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紙の本
イタリアに来て読みたい一冊
2005/05/22 06:14
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:RinMusic - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマの中心と銘打たれているのはヴェネツィア広場である。広いローマの心臓を名乗るほどのヴェネツィア、残念ながら私はまだ訪れていないが、イタリアの長い歴史においてまさしく水平線上に雲一つない時代を謳歌し、地中海世界を庭としていたこともある。このエッセイはヴェネツィアの盛衰、むしろ斜陽の中にある種のノスタルジーを持って書かれているような印象をまず受ける。フィレンツェでメディチ家(ルネサンス期)の華ある歴史が、権謀と暗殺で塗られたものと知ったが、ヴェネツィアは諜報というのがどうやら大きなキーワードとなっているようだ。そして塩野女史も諜報員のごとく、このエッセイでオスマン帝国の後宮を生々しく描いている。
歴史を描く女流作家を挙げよと言われると、知るところだけでも五指に余る名前が浮かぶが、やはり塩野女史はその中でも異色であろう。女流作家は女を描きたがる。そして女の性を語りたがる。それはそれでよいことだが、歴史を表で動かしているのは常に男であり、男をうまく描けていない物語は、どことなく力と動きに乏しく、雄々しい臨場感に欠いてしまう。海は男のロマンである。塩野女史は男を描く歴史作家である。そして私たちは女史の作品をイタリアに来て読むべきだ。例えばコーヒーのこと、ワインのこと、城塞のこと、娼婦のこと、カトリックについて、ゲットーについて、イタリアの石畳を歩けばきっと共通体験することができる。このエッセイに限っては、『海の都の物語』と併せて読まれるべし。
紙の本
読み応えのある蘊蓄に富んだエッセイ集 「イタリア!・・・なるほどイタリア!」と薫香が漂う
2023/09/03 20:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ、ヴェネツィアなどのイタリア文化とそこに暮らした人々の思想や人生観などエッセー風にまとめられた短編が30話収められている。一話一話に「なるほど」と思わせるネタが山盛りであり、また各話最後には風刺的な落ちまでついていて愉しく読めた。司馬遼太郎先生の書き方、文体を彷彿とさせる。
内容で特に興味を惹かれたのは、中世には大きくて重く豪華なのが当たり前の書籍であったが、グーテンベルクによる印刷術登場以降、持ち運びに便利な文庫本が発明されていく過程である。その中ではやたらと過剰な飾りのついた中世の羽根文字が簡略化され、今日われわれが見慣れている「イタリック体」という文字が発明された件である。読みながら何度も「なるほど そういう歴史があったのか」と頷いた・
巻末の佐々淳行氏の解説も、もと警察官僚がお書きになった堅苦しさはなく、簡潔に内容がまとめられていて読み応えがあった。これだけでも本書の31章めを構成しそうに充実していた。
紙の本
気軽にかつ読み応えあり
2002/07/21 10:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベリ太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは出版社のPR誌に連載した30の随筆風の小編を、
1冊にまとめ上げたものである。
そのような性質上、興味を引く章から拾い読みも楽しい。
一般の読者が入りやすいように、
興味を引き付けるような出だしから始まる構成は巧みである。
そしてこの内容に入っていくとなるほどと思わせるもの、
初耳でそんなこともあったのかと驚かせること、
しかしながら、中身は専門家の分野に属することもあって、
しっかりと厚みがあって読み応えがある。
これは現代一般でイメージするエッセイではないだろう。
もちろん研究というものとも違う。
ふと思い出したのは江戸後期に流行した考証随筆の風がある。
意外なところに伝統を見出した思いだ。
紙の本
イタリア
2019/11/25 20:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
読むだけで知的な良い女になれるような気がします。トルコのハーレムの話など、興味深い話しが盛沢山。読み応えがあります。