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紙の本
いつもながら読ませる著者の筆致には敬意を払いたい
2008/03/29 14:08
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
川口マーン惠美はその新著が出れば必ず手にすることに決めている私のお気に入りの作家の一人です。ドイツに長年暮らしながらこれだけの日本語運用能力を一体どうやって維持できるのか、いつもながら驚嘆しているのですが、本書も平易な日本語でありながら幅広い事柄の内奥に鋭く切り込んでいくエッセイがつまった一冊です。
タイトルは少々誤解を与えるかもしれません。川口マーン惠美を知らない読者は、この文春新書を育児下手だと思っている世の母親向けハウツー解説本だと思うかもしれません。しかし題名にある「母親に向かない人」というのは誰でもない川口自身を自嘲気味に指しているだけで、育児に頭を悩ます世の多くの母親世代全般を意味しているわけでは決してありません。
川口家の子供は10代の娘が三人。本書によれば、姉妹の性格や嗜好は皆バラバラ。それだけに長女の子育て経験が次女・三女にそのまま応用できたわけではなさそうです。
それだけに著者は手間のかかる子育てをある程度放棄したともいえる態度で生きることにします。子供に自分のことはなるべく自分でしてもらうことにするのですが、それは必ずしも子供たちの自律を促したとはいえないようです。そんな様子がコミカルに描かれていて何度もクスリとさせられました。
日本とは異なるドイツの教育制度の長所と短所をバランスよく伝えている箇所は興味深く読みました。20年ほど前に子安美知子が一人娘の(決してドイツの一般的な教育とはいえない)シュタイナー教育体験記を記した一連の書は読みましたが、娘三様の体験記を綴った本書でドイツの一般的な義務教育制度についてその現状を幅広く知ることが出来、なかなか有意義でした。
いつか親は子供よりも先に逝く。それを常に自覚しながら、良き子供時代をすごしたという思い出だけは残してやりたい。そんな愛情がたっぷり詰まったエッセイ集です。
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