紙の本
横山秀夫らしい工夫が随所に見えるデビュー作品
2009/06/14 21:30
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説は、横山秀夫が作家として初めて世に問うたもので、第一作に相当する作品である。この小説で『サントリーミステリー大賞』の佳作に選ばれて、文壇にデビューしたわけである。
それだけに自信に満ちた長編である。やや冗長な面もなくはないが、十分に楽しめた。冗長な面とは、極端に言うと作品に登場する人物が平等に役割を持っており、めりはりが感じられないので、読んでいても主人公が誰だったか思い出せず、存在感が欠けるというのがその一つであろうと思う。
ストーリーと舞台設定は、警察の犯罪捜査に関わるものである。15年前に発生した事件で、高校の女性教師が自殺したが、どこからか不明だが、実は殺人事件だったという通報があった。当時の関係者、高校生も15年が経てば30歳過ぎのおじさんである。
そのおじさんにも15年間の人生の垢がいろいろと付着している。そこで取調が始まるわけだが、当時の高校生の取調べから判明する事実から、事件の実態を浮き彫りにしていくというのが骨組みになる。
高校生たちは別途の企みで職員室へ侵入を試みたが、そこに自殺騒動が勃発して企み事態が明るみに出そうになったが、当時はそれで丸くおさまってしまったのである。そこからの展開がさすがと思わせるストーリー構成で、読者を楽しませてくれる。
ストーリーの開示も一通りではなく、工夫を凝らしている。15年前という過去の事件だけに、現在と過去の行き来によって、複雑さを増してくるので、展開も複雑になる。ましてや、複数人の取調べから順次事実が判明するわけで、これを正確に記憶する読者も大変である。その辺りの読者を飽きさせない工夫は、横山のデビュー作品からすでに出ている。
現在発表されている横山作品の片鱗が垣間見えているデビュー作品である。ちなみにこれは1991年(平成3年)の作品である。
紙の本
青春の過ち
2017/10/28 18:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
平凡な転落事故に隠されている、驚くべき真実が印象深かったです。3人の高校生のその後の運命にも引き込まれていきます。
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レオボー - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生3人の青春とともに、三億円事件まで絡んでいて、最後までどうなるんだろうと思いながら一気に読めて、すごく面白かった。
投稿元:
レビューを見る
2009夏帰省の道中で一気に読み終わる。大事件へのリンクは不要な気もするが、面白いことにはかわりない。
ただ、二人の人生を狂わして、男って欲って、やだなと思った。
投稿元:
レビューを見る
横山作品には珍しい推理小説。不良少年の悪巧みに三億円事件を絡め、作者得意の警察小説テイストを鏤めた一粒で二度美味しい作品。さり気ない表現が重要な伏線となっているが、一読目で事件の全容を推理するのは無理だった。完全な傍観者として作品を楽しむこともでき、単なるエンターテイメント小説としても質が高い。しかし、二読目では、やや強引な展開や、登場人物の心理状態がよく分からない箇所もあり、全体的に粗削りな印象を受けた。と言っても、いつの間にか作品世界に引き込まれてしまう、心理描写とカラクリの技巧は流石としか言いようがない。
投稿元:
レビューを見る
十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。
投稿元:
レビューを見る
2009年4月23日読了。
横山秀夫のデビュー作。最初青春小説っぽいカンジがしてダメかと思ったが、なんのなんの、とても優れた作品だった。ここで終わりじゃないのか?というところでのどんでん返し、また、後味も良かった。警察小説はやめられない。
投稿元:
レビューを見る
2009/07/07〜2009/07/14
初、横山氏の作品。友だちの薦めで。
おもしろかったー!
終盤は二転三転四転五転ってかんじでした。
投稿元:
レビューを見る
「時効直前」という限られた時間の中で 15年前の事件を再捜査。
「海外にいる間は時効は進行しない。」という「第三の時効」で
使われた条文もでもでてきたり(本編の方が古いが)
取り巻く設定も、色々な事情が混ざりあっていて面白かったような。
・・・けど、トリックの意味が複雑で
よくわからなかったのも多い(←自分の理解力が足りないだけ)
ちょっと、無理やり感があり、ご都合主義な点もまま見受けられますが
最後にうまくおさめて、どんでん返しらしきものもあり、良かったのかな・・・
投稿元:
レビューを見る
15年前に自殺として処理された事件な実は殺人?とすると時効まであと1日。
あれは殺人だったのか執念の取り調べ、そこに絡む三億円事件、
さらに結末ですべてが納得のいく形で収束するみごとさ。
著者のデビュー作品とのことですが、作りこまれたストーリー、
みごとな伏線、登場人物の個性、裏に隠された各々の想いなどが秀逸。
横山秀夫さんの作品はどれも素晴らしいけれど、これはその中でも
かなり秀逸な作品の一つだと思う。
投稿元:
レビューを見る
そこそこ楽しめるミステリー。
終わった、と思ったら次があり、
また、終わったと思ったら次があった。
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった。その一言。文庫化にあたり加筆したとのことでしたが、ハードを読んでいないため言及できませんが、文庫もとても面白かったです。
映像化もされている様子。未見。
時効寸前の2つの事件をきっかけに、縦横無尽にからみあっていく人間関係、そしてラストにまっている極上のカタルシス。
横山さんが元記者だったということも関係あるかと思いますが、著書のどれをとっても、根底にあるのは「人」に対する愛だと感じます。
投稿元:
レビューを見る
自殺だと思われていた女教師の死が実は殺人だったとの情報により、殺人罪の時効前日から動き出す警察での物語。呼ばれたのは当時不良であった3人組の一人。当時と現在のシーンの使い分けが面白い。なんだか自分の高校時代を思い出してしまうところもあり、引き込まれた作品。ラストのどんでん返しには驚き。ちゃんと伏線が回収されていくところは気持ちいい。
デビュー作をリメイクした作品とのことですが、最近の作風はちょっと違っていてこれもまたおもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
横山秀夫は旦那さんがよく買うので借りてよく読む。
結構どんでん返し風(なんじゃそりゃ)
通勤にはぴったりですな。
投稿元:
レビューを見る
2009年05月 3/41
序盤は二つの事件の絡み具合が見えづらかったり、それぞれの登場人物の把握が大変だったりでのめりこみづらかった。
後半になるにつれて事件の全容が見え始め、一気におもしろくなる。