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20 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

さまざまな立場の人々が多彩な物語を紡ぎ出して琴線を刺激する11編

2009/12/10 19:08

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書には昭和49年から56年までに書かれた作品が収録されている。
年号別に分けてみると、
昭和49年(嚔、密告、霜の朝)、昭和54年(泣く母、虹の空、歳月)、昭和55年(追われる男、怠け者)、昭和56年(報復、おとくの神、禍福)

昭和51年にから作品が明るくなり出したと言われている藤沢周平だが、それ以降の作品にも『隠し剣鬼走り(隠し剣孤影抄収録)』のようにとことん暗さを感じさせる作品があるし、それ以前でも本書に収録されている『嚔』のようにユニークなキャラクターを登場させたり、『密告』のようにちょっとした洒落の利いたセリフで終わる作品も書いており、巷で言われているほどではないと感じた。
本書にはそんな制作年代を気にさせない多彩な作品が収録されており、存分に楽しませてもらった。

『報復』
下男の松平に「あとを頼むぞ」と言い残し、家老宅で諫死した柚木邦之助。
柚木家存続のために家老から辱めを受けた康乃。
主人の残した言葉の意味を理解した松平は下男奉公をやめた。
主人夫婦を誇りにしていた松平の報復が読者を「よくやった」という気持ちにさせる。

『泣く母』
藤井道場に入門してきた矢口八之丞が異父弟だと知った伊庭小四郎。しかし自分を捨てた母を憎んでいた。
母の本当の事を聞いた小四郎は、木剣で試合を申し込まれたという八之丞の変わりに試合場へ走るのだった。
母と再会するラストシーンが胸に響く。

『嚔(くしゃみ)』
緊張すると嚔がでるという奇病をもつ甚五郎は、討手の命を受けた。相手は藩主異母弟の織部正。
織部正が犬畜生と知り、嚔を克服した甚五郎。しかし討手当日、善政を敷いた人物だと知ると、織部正を前にした甚五郎の鼻に掻痒感が襲ってきた。
ユニークな主人公と後悔を誘う結末が複雑な心境にさせる。

『密告』
父の代で関係を絶っていた密告屋磯六から内密に話があると言伝があった。
しかし訝しむ定回り同心笠戸孫十郎の元に磯六は現れず、磯六が殺されていたうえ、孫十郎も襲われた。
父と磯六の仕事が尾を引いていると感じた孫十郎は、父の覚え書きを手繰り始めた。
暗さを伴いつつも暖かさを感じさせハッピーエンドで終わる作品に心地よい読後感を得る。

『おとくの神』
仕事が長続きしない仙吉とは対照的に日雇いに出てまで働く女房のおとく。
別の女と一緒になると言い出した仙吉は、おとくが困ったときに撫でる土器人形を壊してしまった。
これまで泣かされ逃げ回っていたおとくは、それを見ると仙吉を睨み付け、家を出ていった。
いちおうハッピーエンドかな?と思わせるラストが心地よい。

『虹の空』
幼い頃まま母に虐められた政吉は、奉公に出てから他人と思い、十年以上も会っていない。
おかよと所帯を持つことになった政吉。とりあえず報告しにいった先で見たまま母は小さくなっていた。
おかよは同居を嫌がり、まま母に一緒に住めないと告げた政吉の胸に、狂犬から庇ってくれた母の姿が浮かんできた。
皆が幸せになる、とても気持ちのいいラストが、暖かな余韻を残す。

『禍福』
老舗糸屋井筒屋の手代幸七は、井筒屋の娘おるいとの縁談を断り、いそえと一緒になってきてから不運が始まった。
井筒屋を止めたのち小間物売りへと身を落としていた幸七。
身の不運に嘆く幸七は、井筒屋の朋輩竹蔵と出会い、驚く話を聞いた。
「苦の原因は人間の心の持ち方にある」と説いた釈迦の教えのようでもある物語に、藤沢作品の深さを見た。

『追われる男』
喜助は正当防衛とはいえ、人を殺してしまった。
裏店に潜んでいた喜助は、逃亡を計画し昔捨てた女おしんに逃亡資金を無心した。
自業自得と思わせる内容におしんのやさしさが引き立つ。

『怠け者』
五十を過ぎても怠け者の弥太平は、甥から奉公先を紹介してもらった。
弥太平の怠け癖はすぐに奉公先の知れることとなり、おかみ以外からは白い目で見られていた。
ある日、賭場で知り合った男に声をかけられ、奉公先へ引き入れる手引きの約束をする。
おかみの純粋さに触れた弥太平が見せた怠け者の意地がいじらしい。

『歳月』
互いに所帯を持つことを意識していたおつえと信助。しかしおつえは商売の得意先へ嫁ぐことになった。
四年後、材木問屋のおかみになっていたおつえの元に、信助と一緒になるという妹が現れた。
仕事は傾き、すり減った神経と乾き切った気持ちの中に、おつえはわずかなうるおいの光を感じた。
女の変化と大きさに頭が下がる。

『霜の朝』
材木商として巨富を得てきた茂左衛門は、競争相手だった紀ノ国屋文左衛門の終わりを告げる報告を聞いた。
競争相手を失った茂左衛門は、時代の移り変わりに思いを寄せる。
自分を拒み行方を眩ました女中お里。役目を終えて辞めていった宗助。二羽の鳥が茂左衛門の元を飛び去っていった。
賑やかな後の静けさのような寂しさとがしんみりと伝わってくる。

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2006/02/18 00:50

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