、まさに有卦入り年でありますな。

2007/05/23 01:03

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんでしょう。江戸文化はこの吉原を抜きにしては語れない。それほど人々の生活と密着していて、今でも、映画、芝居、噺などを通じて私たちにもお馴染みの世界でございます。
お馴染みとはいえ吉原という遊郭を構造的に紹介してくれたものにはお目にかかったことがない。ところがこの作品は「これであなたもいっぱしの吉原通だ」といえるほどに手取り足取りで吉原遊びの実践まで教えていただけるのだから実に楽しい。ちょっと様子のいい男が始めての廓遊びでその指南を受けるかのようにいろいろな人からお話を聞く形でストーリーは進みますが、堅物の若旦那が始めて吉原で女遊びをする「明烏」って落語を思い浮かべつつ、とにかく読んでいてウキウキいたします。
「手引き」 初心者を教え導くこと、手ほどき、またそのための書物などとありますが、文字通り、まさにこのとおりの貴重な手引書でございます。引手茶屋のお内儀がまず郭内の構図、大まかな仕組みを説明してくれます。吉原を構成する人たち、その多様な役割には驚かされますな。見世番、遣手婆、床回し、幇間、芸者、船宿の船頭、指きり屋、女衒。この人たちが吉原の裏表を語ります。客の立場からは、越後の縮問屋、蔵前の札差が語り手になります。花魁と褥を共にするまでのしきたりなど初級編から、水揚げの作法、紋日の金の使い方などの中級より身請けのプロセスなど上級編にいたるまで事細かに案内いただける寸法でしてさらには足抜けの応用編がこの語り草の山場となっています。とにかく吉原で恥をかかずに楽しく遊ぶコツ、花魁にモテル条件、嫌われの典型。欲ボケ色ボケの人生縮図、それだけではなく怖い怖いなれの果て、運命にもてあそばれるものたちの悲劇とここの色模様を簡潔に、しかししみじみとした情感をもってあぶりだしてくれます。
遊女は客に惚れたといい
客は来もせで また来るという。
嘘と嘘との色里で。
はたして遊女に「誠」がございますでしょうか。ここです、この物語のポイントは!
そして「十年に一度、五丁町一と謳われ、全盛を誇っていく葛城。越後の縮問屋への身請け話も決まり、まさに絶頂を極めたそのとき、葛城は神隠しに遭ったように消えてしまった。一体、何が起こったのか。17人の重い口が語りだす、………」と葛城消失の謎が徐々に明らかになってまいります。手引書の「手引」ではないもう一つの意味合い、「力添えをしたり導いたり」の手引がここにあります。なかなか上手いタイトルをつけたものだと感心します。
タイトルだけではありません深いところで幾重にも工夫が見られます。
ところでこの謎解き、ミステリー・サスペンス手法が災いしてか読み終えた時に聞き手である何某のあまりのご都合主義、とくに中心人物の葛城ですが、消失の動機、プロセスの論理性、必然性に食い足りなさを感じる読者がおられるかもしれません。しかし、松井今朝子の意図するところはまったく違うところにあると申し上げていいでしょう。これは歌舞伎そのもの。歌舞伎様式のひとつである「やつし」に他なりません。さように心得てもう一度お読みください。「やつし」役は二重構造の中に生きる人間の苦悩を表現するところで役者としての性根が試されるものです。17人が語る葛城の苦悩の表現振り。なるほどそうであったのかと、そこをじっくりと鑑賞したいと思います。そうすればどこかで大見得を切る葛城の姿が浮かび上がってくる。「カツラギッ!」と大向こうから声がかかるという緊張した歌舞伎観劇の気配にございます。

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紙の本

吉原っていうと花魁行列しか想像出来ない貴方にお勧めです

2007/07/10 21:27

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 十年に一度の名妓と謳われた花魁葛城が失踪した謎を解明するために若き戯作者の卵が関係者の話を聞いていく。「四角い卵と遊女の誠はないと言うが男を騙して金を貢がせるだけと思うのはちょいと不憫じゃありません?」吉原という閉鎖された世界で繰り広げられる嘘と真、愛と憎しみを鮮やかに描き出している。
 楼主、幇間、女芸者、床回し、指切り屋等々実に様々な職業の人々が登場する。そしてそれぞれが葛城との関わりを一人称で語っていくのだがその語り口に工夫が凝らされている。それぞれの立場で語られるその口調と職業に違和感を感じさせない作者の力量は素晴らしい。また花魁の使うありんす言葉は地方から売られてきた者が多かった女達の訛りを隠すもので自分の過去を捨てて吉原という世界で生きるための新しい言葉だったとか、お客としては地方から参勤交代できた侍が多かったとか、花魁は着物からお付きの童に至るまでぜんぶ自分の稼ぎで賄っていたので膨大な金が必要だったとか吉原についての詳細なガイドブックにもなっている。日本人は何故吉原を必要としたのか?作者はそこまで問いかけているように思う。
 閉ざされた空間であった吉原から葛城はどうやって失踪したのか?ミステリーとしてはちと弱い気もするが物語としては充分納得できる。また最後にあっという仕掛けも効いていると思う。この作品主人公である葛城は最後まででてこないが読後に背筋を伸ばしたきりっとした葛城の姿が浮かびあがってくるようである。

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2007/05/21 23:34

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2007/04/18 21:27

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2007/06/03 04:50

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2007/07/25 17:00

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2007/08/15 02:59

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2007/09/11 20:25

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2007/08/17 17:03

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