- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
8 件中 1 件~ 8 件を表示 |
紙の本
なかには、清張作ではないか、って思えるものもあります。でも、個人的には「黙」の番外編がいいかな・・・
2007/09/10 20:58
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
一応、出れば読む、状態の折原一の作品ですが、折原=長編作家と思い込んでいる私は、これが長編どころか連作でもなくて、しかも2005年に出た『黙の部屋』(文藝春秋)絡みの短篇まであるに及んでは、これってあの本に納まっていたんじゃないの?などとない記憶を絞り出す始末。いやはや先入観とは恐ろしきかな・・・
で、ブックデザインについてですが、カバー画・装幀 藤田新策、挿画 石田黙とあります。石田黙作品がからむと全体のトーンまでが暗くて重苦しくなるのは、いかんともし難いものなのでしょう。ま、藤田自体の作品傾向も決して明るいものではないのですが、これはまた輪をかけた感じです。
各話も内容こそ多種多様ですが、「偶然」を除けば、暗いものばかり。以下簡単に紹介しておけば
・偶然 (「小説宝石」2003年9月号):振り込め詐欺防止には、やはり、向うが名前を名乗るのを待つのがベストかも・・・
・疑惑 (「小説新潮」2001年3月号):近所に相次ぐ放火、そして息子の部屋には放火された現場をプロットしたマップが・・・
・危険な乗客 (「小説新潮」2000年6月号):トラベルミステリー風サスペンス、隣に座った女は村上に行くというが・・・
・交換殺人計画 (「小説新潮」2000年10月号):金が欲しくて仕方がない息子の標的は、義父。手段は交換殺人・・・
・津村泰造の優雅な生活 (書き下ろし作品):リフォーム詐欺?でも、業者の男はなかなか立派で、ついつい・・・
・黙の家 (井上雅彦監修『アート偏愛』(2005年、光文社文庫)収録):石田黙の作品が大量に飾られ、しかも石田作品そのものの部屋や画家までも・・・
・石田黙への旅 (「秋田魁新報」2006年1月5・6日付夕刊より):折原が魅入られた石田黙の世界、その経緯は・・・
となっています。折原らしい作品が収まってはいますが、なんでここに?という再会に意外観のある「黙の家」がベストではないでしょうか。ま、幻想譚ともいえる妖しくも壮大な展開は、ここに唐突にでてくるよりは、やはり『黙の部屋』の付録にでもついやほうが相応しいし、「石田黙への旅」も同様でしょう。文庫化に際しては一工夫欲しいところです。
折原、というよりは清張作品を読んでいる気になったのが「津村泰造の優雅な生活」。ま、ユーモラスな点は清張にはありませんが、全体のタッチは軽め。そういう意味では、他作品もオチが目立つ分、深みはないかもしれません。折原=長編というのは、あながち間違った思い込みではない、そう思います。
8 件中 1 件~ 8 件を表示 |