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どうしてこの小説が芥川賞を受賞したのか、疑問が残った。
直木賞ならわからないでもない。ストーリー展開は中間小説のそれだし、日本語の文章表現はつたなく(外国人が書いたということを考えれば驚異的に上手だが)、主題はわかりやす過ぎる。
天安門事件によって人生を翻弄されていく中国人青年達の物語だが、こうした傾向の作品は、中国人作家の翻訳物で、これより以前に発表された小説をすでに読んだことがあるし、新鮮味という点においても当たらない。
けして悪い小説ではないが、この作品を日本の純文学と位置づけるのはいささか間違っていないか。
芥川賞の受賞理由を調べてみても、選考委員の賛否は半々に分かれている。
池澤夏樹や高樹のぶ子、川上弘美らは賛成派、石原慎太郎、宮本輝、村上龍、黒井千次らは反対派という別れ方で、文壇の新旧勢力が意見を分けたという印象である(村上龍は新旧どちらか判別つきにくいが)。なるほど…と、妙に納得。
選評を読んで共感できるのは、後者の反対派の意見。世代的には、前者よりもわたしは若いのだが…。
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中国人だって北朝鮮人だってロシア人だって人間だから悲しいときには泣くし嬉しいときは笑うしホームシックになれば故郷が懐かしくなるんですよ。
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第139回芥川賞受賞作品。天安門事件に翻弄された、2人の同郷の大学生。中国人の心情にわずかながらも触れることができる作品。共産主義から民主主義をみる。自由諸国の情報が入ってくるようになると、中国の人々はどのように思うのだろうか。インターネットの発展で、よくそんなことを考える。エネルギーに満ち溢れ、高い志を持った大学生たちだったら、描かれたような行動をした人が多かったというのも理解はできる。しかし、理解はできるが、青くさい若さを感じてしまった。飲食店で、主人公の大学生らがそれを指摘され喧嘩をし、補導、退学という場面が描かれている。よく描かれる若気の至りといったところ。それだけ純真ということなのだろう。時代小説作家の山本周五郎さんが語った言葉を思い出す。「歴史小説とは、プロが書いた大人の小説であり、純文学とは素人が書いた大人になれない人間のための小説である」この楊逸さんを素人とはもちろん考えもしない。ただ、否定的な意味でなく「大人になれない人間のための小説」というところになにかが見えた気がした。主人公らに共感を持ってもらうには、対象となる読者も大人になりきっていない必要があるのかもしれない。最近、青春小説に食指が動かない私は、急速に若さを失いつつあることに気付かされた。日本でもかつて学生運動に参加していた人たちは多い。その人たちが今この小説を読むとどんな感想を持つのだろう。
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第139回芥川賞受賞作
良くも悪くも、そこらへんの中国系料理店で食べる、ちょっとだけすっぱすぎる味、って感じ。
基本的には口に合わないけど、食べ終わる頃にはちょっとしたよさもわかる、というか。
中国ってこんな感じなんだろうな、というのが抵抗なく受け取れるし、登場人物の造形はすごく立体的。
こういう人がまわりにいればちょっと面倒かなぁ、という印象を受けながらも、その立体感はリアルで重く、人の人生を擬似体験する、という小説の醍醐味は少し味わえる。
ここまで書いて、★4でもいいかな、って思ったけど
やっぱり好きじゃなかったので★は3。
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これ絶対前に読んだよ…いや、「前にどこかで読んだ内容だ」的な批判ではないです。
天安門事件を挟んで、教養人がおかれた状況と感情の変化を描写している…のかな?エピソードがちょっとずつ薄い気がしました。あ、でも肉まんの描写は、読んだのがお昼時と言うこともありめちゃくちゃおいしそうでした。ハイどうでもいいですね。
全編通して、なんとなく芥川賞っぽくないように思いました。リーピ英雄の衝撃が――正確に言えば彼の文章を扱った授業で受けた印象が――強すぎて、母語が云々と言う評論は色あせてみえる。
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大学受験を経て、秦漢大学に入学した浩遠(ハウエン)と志強(ツェーチャン)。
穏やかでしっかりとした大学生活から一変、学生運動を行うようになる。
北京で座り込みのデモもした。
しかし、暴行を犯し逮捕、退学処分となる。
農工の生活を送りながらも、ハウエンは民主化を目指した。
けれど、他人には「私たちだって愛国者だが、それよりも家族を
食べさせることの方がずっと大事だ、お前にも子供が出来れば分かる」と諌められるばかり。
日本で暮らす中国孤児二世の梅と結婚、来日。
ツェーチャンは中国でデザイナーとして活躍し始め、活動の中心人物であった甘先生はアメリカへ亡命。二人のヒロインだった英露はフランスで暮らしていた。
それぞれが、それぞれの道で生きてゆく。
ハウエンは夢破れ、日本で暮らすようになる。
それも、革命などからはほど遠い生活だ。
いや、彼自身は最初こそ本気であったのだが、大人に諌められていた
大学生が、子を持ち養う身になってから簡潔に言えば、色んなことが見えてきたということなのだろう。
それは、無邪気で純真無垢な自分自身のかつての姿も客観視できるようになることも含まれていて。
秀逸なのは最後の文章。
しばらくして、ゆっくりと梅と桜と民生の方を振り返って浩遠は日本語で行った。
「ふるさとはね、自分の生まれたところ、そして死ぬところです。
お父さんやお母さんや兄弟たちのいる、温かい家ですよ」
「じゃ、たっくんのふるさとは日本だね」
死ぬところ、までが、ふるさとに含まれているのは何故なのだろう。
ハウエンにとっては、いつまでも中国は故郷ではあるが
戻る(そしてそこで死ぬ)という意思は示されていないのに。
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日本語って、やっぱり中国語の派生語なんだ、と改めて感じた。中国語ネイティブの書いた日本語小説、意外と面白かった。
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中国人作家の受賞ということで話題になった芥川賞受賞作。中国の民主化運動に関わった主人公の半生がストーリー。
貧しい農村に生まれ、猛勉強の末に大学に合格し、在学中に民主化運動に関わり、大学を退学になり日本に渡り、自分と家族の生活のために仕事のスキルを磨く。政治から生活向上への関心の転換は、多くの中国人に共通するものだと思う。主人公は中国人、そして中国そのものを象徴しているのではないかと思った。
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大学に進学した二人の青年、梁浩遠と謝志強。なかなかの純情者たちであります。
中国ではいまだにかういふ若者が多いのでせうか。
早朝に大声で叫んだり、テレサ・テンの歌に恥かしがつたり。日本の若人だと「友情」なんて言葉を口にするのも照れるのではないでせうか。
民主化を渇望する現代中国の若者を描いて、余すところがない...と言ひたいところですが、随分と慌しく話が進んでしまひ、もう少しじつくりと味はひたいと思ひました。
天安門事件についても、あつさりと記述されてゐるやうな印象です。もつと長篇で扱ふ題材では? もつたいないのであります。
とは言へ、これは力瘤の入つた力作と申せませう。少なくともわたくしは、この著者の他の作品も読んでみたいと勘考いたしました。
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作者の楊逸さんの名前に「ヤン・イー」とルビがふつてあります。昔なら「よういつ」とでも書いたでありませう。
最近では、中国人の名前も現地の発音に近い表記がされてゐるやうです。新聞でも、胡錦濤(フーチンタオ)とか、温家宝(ウェンチアバオ)なんて書いてあります。
魯迅も現在ならルーシュンとして紹介されたでありませう。だからどうだと言ふわけではないがね、ちよつと書いてみただけです。
ぢや、おやすみなさい。
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11260508211.html
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浩遠と志強、幼馴染であり親友でありライバルでもある二人。
奏漢大学に入学し、そこで出会った人たちや時代に影響され、
民主化運動に参加する、熱く儚い努力と挫折の入り混じる青春。
テレサテンは愛を奏で、尾崎豊は自由を叫び、
暴動をおこし大学を退学させられた二人は
のちにそれぞれ結婚し、日本と中国で生活を過ごす中で
数年ぶりに再会した、共に民主化を強くうたった懐かしい人たち。
民主化ってなに?死
頭悪い私はまずそこからでしてね…
こういうのが芥川って、珍しくない?
浩遠が、日本語を器用に話す自分の子供に下手な日本語で答えてるのがいいね)^o^(何
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天安門事件の学生運動から2000年代までの回顧録。
普段触れることのない中国学生たちの生の生活が描かれていて
民族・文化の違いを知る上で参考になる一冊。
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1989年6月4日の天安門事件の頃、傷害事件を起こし退学処分を受けた民主化運動に参加する地方大学の2人の学生の
その後の人生の物語。
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ネイティブでない人の日本語として考えればかなり流暢ではあるのだけど、そうした正しすぎるがゆえの不自然さみたいものを感じた。
この作品を評価するには、そうした言葉自体の持つ摩擦やざらつきをも含めて考えるということなのだろう。
中国のことを中国語ではなく、あえて強みにはならない他国の言葉、それも日本語で書くことの意味。
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まだ日本語が完璧でないのか
意味のわからないところがある。
物語としては 未成熟であるが・・
テーマは 大切なものが 含まれていると思った。
『中国の民主化』というのは、
どんなカタチで進んでいくのだろう。
それを リアルに描いた 作品であることに評価が出来る。
中国を愛するがゆえに 政府から弾圧される。
その矛盾が どのようなものか?
田舎にいる 謝志強と梁浩遠と言う二人の優秀な青年が
秦漢大学中国文学の合格を待つところから始まる。
浩遠の父親は 北京大学の哲学科のエリートであったが
『資本家や地主だからといって悪い人だと
決めつけるには 弁証法に矛盾する』
と言って、右派の烙印を押され 西北の農村に 下放させられた。
甘凌洲教授は30歳代で 詩人としての才能もあった。
浩遠と志強は 甘教授に心酔して行く。
そして 学生を中心とした民主化運動の群れの中にはいっていく。
テレサテンの歌が 腐敗だと思う状況だった。
アメリカのように民主主義を実現するという ことを 考えた。
その頃の学生運動は 市民からも支持され、
食物などが支援されていた。
その中には 白英露という
英文科の女性がいて 二人は好かれていくが
志強のように はっきりと言うことが出来ない 浩遠。
英露の着ている「我愛中国」に感化されて
I LOVE YOU 中国 のTシャツを作る二人 。
それが 記念となるのであった・・
6月3日 天安門広場では 反対する学生が 弾圧され殺された。
身動きできなくなった 二人は 酒を飲むしかないといって
料理屋に行くが そこで馬鹿にされ 喧嘩となる。
二人は 大学処分を受けてしまう。
大学でしっかり勉強しようと思っていた二人が 大学を追い出され
そして、肉体労働をしながら・・・
浩遠は 残留孤児の 梅と結婚し 日本で生活をしている。
日本で、中国人の民主化について組織に加わり、
中心的な存在になるが・・・
日本にいる中国人は 利己的なものが多く
組織的には 集まらなくなっていく。
浩遠には 尾崎豊の歌が 彼を励ますものであった。
甘教授は 家族を中国に残してアメリカに行き
英露は フランスにいると聞いていたが、
甘教授も フランスにいることを知る。
そして 中国に戻る と言う甘教授を日本で迎えあったときに
英露も一緒にいた。
甘教授は 息子の手紙を 浩遠に見せる。
『父さん、昨夜母さんは息を引き取った。
目尻に涙をひとつ残したままだった。
きっと僕が責任のある父親に恵まれることがないのを
最後まで悔やんだのだと思います。
妻も息子も省みることが出来ない、
そんな人が国を愛せるのだろうか。
これは僕の最後の手紙です。』
浩遠にも梅との間に
さくらと言う長女と 民生と言う息子がいた。
甘教授は 中国で、小学校の先生としてやり直すと言う。
民生は 姉のさくらに 甘教授がどこに行くと聞く
「中国よ」という・・
民生は 「中国ってどこ?」ってきく。
さくらは 「パパのふるさとよ」という
民生は 「パパのふるさと? ふるさとって何?」
浩遠は 「ふるさとはね、自分の生まれたところ、
そして死ぬところです」という
民生は 「じゃ、たっくんのふるさとは日本だね」といって・・・
小説は終わる。
この二つのフレーズを言うために
この物語はあったのだろう。
国を愛するとは?(愛国) ふるさととは?
この二つを 上手く纏め上げた作品と言える。
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授業で取り上げる内容なので、勉強しなければ・・・と思って読んでみた。
中国の学生運動・民主化運動の一端が描かれている。
天安門の件も出てくる。6月4日、中国ではネット上でも厳しく規制されていたというニュースを見たばかりだったので記憶に新しい話だった。
これをnonnativeの楊逸さんが書いたのは本当にすごい。
そのへんの日本人よりよほど日本語をよくわかっている。
芥川賞受賞作というだけあって内容は難しかったけど、「言語を学ぶということ」という点においては良い収穫ができた。授業でも話してみよう。