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日本語を母国語としない作家として初めて芥川賞を受賞した作品。文革と天安門事件を題材に中国の民主化に奮闘する学生の青春と挫折、挙句の果てに国を棄てるまでを淡々としたタッチで描写。中国に生まれ育った人にしか書けない小説やね。
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2008年芥川賞受賞作。明確なストーリーがあって、それをきちんと追っていく文章であり、日本語表現の多様性に挑戦しているものではない。ストーリーも天安門事件に絡められているから感じるものがあるけれど、題材勝ちの印象を受けました。知識としてあった中国の民主化運動について、物語を通して触れられたことはよかったですが。ジャーナリズム的な価値以外の、文学性というか力を持った文学というか、そういうものが感じられない。芥川賞に値するのか、日本語文学の未来の可能性を開くための受賞か、知らないけど、どうなんだろう。
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高い志を持って秦漢大学に入学した浩遠と志強。しかし、学生運動に翻弄され、二人の運命は大きく変わっていく。
本文中に尾崎豊の「I LOVE YOU」が盛り込まれ、主人公の戸惑いや悩みを代弁しているようだった。
秘かに香港映画好きな私にとり、「射雕英雄」、「上海灘」の単語に萌えました。
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物語は、1988年、中国西北部の農村に住む若者が大学入学試験を受けるところからはじまり、天安門事件を経て2000年の日本へと至る。
一家の期待を背負って大学に入学し、将来への希望に燃える”二狼”の姿が、日本語学校で見た留学生たちに重なった。彼らは昨今の反日運動をどう見ているのだろうか。
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日本語を母語としない作者として初めての芥川賞受賞者となった楊逸(ヤンイー)さん
新聞のエッセイなどでその筆力はすでに知っていた。まずは受賞作を拝読した。
中国の民主化運動に翻弄された登場人物たち。民主化を願う気持ちはどこか青臭くせつない。
民主化運動が熱を帯びるしたがい、どんどんのめりこんでいく。大声で演説する、ハンストもする。そして突然
当局から活動の中止を言い渡され、些細ないさかいから大学も放校となる。大学に入学したときは向学心あふれる若者だった人たちが
些細なことで、居場所を失う。運動家は別に特殊な人ではなく
何となく中国共産党一党独裁の政治が問題だと思っただけなのだ。
政治活動の空白化を描くことで楊逸は民主化への人民のの希望が決して反革命などという大それたものではなく
市井の人々の希望なのだと説く。この様な中国の民衆レベルでの政治の空白状況は日本も同様である。
民主化運動に明け暮れ、敗れ、さまよった人々が再会し、過ぎし日を思い出すとき時が滲むのであった。
なかなか上手。
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08年の芥川賞受賞作で、その時に読んだきりだったんだけど、改めていまの香港で起きていることを踏まえつつ、本棚の片隅にあったので軽く読み直し。当時から小説としての完成度は議論になった記憶が有るけど、改めて読んでも僕は嫌いじゃ無い。僕の周りにも天安門の時に現場にいて後に日本へ来た人、香港人で香港でサポートプロテストに学生として参加した人、何人かいる。彼らが今回の香港での出来事をどう感じるか、この小説が少し解説してくれる。結局、みな悶悶としたまま生きてる。今純粋に信じて動いてる学生達が、将来どんな感想を残していくかな…。今だから再読の価値有り。
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苦学の末、激戦を勝ち抜いて名門大学に進学した、梁浩遠と謝志強。学生運動に進み、天安門事件に遭遇、挫折と別れ、再会までを描く力作です。
描写は淡々として、少し薄っぺらい感じがしました。もうちょっと描いてほしい、せっかくの題材が勿体無い気がします。私には馴染みの無い言い回しが偶にでてきますが、日本語はしっかりしています。漢文が今となっては読み取れないのが悔しいです。
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それほど長くないので半日か1日で一気に読めます。ストーリー展開が早いせいか、主人公に感情移入できませんでした。特に天安門事件からの展開がやや唐突すぎる感じがしました。食堂で喧嘩して大学を退学になってしまうところとか。両親の期待を背負ってあれだけ頑張って入った大学なのに、そんなことするかっていう感じです。
全体的に話を長くして、当時の中国の大学生の生の姿を感じとれるよう色々なエピソードを盛り込んだならもっと面白くなったのではないでしょうか。
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中国の農村で生まれ育ち、秦都の大学で民主化の学生運動に参加し、挫折を味わい、その後日本で生活しつつ、民主化運動を続け、悩みながら大人になって行く。天安門事件が一つの象徴として記憶に残る中国の民主化運動を一人の中国人青年の目線で描いていて、知らなかった歴史の裏側を覗かせてくれる。多少、んん?と思う表現があるが、このような小説が書ける語学力はものすごいと思うし、むしろ違和感に感じる部分は、中国人の感性という、文化のバックグラウンドが表れている部分だと思えばいい。変な言い方かも知れないが、これは日本語で書かれた中国文学作品なのだと思う。内容はやや青臭い。が、中国の政治に対する一個人の中国人の悩み、ジレンマに共感出来るところはある。また、人と人が強く近密につながり合う関係がいかにも中国人らしいなと思う。今の日本の政治も客観的に見てほめられたものではないし、そんな国の中で日本人が昔から持っていた良い部分というのもずいぶん失われて来ていると思う。それぞれの国の、それぞれの人々。その違い。諸々、色々と考えさせられた。
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中国が舞台で始まり,学生運動の挫折の後舞台を日本に移して,民主化の思いを口にしながらも鬱々として生きていく浩遠.天安門事件辺りを生きた学生知識人の悲哀が伝わってくる.
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1989年北京天安門での民主化デモに対して戒厳令を敷いた中国政府は、人民解放軍による弾圧を実施し、犠牲者が出るまでの惨事となった。いわゆる天安門事件である。
戦車の前に立ちふさがり進路妨害をする男性の姿がテレビで世界に流れ、人々の記憶に残る出来事となった。
物語は、事件そのものでは無く地方大学へ入学したのち慕っている先生や憧れの先輩の影響から天安門まで参加した二人の若者の青春と挫折が描かれている。
外国語を母国語とする作家が日本語で書いた物語として初の芥川賞を受賞していることで有名。
最近の著書『我が敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない』では、中華人民共和国政府の「香港弾圧」や「コロナ隠蔽疑惑」に対して痛烈な批判を展開しているが、この頃はまだそこまで政治色を出していない。
それよりも、芥川賞応募で枚数の限られた中、当時の地方の一般市民の心情が素直に語られた物語。
母国語で長編小説としたとき、もっと深く描かれていたかも…。
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天安門事件が題材。
中国の地にて民主化運動に参加し、翻弄された一人の男の物語。
青春の一途さや、ほとばしるエネルギーをひしひしと感じた。挫折も味わうがさっぱりとした文章で重くない。
変われなくても、年月と共に受け入れていくのは自然の流れだと思う。最後は穏やかな気持ちになった。子供たちにふるさとを教える台詞がとても良く、心にすっと入ってくる。
愛のある本だった。
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農学部図書館のアルバイト学生の方に図書を推薦いただきました。テーマは「大卒小説家による「大学」が舞台の小説」です。
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです(中央図書館に所蔵があります)☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA86466536
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中国民主化を願って活動する若者の話。熱量が違う。熱い!心情がわかりやすく伝わってきた。文化も興味深かった。日本語がきれい。詩のような趣を感じた。
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何かと縁を感じる著者。
歴史小説を読んでいる感覚で読み進める。登場人物の名前などはなかなか頭に入ってこないし、天安門事件などの知識もないと、面白さは半減するかもしれない。
それでも、ラストのあたりは涙が抑えられなかった。やるせなさというか、悔しさというのか。