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みんなのレビュー15件

みんなの評価3.7

評価内訳

15 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

たしかに裁判員制度というものがよく理解できます。殺人事件を扱わなかったことは夏樹の見識ではないか、そう思いました。それにしても、夏樹は時代の動きに敏感だなあ、とあらためて感心・・・

2009/10/13 19:44

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この間、実家で長らく封印していた箱から本を出す作業をしていたんですが、色々出てきました。例えば夏樹静子。『見知らぬわが子』の単行本初版が出てきました。推理作家協会賞受賞作の『蒸発』、『喪失』、『目撃』、映画で話題になった『Wの悲劇』といったカッパノベルズの、これまた初版本。『遥かな坂』なんていうのもありました。

で、分かったんですが夏樹は時流に敏感です。いや、社会派と呼ばれる作家は松本清張を始め皆さん、常に「今」を意識して、世の中の最新の流れを小説に取り入れてきました。中でも夏樹は、臓器移植、体外受精、クローンにも取り組んだはず。そして今回は裁判員制度。小説が生残る方法は二つ。時代に即するか、時代を拒否するか。夏樹は前者を選んだ代表的作家の一人と言えるでしょう。

で、そのお手並みは最新作でどう披露されるのでしょうか。ちなみに、今までの夏樹本のなかでもこの本のデザインは群を抜いています。特にカバーのシンプルな背は、沈み込んだ地の色と相俟って見ているだけで心が休まります。また、背とは全く異なる印象を与える写真を使ったカバー表ですが、その静謐さはミケランジェロのピエタ像を思わせます。装幀は関口信介、写真は Melissa Hayden/Getty Images です。


まずは出版社の案内から入りましょう。
                *
今年5月から始まる裁判員制度。多くの法曹関係者を徹底取材し、どこよりもこの制度での法廷をリアルに描く、リーガル・サスペンス!

広告代理店で働くシングルマザーの千晶は、大切な会議に出席するため、喘息(ぜんそく)の発作が起きた子供を家に残して出社し、死なせてしまう。検察は千晶を「保護責任者遺棄致死」で起訴。市民から選ばれた裁判員は、彼女をどのように裁くか? 徹底した取材の末に書かれた、誰よりもリアルな書下ろし法廷小説。ご注目下さい!(ON)
                *
帯の言葉は
  *
裁くのは
あなた。

裁判員法廷
子どもを置き去りにした結果、
死なせてしまった
キャリアウーマン。
つぎつぎに明かされる
思わぬ新事実。
  *
です。

裁かれるのは種本千晶、37歳のシングルマザー。被告となった時点で会社を辞めさせられたのでしょう、本では元会社員と成っています。元の勤務先は大手広告代理店〈アドオン〉で、事件までの彼女の提案力は社内で高く評価され、役員候補との噂も高い実力者でした。それゆえに仕事も多忙を極めます。

彼女が忙殺されるのは単に職種ゆえだけではありません。26歳の時、6つ年上の種本悟と結婚しましたが。2年前に夫の悟を交通事故で亡くしています。そのとき夫は41歳、働き盛り、これからという時の死でした。そして残されたのが彼女と、一人息子の徹です。徹が普通に健康であれば母子家庭の苦しさはあっても、それなりの大変さで済んでいたかもしれません。

でも、少年は病弱でした。小児喘息で苦しんでいたのです。緊急入院も何度かしていますが、夫が生きていた間は、二人が協力することで少年の面倒をみることが出来ました。義母の薫がいるとはいえ、一緒に暮らしているわけではありません。出来る人間のところに仕事が集中するのは世の習い。そして役員昇進の道も見え始めた、そんな時に事故が起きたのです。

喘息の発作の連絡を受けた千晶は、息子を保育園に迎えに行き、家で少年を休ませ病院に連絡を取った上で、自分で吸入器を扱えるようになった少年を家に残し、再び出社します。大切なクライアントへのプレゼンは、先方から予想以外の修正要求がだされ、その手配で彼女の帰宅は大幅に遅れます。悲劇はその間に起きていました。喘息を悪化させた少年は発作で喉を詰まらせ死んでいたのです。

千晶は保護責任者遺棄致死、刑法219条で起訴されます。彼女が仕事で会社に戻ったことが保護責任者遺棄致死にあたるのか、喘息の息子に途中で電話連絡をしながら少年がそれに出ないことを「子どもは眠っている」と判断し帰ろうとしなかったことが保護責任者遺棄致死になるのか、裁判員に選ばれた六人はそれを判断をしなければなりません。

六人とは花岡、三角の女性二人と北村、和久田、山口、藤の男性四人、そして万一誰かが裁判に参加できなくなった時のための裁判員候補として福実がいます。物語の語り手はその折川福実です。57歳の専業主婦である彼女の夫は大学でギリシア哲学を教える助教授です。福実は控えの裁判員候補として、裁判の様子を一歩引いた立場で見ていくのですが・・・。

ちなみにタイトルの「てのひらのメモ」は、気になったことを忘れないようにと福実が用紙かわりに自分のてのひらにメモしたことによります。私も看護婦時代、忘れてはいけないことを掌や腕にサインペンで書いたもので、それを思い出しました。ちなみに、我が家の長女は大学生ですが、自分の手にメモをすることがあります。勿論、カンニングのためではなくて、親譲りの物忘れを防ぐためです。

それはともかく、ミステリの醍醐味を味わう、というよりは裁判と言うものがどういうものであるか、裁判員というものがどういうものであるかを理解するための小説としては、大変よく出来ているといえるでしょう。殺人、という扇情的なものではなく少年の病死を扱ったというのも、裁判を理解するには相応しかったと言えそうです。裁判と聞いただけで引き気味の女性には最適の一冊といえるでしょう。他にも嫁姑問題、恋愛、医療といったことが絡んで話自体もそれなりに面白いものです。

最後は目次の写し。

第一章 プラス1
第二章 ブルーの法服
第三章 新事実
第四章 無言の証言

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今年の夏から裁判員制度による裁判が始まり衆目を集めている。『てのひらのメモ』は裁判員に選ばれた57歳の専業主婦・折川福美の視線で語られるリーガルサスペンスとして成功している作品なのだが、もし裁判員になったらどんなことになるのだろうかと考えている多くの人にとって、実際に役立ちそうな要点がいくつも盛り込まれている格好の裁判員制度入門書でもある。

2009/11/29 18:10

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「広告代理店で働くシングルマザーの種本千晶は、社内でも将来を有望視されているディレクターだった。彼女には喘息で苦しむ保育園児がいたが、大切な会議に出席するために子供を家に置いて出社し、死なせてしまう。子供に傷などもあり、検察は千晶を『保護責任者遺棄致死罪』で起訴。市民から選ばれた裁判員たちは、彼女をどのように裁くか?」

老年者や幼児、身体障害者や病者などを保護する責任を負うものが放置など生存に必要な保護責任を尽くさないときに遺棄の罪が生じ、それが原因で死亡した時に致死の罪が成立する。

わが子を炎天下の車内に放置してパチンコに夢中になっている間に死なせたとか、男と何日も遊びまくって留守中に乳児が死んでいたとかひどい親がいるもんだと誰もが思う事件が後を絶たない。これは犯罪でしょうね。
某芸能人が合成麻薬で遊んでいて一緒にいた女性が死んだ。放置した某芸能人をこの罪で起訴できるかどうかと当局が検討しているという話は聴いたことがある。「検討している」ということはなかなか立件が難しいということだろう。この小説を読むとその難しいところが理解できる。
高齢の母をひとり暮らしにさせている私も他人事ではない。在宅介護でヘルパーさんたちのお世話になっているのだが真冬の真夜中玄関先で転倒し数時間気を失っていたところを明け方たまたまご近所の方が発見しどうにか命を取り留めたことがある。最悪の条件がいくつも重なればどんなことになるのだろうか。

種本千晶のケースは日常的に起こりうるケースであることから自分の周囲に思い当たることはありそうだし、あるいはうっかりすると自分自身が加害者になりかねない人たちもいる。なるほどこの物語には強い関心が集まるはずだ。

裁判員制度というのは個々の裁判員の生活感覚で事件を見つめることがひとつのポイントであるとされている………ようだ。
裁判員である福美は子育ての苦労、姑とのいさかい、夫と充分とはいえないコミュニケーション、これまでの人生で得た良識などの経験に照らしながら種本千晶を見つめていく。他の裁判員たちも同様で、外国ものの陪審員ミステリーにあるような悪意の人は登場しない。そして裁判員の立場からは、千晶の周辺を述べる証人たちはどう見えたか。そこには千晶に不利な証言をするものも当然に登場する。険悪な仲の姑、子供のかかりつけの医師、千晶の職場の上司、千晶の愛人などだが、しかしそれぞれの立場を裁判員あるいは読者が理解すれば、故意に真実を曲げて証言するものはいなかったということになる。

争点は裁判長によって
「千晶が自宅を出た時点と自宅に電話した時点で、子が喘息の発作により生命の危機があると認識していたかどうかにかかる」
と絞り込まれている。
「認識」とは雲をつかむような他人の心のなかの問題である。認識があったら犯罪になる。なければ単なる事故だという。この場合、検事側から認識があったことを立証できなければ無罪になる。裁判員の役割は検事がこれを立証できたかどうか見定めるところにある。不透明で微妙な状況を裁判員がどう判断するかでこれからの千晶の人生は大きく左右されることになるのだ。裁判員は、いや読者はこのぞっとするような責任の重圧をいやおうなく受け止めることになる。

「そして読者の貴方は、有罪無罪どちらに手をあげるか?」

と出版社の広告で言われるまでもない。

私なら絶対無罪に手をあげると、自分が裁判員になったかと錯覚するぐらい、臨場感をもって読まされた。
よくあるいろいろな事象を女性らしい感覚で述べる平易な文体には著者の円熟味が感じられる。
そしてこのただものではない緊迫感、リアル感に読者をのめりこませる作風に今の夏樹静子の真骨頂がある。

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2009/08/21 13:53

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