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みんなのレビュー197件

みんなの評価3.5

評価内訳

193 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

人が人を裁くということ、それは。

2009/08/11 13:13

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨今、新しく裁判員制度が導入され「人を人が裁くことは出来るか?」という疑問が誰もにふりかかっている。それはつまり人に罰を与えることが出来るのか?罪を償わせることが出来るのか?・・・ひいては加害者が被害者に謝罪し償うことで罪は赦されるものなのか?ということだ。
人は生きていれば多かれ少なかれ罪を犯す。でもそれは「人間誰でも間違いはある」と同レベルのものでは決してない。
時にはその罪を隠し、忘れ、怯え、嘆き、怒る。人の数だけ罪が生まれその種類も重さも千差万別だろうが、しかしその罪に対して、償いと許しと忘れることと、憎み続けることと、果たしてどれが「救い」となるのだろうか?
本書はある犯罪により人生を狂わされた女と、その罪を許されること無く引きずり続けた男との間に展開する罪と償いと再生の物語だ。

物語は息子を殺害した母親の事件を追う記者・渡辺の取材に始まる。女は隣にすむ男・尾崎との関係を匂わせ、尾崎の妻は夫の浮気を証言し、尾崎本人はその嘘の証言を黙って認めたため、幼児殺害を尾崎が示唆したという容疑がかかる。なぜ尾崎は妻の偽証言を認め冤罪を受け容れるのか?
「息子を殺した女。その女と自分の夫に肉体関係があったと嘘をついた女。反論もせずそのうそを認めた男。」(本文185P)
記者・渡辺は尾崎が15年前に集団性的暴行事件を起していたこと、妻かなこが戸籍不明な上籍も入れていないことなどを突き止める一方、尾崎が暴行した女性・水谷夏美のその後の悲惨な人生と現在失踪していることを突き止める。  記録と伝聞だけのあやふやな被害者・夏美は、尾崎の報われぬ人生が明らかになるとともに、一人の女性として輪郭をなしていく・・・

勘のよい方は既に誰が夏美であるか、お分かりであろう。
事件後、日常も幸福もすべて「あの事件」に貶められる不幸な人生を送った夏美は責めれれぬ安らかな場所と「許し」を求め続けてきた。
一方、尾崎は釈放後されてからは誰からも責められず罪悪感だけが取り残された人生を送り、罪を責められ謝罪し、許されることを求め続けている。
そして偶然にも彼らは再会した。
最も憎むべき人間が唯一己に許しと安らぎをあたえてくれるという皮肉。
そして己の罪を責め続ける人間が唯一己に許しを与えうるという絶望的な関係。 愛憎半ばする、とはよく言ったものだがこれほど痛ましい関係を私は知らない。

人が人を裁くということ、それは人を人を許すということであると、信じたい。

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紙の本

血肉を与えられた登場人物たち

2008/08/29 00:42

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

吉田修一のデビュー直後、ほんのわずかな期間だけれど、
彼の書くものと私のあいだに、蜜月らしきものがありました。

次第に新刊へ伸びる手が緩慢になり、
きっともう彼の小説を読むことはないのかもしれないと感じたのは、いつだったでしょうか。
私の嗜好の変化であって、これは仕方のないことだとも思っていました。

『悪人』が出版されたとき、じつはかなり驚きました。
圧倒的な存在感を放つ、しかし不器用で無様な(だからこそ愛おしい)登場人物たち。

『さよなら渓谷』でも、そのときのように人間の業が描かれています。

事件を起こしたらしい女性の隣に住む、なんともやりきれない空気をまとうひと組の夫婦。
ほんの些細なきっかけから、隠された過去があきらかになっていきます。

犯罪者の心理、言い分、その後の人生。
被害者のそれとはまったく異なるはずなのに、物語を読み進むにつれ、
両者の抱えているものは、ひどく似通って見えてきます。

そして、そんな二人が再び出会ったとき……。

読んでいて、なんの矛盾も感じず、受け入れている自分にも驚きましたが、
それだけの説得力ある描写が続きます。

なにかを裁くための物語ではないのだと思います。
そう考えると、初期の頃から吉田修一が描いていることは一貫しているのかもしれません。
ただ、心の揺すぶられ度ははるかに増しています。
それは、犯罪をテーマに扱ったせいだけではないような気がするのです。

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2008/06/26 21:30

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2008/06/26 23:33

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2008/07/13 20:45

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2008/07/16 21:40

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2008/08/28 15:15

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2008/08/29 16:20

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2008/10/16 18:47

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