投稿元:
レビューを見る
放浪の床屋という風変わりな職業の男が主人公の連作集。
主人公であるホクトは各短編毎に、時には主役、時にはチョイ役でいろいろとパターンを変えて登場します。
とても上質で落ち着いた味わいがある作品なので、ゆったりした気分で読むことをオススメします。
個人的には「ローストチキン・ダイアリー」が一番かな。
投稿元:
レビューを見る
大好きな本。
装丁は単行本の方が好きかも。
特に好きな話は
「彼女の冬の読書」
「星はみな流れてしまった」
「アルフレッド」
「ローストチキン・ダイアリー」
「水平線を集める男」
寒いのは嫌いなはずなのに小説の中の冷たい空気に触れるのは嫌じゃない。
その冷たさに心が静かになる感じは好きなようだ。
夏の夜に少し涼しい夜風を感じる時に似ている。
この本の(もっと言うと吉田篤弘さんの小説の)魅力はそんなところだと思う。
投稿元:
レビューを見る
12の物語からなる連作短編集です。
床屋の一人息子であったホクトさんは、高校を卒業すると、迷うことなく家業を継ぐために理容の勉強を始めました。その上、貯金まではたいて、研修のためにパリに渡ったのです。ところが、そこであるパントマイミストに魅せられしまい、当初の目的はどこへやら、パントマイムの修行に励んでばかりいました。あるとき、父親が他界したのをきっかけに、帰国して家業の床屋を継ぐことにしたのですが、やがてホクトさんは、もっといろんな人の髪を刈りたいと、ハサミを持って流浪の旅に出たのでした。
この小説の面白味は、ホクトさんがこの12の短編の中で、必ずしも主人公という立場ではなく、あるときは遠い想い出の中の登場人物であったり、またあるときは、作品の中で扱われる本に現れたり、通りすがりの理髪師であったり、ファンタジーの世界に登場したりするところです。また、物語ごとに世界観が違ったり、時間や場所も異なったりするところが、この短編集の魅力です。ホクトさんが、時空を超えた流浪の理髪師になったそのわけはいったい!?
読み終わるのが、もったいなくなるような一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
やっぱり、やさしい。
吉田篤弘さんの文章には、たとえそれが日中のシーンであったとしても、
いつもどこかしら、冬の夜気が感じられる。
そして、ふと見上げるアパルトメントの窓が、オレンジの光で闇に浮き出る情景。
芯まで冷えるような夜に、心が温もる感覚というのかなぁ。
あったかくて、ほこほこする。
大好きです。
投稿元:
レビューを見る
短編集だけど、すべての作品に“ホクトさん”が出てくる。
ホクトさんの穏やかでいて、なんとも言えない雰囲気が大好き。
空が大好きだから、何気なく手に取った本だったけど、大正解だった。
一気に読むんじゃなくて、ゆっくりゆっくり時間をかけて読んだ。
また、心が疲れた時に読みたいな。
多分またゆっくり読むと思う。
図書館で借りた本だったけど、買おう。
投稿元:
レビューを見る
読み終わってからだいぶ経ってしまったので内容があいまいなところもあるけれど…;
放浪の美容師、という設定がまず秀逸。
でも設定が固定されず、主役になったり傍観者になったり、時にはまったくの異世界は舞台になったり。
それそれが繋がっているような繋がっていないような緩さ。
連作の仕方がとても面白いなと思った。
あとやっぱ空気感が好き。
投稿元:
レビューを見る
「何か読みたい!」と思い完全に題名と装丁だけで買ったもの。
買ったのに途中で挫折した初めての本になりました。自分のルールを守って買うべきでした。
ゆったりさなのだろうけど、個人的に苦手な文。読み進めるのが困難で、二話目途中で断念。内容は失念していますが、合わなかった記憶だけ鮮明にある本です。
投稿元:
レビューを見る
放浪の床屋を軸にしたショートストーリー。どれもこれも味わい深い印象。読み返したくなる作品。
空ばかり見ていたのは、床屋のホクトのことかな。
空をみると何かが見えてくるような気がする感覚。
この本はそんな感覚がある。
もう一回読みたいな。うん。
消化しきれてない気がするけどな。
でも全体的な雰囲気もとても好きだし、話のつなぎ方もとても好き。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに惹かれた。また読み直してみたい。彼女の冬の読書、アルフレッド、永き水曜日の休息、リトル・ファンファーレが好き。あとがきも印象的。
投稿元:
レビューを見る
ホクトさんは流しの床屋さん。
ハサミを一つだけ納めて、どこへでも。
日本の古典の世界では、
空ばっかり見てると魂が抜けてっちゃうから気を付けなさいな、っていう考え方があって。
ホクトさんはよく空を見上げたりするもんだから
うっかりページの中に吸い込まれてしまいそうになってるのに気づいたとき、そんなことを思い出した。
空ばっかり眺めて暮らすだけで、充分幸せなのに、
それすらなかなかできないのはどうしてなんだろうな。
ひとつ気になったこと。
どこに行っても天使がついてくる
というより
実は彼の方が天使を追いかけてたんじゃないか?
ということ。
どうですかね。
投稿元:
レビューを見る
短編集。ですが、それぞれのお話が理髪師・ホクトさんで繋がっています。
ゆっくりじっくり、一話ずつ大切に読みたい本です。
「あのさ」
「あきらめるっていうのも、いいもんだよ」
投稿元:
レビューを見る
ひとりの人がいるだけで、こんなにたくさんの物語が生まれる。
それはホクトさんだけのことではなく、きっと誰であっても。
投稿元:
レビューを見る
放浪する床屋をめぐる連作小説。
髪が伸びてしまうことは、置き去りに出来なかった思考を引き連れたようでいて、時間の流れを感じさせるし、それを切って整えるというのはまた最初からはじめるリセットのようなものに感じる。
どの話にも喪失が描かれているが、失いはしても、つながるものはあるといったような感じであった。
それぞれの話はわりと独立している。好きなのは「彼女の冬の読書」と「ローストチキン・ダイアリー」。
おもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
途中なかだるみしてしまいましたが、2話、3話目と最後のリトルファンファーレがよかった。
それにしても主人公の姿がはっきりしないです。
投稿元:
レビューを見る
つむじ風食堂>スープのことばかり>空ばかり見ていた
・筆者の作品は抽象的な表現をしながら、深い哲学的な
思索を含んでいたり、昔の懐かしい香りや質感を運ぶ力があります。
・本作は、読者の評価が高いですが短編どうしのつんがりが
あるようで、ないようなつながり方をしている部分を
もう少し、短編どうしをつなげるか、もしくは割り切って
別個の短編集とするか、どちらかにしたほうが、よりはっきりと
伝わってくる楽しめる作品になったのではないかと思います。
・そういう意味でも「つむじ風食堂の夜」のほうが個人的に気にいっています。