紙の本
夢と現実の、狭間で。
2007/10/26 11:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢と現実のギャップに思い悩まない者など、果たしているだろうか。
いやきっと居はしまい。誰もがそのギャップに思い悩み、
苦悩の選択を強いられる。そしてある者は夢を追い続け、
ある者は現実に立ち止まる。どちらが正しいとか間違っているいうのは、
全く意味の無い事で。いずれにせよ「まっすぐに信じること」が、
何より大事で素敵なんだ、って事を改めて感じさせられた作品。
昭和の時代、中国地方の山奥の町比奈で、正体不明の生物が目撃される。ヒナゴンと名づけられたその生物を巡って、比奈町は一時全国から注目を浴びて町中が盛り上がるが、その後目撃証言が無い事もあって、段々と人々の記憶からは消えていった。
時は過ぎ平成となって、その昔ヒナゴンに命を救われたと信じる腕白少年が、暴走族の総長を経て大人になり、なんと比奈町の町長に当選してしまう。夢を追い求めるヤンチャ町長は「類人猿課」を設立して、ヒナゴンの捜索を始めるのだが。その比奈の町に、未来は無かった。
財政悪化を受けて、市町村合併の渦に巻き込まれて行く。誰もが比奈を残したい。でも現実に、それではもう立ち行かなくなってしまっている。合併賛成派反対派を巻き込んで、物語は三つ巴の町長選へと向かっていく。
そして投票日直前の討論会で、まさかのドンデン返しが起こり・・・。
時を同じくして、ヒナゴンを信じて雪山に入った女の子が行方不明になってしまう。バラバラになっていた町のみなの心が、また一つになった時に。
本当の奇跡は、起きる。
この物語、悪意という物が存在しない。対立もぶつかり合いもある。でも誰もが夢と現実のギャップに悩み、それでも自分の信じるものをしっかりと見つめ、みなの未来を本当に考えたからこそ、の事。だから染みてくるし、考えさせられる。
重松さんの作品はどれも本当に素晴らしいけれど、中でも本作は最高傑作の一つに上げて良いと思う。最後の100ページは、もう本を読んでいるという感覚さえ無く、物語が体に流れ込んでくるようだ。毎度おじさん世代の悲哀や気合をを描かせたらピカイチだけど、若者の青さや熱さも描かれていて、そんな所も新鮮で好感。本当に色々な事を感じ考えさせてくれた作品。
今年初の、★5つ、行かせていただきました。
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いいことも悪いことも全部ひっくるめてソレなんだと気づかせてくれる。
ソレは大切な人か、大切なモノか、大切な場所かは人それぞれだと思う。
そんな「大切」なソレを全て受け止めてこれからも大事にしていきたいと思った話の下巻。
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同じく。
面白かったような・・・。
でも上のほうが好きだったかなぁ。
そんな感じ。
2007.10.11
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ヒナゴン、私も会いたいな、と思ってたらあっという間に読み終わってた。ヒナゴンが出現する(?)比奈ってすごく田舎。私の田舎もすっごく田舎。だから、とってもわかる部分が多い。田舎って良い人ばっかりじゃない。悪い人ばっかりじゃないのも確かだけど。そこの部分がよく描けてるなぁって思った。なんかよくわかないけど、重松清っぽい。キャラクターをみんな愛せてしまう、そんな作品だなぁ。夢を持つ気持ちをもう一回思い出させてもらった気がする。この世界観が好きな人にはすごくハマる話だと思う。
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最初っから最後まで
「ふるさとが好き!!」
っていうアツイ感じに溢れている話だったけど、
私はこういう話が好きです。
過疎の町の今後をどうしていくか、
っていう問題提起でもあって。
前半もおもしろいけど、
後半の一気に駆け上る感じがすごくいい!!
ハチャメチャ町長のイッちゃんが、
後半になるにつれてだんだん格好良くなる。
嫌味なインテリの西野くんも、だんだん格好良くなる。
本気で、まっすぐな気持ちで動くと格好良くなるのかしら。
主人公の「私」が、
最後に東京を選ぶのか、ふるさとを選ぶのか。
ちょっとドキドキしたんだけど、
「東京かふるさとか」じゃなくて
「自分」を選んだ気がした。
ふるさとがあるっていいなー。
と、ちょっとうらやましくなりました。
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未確認動物ヒナゴンをめぐる話、ではなく、そこに登場する人々の信念を描いた話。
もし、いっちゃんのような人が身近にいたら・・・困ってしまうなぁ。なんか怖そうだし。
でも、少しだけ距離を置いて接するのであれば愛すべき人物に感じられるのかも。器の大きい人なんだろうなぁ。
演説会場で仲たがいしていた住民がまとまって拍手する様子は感動する。
自分はこういう場面に弱いみたいだ。
田舎を持たない自分としては、そこでの習慣とか考え方とか、めんどくさく感じてしまうのかもしれないけど、少し、ほんの少しだけ、いいなぁとも思う。
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テーマは「ふるさと」。
他の作品とは少し違い、コミカルタッチで描かれています。
長編で 最初の方は少し物語の中に入っていき難かったのですが、下巻からはあっという間に読み終えてしまいました。
少し現実離れした物語でしたが、ふるさと(田舎?)のことがよく描かれていて面白かったです。
次も重松氏の本を読む予定です。
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よかった。イッチャンはもとより西やん、ジュンペ、ドベ、カツetcそれぞれをとっても愛おしいキャラとして確立させて、お決まりっぽいラストではあるけれどもこれはこれですっぽりはまる。ノブやイッチャンの演説には普通に痺れました。「地方」にある合併問題や過疎、地方の実態もリアルに感じさせながら、一つの方向性を示していると思う。そりゃあほんとに最終的にこんな風に町がひとつになって、なんてことはないかもしれないけど。 こんな田舎が故郷だったら。。。って思いながら政治家にも読んでほしいですね。
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おもしろかったです。いろんなエッセンス満載です。合併問題、地方自治、高齢化問題、教育問題、あれやこれや・・・。そして根底にあるのは「ふるさと」。ちょっとだけ涙がでました。
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中盤の辺り町長選挙になることが決まってからは先を読むのが楽しくてついつい一気に読んでしまった。
ノブの相手は決まらずに終わるが、それはだいたい予想出来た。
自分の忘れていた正義感や無くしてはいけない物を思い出させてくれた本になった。
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「信じる」ことの大切さを教えてくれる作品。
最後はほろっと来てしまう。これは重松先生の作品ならでは。
小さい頃には○○だったのに,とか,昔はこんなんじゃなかったのに,
みたいことは誰でもあると思うけど,
そういう子供心って,ええなとおもう
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いつもの重松清とはちょっと違う感じ。
町おこし村おこし+未知の生物 だったら
荻原浩の『オロロ~』のほうが好きかな。
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13025
多少視点の移動がありますが、よっぽど読解力のない人以外は混乱することはないはずです。
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ストーリーは先が読める展開で、特に「おもしろかった!」ってものじゃなかったんだけど、先が読めたにかかわらず、ラストでイッちゃんがヒナゴンに会えたときの場面で涙ぐみました…。
なので☆は4つ。
映画化されたの知ってたけど、興味なかったから全然知らない…。キャストどんなだったのかな?
私的にはイッちゃんは寺島進さんしかありえないんだけど(笑)
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ドタバタ劇ですが過疎の町の合併問題と絡めてあるので、重さと軽さの入り混じった展開。エイチャンに影響を受けた元悪ガキ暴走族あがりのイッチャンと、振り回されながらもイッチャンを取り巻くその周りの人々のやり取りが楽しいです。ヒナゴンいたらいいなぁ。下巻へ…