紙の本
「丸かじり」三代記
2009/10/25 07:57
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世襲はむずかしい。
先の選挙でも世襲はだめだとか、まあそうはいっても今回はいいじゃあないかと喧しいものだったが、選挙が終わったら、しーん、としてしまった。
なんだか、またこそこそと、ひそひそと、「お父ちゃん、世襲ゆずってね」なんてねだっているのだろうか。
別に政治家だけが世襲問題で悩んでいるわけではなくて、先代がこつこつ地道にこしらえてきたものを二代目がはちゃめちゃにしてしまうなんていうのは、たくさん目にする。
ここに饅頭屋があったとする。(どこにあるのかと聞かれても困るが、あるものは仕方がない)
毎週毎週こつこつと、地味に、といっても、そこは先代も馬鹿ではなく、かなりの大手の流通経路にくいこんで、なじみのお客がたくさんついている。
屋号は、「あれも食いたいこれも食いたい」。
れっきとした老舗である。
この饅頭屋の二代目もそこそこやり手である。
世間でいう、馬鹿息子ではない。
「父ちゃん、屋号が長すぎて、お客さんが舌かんじゃってる」みたいなことを、無口な先代に進言したにちがいない。
そして、新たな流通経路までこしらえて、「父ちゃんの丸かじり」として、まとめて売り出した。
もともと先代の味がいいから、売れないはずはない。
しかも、新しい屋号がうけたから、二代目も成功した。
だから、この饅頭屋は世襲に関しては問題なかった。
さらに、三代目が才覚に富んでいて、「父ちゃん(これは二代目のこと)、これってパッケージを変えたらもっと売れるんじゃない」みたいなアイデア商売を始めた。
流通経路も変え、価格も低価格戦略にうってでた。
パッケージは専門業者にお願いした。さらに、有名人のあれこれに推薦文を依頼した。
これが評判を呼んで、売れに売れた。
いまでは「丸かじり」というだけで、みんなが「あれはうまい」というまでの認知を得るまでに急成長している。
世襲がこれほどうまく成功した例は、近代日本経営史でもまれである。
今日も、先代は毎週毎週こつこつと、二代目は先代の働きに感謝しつつ、数が集まるのを待って、さらに三代目はよしよしと舌舐めずりしている。
それでも、お客は喜んでいるのだから、こんないいことはない。
「丸かじり」三代記は、きっと、日本のベスト世襲として、国民栄誉賞をとるにちがいない。
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米原万里さんが、何かの本で“これはスゴイ本。日本の食文化が何十年にもわたって書かれている。後生に残る”と書いていらして、なるほどと思う。“丸かじりシリーズ”です。
何冊が読みました。お風呂で読んで眠くなって水没させたりしますが、それ位リラックスできます。作者と同世代だとなお面白いのでしょう。
この本か忘れましたが、“かっぱえびせんが口の中に何本入るか”なんて、あほらしいコトを実践していたりして楽しい時もあります。小学校の時、友達とやったような!
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「ホットドッグの丸かじり」4
著者 東海林さだお
出版 文春文庫
p222より引用
“その過激な観察眼と洞察力をもって作者が書くのは、
徹底して地味な食べ物である。”
マンガ家でありエッセイストである著者による、
食べ物に関するエッセイをまとめた一冊。
漬物から3000円のラーメンまで、
和から洋まで幅広く紹介されています。
上記の引用は、
角田光代氏による解説の中の一文。
地味で何の変哲も無い食べ物ほど、
時間の経過と共により多くの人が食べる事になるので、
味に磨きがかかっていくのでしょうか。
いつもどおり食欲が沸くので、
減量中の方にはお勧めできません。
ーーーーー
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ショージさんは肉マンが好きだと思います。登場回数はそばの次くらいでしょうか。コンビニで肉マンを買い歩きながら食べている運動部の学生が、もっとも美味しく味わえている。それをうらやましく思うほど、肉マンが好きです。
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東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズ。大好きです。
仕事や難しい本読んで、ココロが疲れきったあとなんかに、とっても読みたくなります。ココロのマッサージみたいな感じです。
この「丸かじり」シリーズ、とにかく沢山刊行しているのですが、駅の書店やブックオフなんかで、デタラメに買って、読んだら売っちゃたりしているので、どの巻を読んだかなんて覚えてなくて、同じの買ってしまうなんてことが良くあります。(でも、また楽しく読めます。)
本巻では、「午後の定食屋」「冷やし中華KKもリストラ」「アンミツ構成員」が最高です。
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「冷やし中華KKもリストラ」、好きだな~、こーゆーのww
そして!またもやっ!!食べてしまいました!切り干し大根ww あと、豚肉ね。厚切りのロースト・ポークww
角田光代さんの解説がまたよい。読み返して・・・また食べたくなりますwww
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1『正月にピリオド鯛茶漬け』
2『ガンバレ!お新香』
3『別盛りカツ丼は夢か』
4『一〇〇円うどんを食べに行く』
5『盛り合わせの思想とは』
6『‘‘肉マン走り‘‘の人々』
7『オイスターバー見参』
8『おのろけ豆の謎』
9『切り干し大根の怪』
10『ついに立ち食い寿司出現』
11『三〇〇〇円のお好み焼き』
12『ちらし寿司の春』
13『鯛ラーメン登場』
14『♪ケーキ巻き巻き』
15『ふりかけの実力は?』
16『ミリン干し応援団』
17『機内食を地上で?』
18『ブランドバーガーを食べる』
19『タン塩の時代』
20『バター醤油かけごはん讃』
21『午後の定食屋』
22『人参の不思議』
23『ミレーを食べる宵』
24『冷やし中華KKもリストラ』
25『懐かしやスパゲティ・ナポリタン』
26『野球抜きでホットドッグ』
27『三〇〇〇円ラーメンとは』
28『茗荷に学ぶ』
29『ウイロウを庇う』
30『テッペンタベタカ』
31『アンミツ構成員』
32『動く丼』
33『豚づくしレストラン』
34『桃缶の甘美』
35『パエリヤ旨いか』
解説は角田光代さんです。
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解説角田光代さん。
ロールケーキとナポリタン、切り干し大根、にんじん、バター醤油ご飯、3,000円のお好み焼きの話しが強く残っている。
読んでてあまり食べたい!お腹すいた!にはならなかったのが不思議。
おそらく、うんちく頑固おやじめ!と思っているからかもしれないな。
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ホットドッグ専門チェーンとまではいいませんが、最近はホットドッグを出す店も多くなってきましたね。
パンとソーセージとソースのバリエーションがもっとあればいいとは思いますが。
相変わらず、書かれている食べ物のおいしそうなこと。
高いものより、安いものの方がよりおいしそうに見えるのは、この作者だからでしょうか。
せっかくだから、ミシュラン掲載店を食べ歩いて、本音のエッセイを書いてみてほしいものです。
ちなみに、薬味でミョウガがあるとうれしいタイプです。(^^
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レビュー書く必要も無いのではないかと思う位存在自体が貴重な東海林さだおさん。
このシリーズを今も書き続けているのだからすごいですよね。まさに驚異的。
水戸黄門の一話ごとに評価をつける事に意味が無いように、まるかじりシリーズも綿々とつながる一代記のようなものであります。多分読んでいるんだと思うんですが、全然内容覚えてないので一生読めます。
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人参は和洋中、色んなメニューに登場し、栄養も豊富な万能役なのにどうして人参を料理名に冠したメニューはないのかという話に一緒に唸り、ミレーにつけ込んだ(と言ってはいけない)コース料理の話に声を出して笑い、冷やし中華のリストラ会議話にニヤニヤする、今回も盤石なラインナップでお送りしております!