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今のイタリアの長靴の形の前側の一番上がジェノヴァで、後ろ側の一番上がヴェネツィア。前側のジェノヴァの少し南にピサ、それよりだいぶ南、足の甲のあたりにアマルフィがあった。この4つの海洋通商国家のうち、まずアマルフィ、次に海洋国家としてはピサが滅亡した。いずれも今では小さな町だが、それに似合わないほど華麗な教会などがあるそうだ。後に残ったジェノヴァとヴェネツィアのライバル関係がおもしろい。都市同士のこれほど性格の違いはこの物語を通して語られるが、歴史上のいろいろな出来事は年表でも作って整理しないととても頭に残らない。1冊読み終えたときにはすでに忘れている。。。
この巻の最後はヴェネツィアの女性について。一般に政治的社会的な力は持っていなかったようで残念だが、その中で航海中にトルコの海賊に襲われてスルタンに奴隷として献上されたチェチリアという少女がいる。この少女が長じてスルタンの母となり、国の機密情報を知る立場になって、ヴェネツィアにその情報を流していたという。1000年という長い歴史を語りつつ、こういう細かいところまで描写するところが想像をかきたてる。また、この巻には当時の衣装などの絵がたくさん掲載されていて興味深い。
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中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。
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ベネツィアと他の貿易都市国家、特にジェノヴァとの争いについて。
また、ベネツィアにおける女性の活躍の有無について。
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1、2と読み地中海の覇権を巡る海洋都市国家の争いにストーリーは移る。ヴェネツィアと最大のライヴァル、ジェノヴァの争いだ。前半のクライマックスといえ、久しぶりに手に汗を握りながら本を読んだ。
両国のカラーの鮮明な違いから入り、個人主義で天才型の船乗りが多いジェノヴァの方がこういうケースでは主人公にしやすい。だがヴェネツィアも集団で国家のために尽くしていきながら、四面楚歌でおよいよ危うしという場面でカルロ・ゼンとベットール・ピサーニの登場で救われる。
お互いに友好国を巻き込み、好条件で寝返らせ、地中海の勢力均衡の中で生き残りを図る。最後はそんな終わり方?と思わなくもないが、それも含めて印象深かった。
ヴェネツィアの女、は軽く読み流そうとも思っていたがいい意味で期待外れ。オスマントルコに嫁いだチェチリアは冷戦沈着である意味ヴェネツィアにとって邪魔な存在だったトルコ宰相の暗殺という形でヴェネツィアを支援することになる。
ヴェネツィアの女性たちがいてこそあの都市の豊かな文化を支えていたのだということも発見。
なお途中に女性の話から何度か脱線して、同じルネサンスの代表的な都市フィレンツェとの比較はボーナストラックのような感覚。お得感をもって4に移ることができる。
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ヴェネチアが地中海の制海権を賭けて、アマルフィ、ピザ、ジェノバというイタリア商船旗のライバルたちを凌駕していく巻。特にジェノバには一時は瀕死の状態まで追い込まれる。そんな中、二人の英雄が現れる。ベットール・ピサーニとカルロ・ゼン。人気、規律と奔放な極端な二人が最後はジェノバをキオッジアの戦いで破り形勢逆転。その後、ジェノバはスペイン領になり、新たなライバルのオスマントルコとのレパントの海戦へと続いていく。