紙の本
貧しい水の中で、沢山の種類が少しずつ違うものを利用している美しさ。
2008/09/08 21:42
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サンゴ礁のカラー写真と、いろんな生き物がいる豊かさを一度見にいらっしゃい、といざなうような文章で始まるこの一冊は、たしかにサンゴ礁の紹介の本ではあるのだが、行き着いた先は文明論だった。
しかし、それは本当に最後の結論であり、ほとんどの部分は楽しくサンゴ礁をお勉強できる本である。
サンゴやサンゴ礁に関するQ&Aの形をとった前半は、「サンゴは動物なんですか」といったような素朴な質問から入っていくのだが、どうして、結構専門的な分類や発生の説明も入っている。それでも、さすが本川先生は熟練の師である。説明は読みやすく、楽しい。そして、植物との共生、動物同士の共生から、多様性の話まですんなりとサンゴ礁の不思議に引っ張り込まれてしまう。
澄んだサンゴ礁の海水は実は栄養が少ない。その中でどうして多様な生き物がいるのか、というのは不思議なようで、「これが一つの方法」なのだ。沢山の違う生き物が少しずついて、それぞれが違うものを利用することで無駄なものを減らし、少ない栄養の水の中で暮らしている。
その、いろんないき方をする、いろんな姿の生き物が混在しているということに、人間はなにか「大事なもの」を感じて「美しい」と思うのではないだろうか、というのが著者が言いたいことではないだろうか。だから「一度は美しいサンゴ礁をみにいらっしゃい」。
最後の方には「北の発想」「南の発想」という対比で、このような著者の考えが文明論のようになってまとめられている。ここで出てくる「時間もエネルギー」という考え方は、これまでも著者があちこちで書いてこられたこと。そのあたりをまとめて読みたいかたは「おまけの人生」をお勧めしたい。
おまけと言えば、歌のお好きな先生の定番、自作の歌もちゃんとついている。「サンゴのタンゴ」。学会で英訳も披露しました、という歌詞は韻にも苦労されたのではないだろうか、という力作です。
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『サンゴとサンゴ礁のはなし―南の海のふしぎな生態系』(本川達雄、2008年、中公新書)
エメラルドグリーンの海、色とりどりの魚。珊瑚。
いったい珊瑚とはどのような生き物なのだろうかという基本的なことから、珊瑚と共生している他の生き物、珊瑚を取り巻く環境の変化と危機(いわゆる白化現象)まで、珊瑚にかかわる多様なトピックをわかりやすく解説されています。
(2009年11月16日)
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2010/02/22:サンゴとはどういう生物なのかサンゴ礁を取り巻く多様なそして共生しあう生態系を構築しているのか、そして現在地球温暖化や環境の変化によりどういった危機に瀕しているのかなどサンゴとサンゴ礁について幅広く解説されている本です。
読んでいるとサンゴ礁の生態系の豊かさを見に行きたくなります。
(もっともインドア派な上に潜れませんが…)
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[ 内容 ]
多くの生物がそこに住み、互いに助け合って生きるサンゴの森。
エビ、ウニ、ナマコなど、さまざまな種類の生物が密接な協力関係のもとに暮らしている。
しかし多様性と共生がキー・ワードであったサンゴ礁が、危機に瀕している。
地球温暖化によって海水温が上昇し、共生を保てなくなったサンゴが死滅しつつあるのだ。
本書は、生物たちの絶妙な関係を紹介し、海を守るサンゴ礁のこれからを考える「自然の教室」である。
[ 目次 ]
1 教えて!サンゴ礁(サンゴに関するQ&A サンゴ礁に関するQ&A)
2 もっと!サンゴ礁(褐虫藻との共生 褐虫藻をもつさまざまな生物 サンゴの進化 サンゴを棲家とする動物たち 魚たちの共生 危機のサンゴ礁 サンゴ礁の保全)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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好奇心でワクワクさせられる本です。個人的には、理系文系とわかれる前の小学生高学年あたりに読んでもらって好奇心を育てて欲しい本。
多様性、共生についてサンゴを通じて学べます。サステイナビリティを考えるキッカケにもオススメ。
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サンゴとサンゴ礁について、超!詳しくなれます。
もっと写真があれば、中学生高校生にも興味をもってよんでもらえそう。
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続・サンゴについて知らなければいけない状況に追い込まれたので手に取りました(謎)
サンゴ本2冊目。何故そんな状況なのは僕に会った時にでも聞いて下さい。ある目的があって読んでいるわけですが、何かヒントがあるのではないか…というしがみつくような感じです。ちなみに関連でまったく違うジャンルの本も買ってるんですが。
本書は、多少の図はあるものの基本的に文字です。名称が沢山出てきてカタカナが多く、日本の神様とか古事記関連の本を読んでる時の感覚になりました。
本書を読みながら宮古島でシュノケールした時のことを思い出していました。その時はサンゴが何に分類される生物なのかもしらず、あの塊?郡?の中はそんなことになってるのかーと、驚きました。
サンゴと共生する生物についても書かれているわけですが、様々な習性の話しはけっこう面白いです。海の生物って群れをなしたりする認識はありますが、ただ泳いでるだけみたいなイメージじゃないですか。ぜんぜんそうじゃないんですよね。小さい生物もいろんな知恵をもっている。
知人の知人がサンゴを飼ってるらしいです。飼おうとまでは思わないですが、サンゴに魅かれるのはちょっとわかった気がしました。
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歌う生物学者本川先生の最新作。サンゴやサンゴとともに生きる生物のお話です。いろいろと発見があり、とても楽しく読んだのですが、ひょっとすると本川先生が書きたかったのは、最終章「サンゴ礁の保全」のことだったのかもしれません。現在、地球温暖化などが原因で、サンゴが生きていけない海になってきているそうです。サンゴは暖かい海に生息しているはずですが、暑すぎるのもよくないのです。その理由は本書をしっかり読んでください。そしてサンゴがいなくなると、共生しているたくさんの生き物のすみかがなくなり、生物の多様性が失われていきます。著者はぜひサンゴの海に潜るようにとうったえます。観光に行くことでも、サンゴの海を守ることになるのだといいます。また、著者は、長い間沖縄で研究生活を送った中で感じた南の発想と北の発想の違いを説きます。大量生産、大量消費、みなの生活レベルを上げる、みなが同じようであるべきだ・・・そういった北の発想。対して、当時所得は日本で最下位であったにもかかわらず、泡盛を片手にのんびり、ふわふわした生活をしている、そんな南の島々の人の発想。日本も十分に豊かになってきた。右肩上がりの先を急ぐのではなく、のんびりと南の発想で生きてみてはどうだろうか。私も大賛成です。サンゴの海にも潜ってみたいけど、ちょっとこわいんだなあ海は。何が出てくるか分からないし。
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生物多様性の本棚リスト
過酷な環境では、多様性は生まれづらい。
その環境に耐えられない生きものは、すぐに絶滅してしまう。多様な進化には時間がかかるが、過酷な環境はその時間を与えてくれない。
サンゴは褐色藻と完全な共生関係にある。サンゴが排泄する二酸化炭素や排泄物を受け取った褐色藻は光合成をして、サンゴが生きるのに必要な栄養を与える。
美しい共生システムだ。
サンゴは熱帯の海に住む動物だ。動物プランクトンを食べて生きている。動物プランクトンが居ないほど透明な場所でも、褐色藻がいれば生きていける。
アクセサリーになる珊瑚とは何か違うらしい。
サンゴの一斉産卵
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%80%80%E4%B8%80%E6%96%89%E7%94%A3%E5%8D%B5
サンゴと褐色藻
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B4+%E8%A4%90%E8%89%B2%E8%97%BB