紙の本
看板に偽りあり?
2009/02/22 14:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はテレビ東京の常務取締役を勤めた人物。他局よりも極端に視聴率が低かったために「テレビ番外地」とまで蔑まれた同局での興味深いエピソードを、その黎明期からずっと携わってきた著者が綴った新書です。
ですがこれはやはりエピソードのパッチワークです。
その経験談のかけらのひとつひとつが、「番外地」ならではの興味深いエピソードといえるかどうかは疑問です。
著者の主張がよくわからないところも一度ならずありました。
皇太子ご成婚番組で、二人の馴れ初めを描いた再現ドラマをボツにしたとありますが、著者が「再現ドラマはありえない」と考える根拠が本書では不明確でした。
また視聴率調査会社の社員の後をつけ、モニター家庭がいるとおぼしき地域に番組PR素材をばらまいたという先輩の逸話を綴っています。この一件を、つい近年視聴率モニター家庭に自分の担当番組を見るよう頼み込んで解雇された在京キー局のプロデューサーの事件と比較して、それとは質が異なるかのように著者は記しますが、一般視聴者から見れば同じ穴のムジナではないでしょうか。
最後の2章である「真夜中のセールスマン」と「テレビ今は昔」は、前者は著者が現在籍を置くテレビ通販会社に関するお話ですし、後者はテレビ界全体に対する著者の思いが綴られていて、それぞれうなずけるところはあるのですが、「テレビ番外地」という表題の書に似つかわしい構成要素であると、素直に首肯できるものではありません。
などと思っていたところでこんな一節に出くわし苦笑してしまいました。
「書き出したときは“番外地”発ならではと意気込んでいたものの、終わってみれば並の放送人の並の体験談の域を出ていない。ここまでお付き合いいただいたのにと、恐縮の念にかられます。」(192頁)
この文章が著者の謙遜には聞こえず、冷静な自己分析と反省の弁であるところが悲しい一冊でした。
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テレビ東京元編成局長の回想録。ドラフト会議や箱根駅伝の中継を始めたのがテレビ東京だというのは意外だった。また「タブー」に関する記述では「なるほど」と思わされた。
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関東圏以外の人はピンと来ないかもしれないけど、テレビ東京(12ch)はかなり独特な放送局だ。他の民放が華やかな番組で視聴率稼ぎにしのぎを削るゴールデンタイムに旅番組をしてるかと思いきや、どこの局もニュースをやっている夕方6時に呑気にアニメを放送したりしている。日経新聞色がかなり濃く、朝昼晩と株式ニュースをやり、夜9時以降は硬派な経済もののドキュメンタリーを放送。11時から放送されてい経済ニュース「ワールドビジネス・サテライト」はサラリーマン世代の支持を集めてる。深夜には今や伝説の「ギルガメッシュナイト」などのエロ番組もやってた(最近はかなりおとなしくなっていまったけれど)。まあ、早く言えばちょっと変わり者の、でも/だからこそそんな「テレ東」の番組には固定ファンが多い。
前置きが長くなってしまった。この本はテレ東の前身、東京12チャンネルの時代から番組作りをしてきた著者による回顧録。それはつまりテレ東の歴史そのものでもあるわけで、何故テレ東があれほどまで独自な番組作りができるのかという種明かしでもある。抗議殺到だった元祖お色気番組、グルメ番組のような「新規市場」の開拓、苦肉の策だった12時間ドラマ誕生秘話などなど。当時を知らない僕らの世代でも読めるテレビ局の舞台裏が次々と出てくる。放送禁止歌をめぐるタブーについての部分や、まったく意図しない表現で差別を助長すると抗議を受けた件、米国のドラマを放送したら中東の大使から「プロパガンダだ」と抗議を受けた話など、考えさせられる部分もあり、その内容は単なる回顧話に留まらない。いやぁ、良いモノを読ませていただきました。
著者は独自な番組に挑戦する社風を「番外地精神」と言い表しているけれども、そんなテレ東も視聴率の順位こそ最下位ではあるものの他局と勝負にならないとまではいえない水準になり「番外地」とは言えなくなってきてる。番外地時代を知らない世代が、今後も小回りのきいた独自番組を貫くことが出来るか、民放路線を追従するか。少なくとも、固定ファンが付いている番組を大事にする姿勢がある限り、テレ東がその色を失うことはないだろう。インターネットに押されテレビが地盤沈下を起こしている今、その独自路線が見直される時が必ずやくるんじゃないかと密かに願っているんだが、、、
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2008/12
東京の民放キー局の中でもいつも後塵をはいしてきたテレビ東京。その草創期から現場にいた著者がその頃の苦労話や、その後どのように躍進してきたか語っている。日本のメディア史の1ページとしては貴重な一冊。
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今のテレビの定番の多くが、12チャンネルが金も物も人もないなか頭を絞って作ったものを、金のまかせてパクッたものであることがわかる。タモリ・さんま・たけしなども、海のものとも山のものとも知れないうちはまず小手調べ的に小局に使わせてから、金にあかせてさらっていったのだから、えげつない。
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2008年128冊目です。「金が無ければ、知恵を出せ」という言葉がしっくりくる、東京12チャンネル(現テレビ東京)の創生期を担ったディレクターの著作です。今のテレビ東京を見ると、なんだか隔世の感がありますね。
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重大事発生でも、他局が緊急特別番組を放送するなか、唯一ニュース速報のテロップだけで済ませていたところが好きだった。なにげに長寿番組、多し。
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テレビ東京は、もともと科学技術局というのから始まって、4時間しか放送できなかった。
グルメ放送の元祖はクイズ地球丸かじり。懐かしい。お笑いタレントや有名人の多くが12ちゃんを踏み台にしていった。
日経新聞が株主になって変わったそうだ。経済ニュースやマニアックなものをやっていた。
モーニング娘も12チャンから生まれた。
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[ 内容 ]
カネもモノもヒトもない。
一日四時間しか放送できない時もあった。
視聴率の低さゆえについたあだ名は「番外地」―そんなどん底から、東京12チャンネル(現テレビ東京)が脱出した背景には、逆境を逆手にとった逞しいパイオニア精神があった。
数々の名企画に関与、数々の猛抗議に対処、あるときは松本清張作品のネタ元に、あるときは深夜通販ブームの仕掛け人になった、元名物編成局長が綴る貴重な秘話の数々。
[ 目次 ]
1 “番外地”育ち
2 番外地のパイオニア精神
3 女子プロレスとワールドカップ
4 経済ニュースがお宝になり
5 今村監督とタブー
6 金曜スペシャルと深夜の抗議
7 清張さんの黒い視聴率
8 中東大使からの圧力
9 殴られた音楽賞
10 真夜中のセールスマン
11 テレビ今は昔
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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[2012.その10]東京12チャンネルの奮闘の記録。テレビ東京が他局と勝負するためにどうすればいいのかと知恵を絞っているのは、昔も今も変わらないように思える。個人的には、通販番組や今後のテレビ局の動きについての筆者の考えをもっと知りたかった。
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テレビはあまり見ません。テレビをくだらないと思っているわけではありません。単純に、テレビを見る習慣がないだけです。地元の駅ビルで購入する。期待通りの出来です。読みやすく、そして、著者の魅力が伝わってきます。テレビ東京と言えば、ナンシー関さんを思い出します。ナンシー関さんは、テレビ東京の番組を盛んに取り上げていました。フジ等のメジャーな放送局の番組には冷ややかでしたが、テレビ東京には好意的でした。僕も、テレビ東京が好きでした。特に、自粛報道を繰り返すメジャーな放送局に対して、アニメの再放送を繰り返すこの局が好きでした。制作費削減により、多くのメジャー局はテレビ東京に近づいています。ゴールデンタイムに、クイズ、グルメ、トーク番組全盛です。低コストで、そこそこの視聴率を稼げるこれらの番組は、非常に効率のいい番組です。しかし、ここまで増えると、効率がいいのでしょうか。そんなことを考えてしまいました。