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前半は読者に理解させることをはなから放棄したような対談で、中盤から予想の内容についての解説になるが、ボリュームが少ないのでこれ1冊ではほとんどわからないと思う。後半からは作者の語りが始まり、全体的に、何となくの雰囲気しか伝わってこない。「素数に憑かれた人たち」のパワフルな「伝えようとするエネルギー」を日本の学者(あるいは編集者、ライター)も見習って欲しい。
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「愛すべきバカ」という賛辞が仮にあるとして、まぁ実際あるんだけど、それにふさわしい存在はたくさんあるだろうけど、少なくとも私の中ではその賛辞に最もふさわしい存在は彼らしかあり得ない。
それは数学者。
こんな言葉をご存知か。
地球の100億倍の大きさの惑星に
100億年に一度蝶が止まり
花の蜜を吸って飛んでいく
蝶のはばたきで惑星が少しずつ削れ
すっかりなくなってしまったとき
永遠はまだ始まってもいない
ググってもなかったぞ。
だいぶ前になにかの本で読んだ言葉(少しアレンジ)だけど、この本を読んでいてなんとなく思い出した。
まぁとにかく無限というのは恐ろしいものですよ。
本気で考えてると気が狂いそうになる。
だからリーマン予想がスーパーコンピューターの演算によりかなり巨大な素数まで成り立っていることがわかっても、素数全体に対しては始まりの「は」すらも始まっていない。始まっていないことすらも始まっていない。
よってこのアプローチは真を証明するという意味では。
♪なんの意味もない!
そんな素数に対する謎は紀元前2000年くらいまえから既に始まっていた。
フェルマー予想を解くのに350年もかかった。
リーマン予想は4000年の謎を解くかもしれない。
しかし、解けたからなんなのか? なにか役に立つのか?
もしかしたら、なんの意味もない!のかもしれないけど、数学者たちは意味がなくてもまったく気にしないだろう。
その謎を解くこと、そのものに意味があるのだから。
そんなことに人類史上最高の英知たちが挑み続けているのだから、やはり最高に愛すべきバカとしか言いようがない。
さて、この本であるが、いちおう数学科卒業の私からすると、全然わかんない。笑
小学三年生に微分積分を教えているようなものだ。ギャップがありすぎる。
私がバカなのか、著者の説明が下手なのかの判断は放棄しよう。
少なくとも、数学に馴染みのない人が読んでもまったく面白くないことは断言できる。笑
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非常に高度なテーマだが、1章と2章の間に☆章を設けて、リーマン予想に近づくための基礎知識を10ステップで解説してくれる。基礎といっても素数、複素数、ゼータ関数といった超ヘビーなものばかりだが。200頁弱の薄い本に、数学の過去と未来の課題がぎっしりと詰まっていて読みごたえ十分。
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ううーむ、黒川氏の本は前にも読んだがそれと同じでムズカシイ・・・。
この本は面白い構成になっていて、
・対談形式の2章と、
・リーマン予想のこれまでと現在を説明する1章と、
・数学者である黒川氏のリーマン予想にまつわる「エッセイ」2章
からなっている。
一番厄介だったのが、最初の対談だったのだが、
抽象化に抽象化を進めてきた20世紀の数学の話になると、
もうお話として読むしかない。理解もできていない。
へー、という感想しかない。
まあ、それは本を作る時点である程度予想されていたので
こういう構成にしたのかな、ということで
絶対数学F1については4%くらいしか理解できなかったが、
それでも面白いと思いながら読むことはできた。
ただ数学ってぶっちゃけ現代の哲学だと思うんだけど、
そこからは人生に役立つ「物語」も「倫理」ももたらされることはない。
求めれば求める程、人間がいかに宇宙の副産物に過ぎないかという事を
思い知らされるという、何ともはやな学問だなあとも思った。
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解析手続というのがあまり理解できなかったのと、加減乗除は全て乗法に収束するのでは無いかという著者の予想が印象的だった。
数学に対して完全素人であることをわきまえた上で、想像するに、数は直線的であると言うよりはむしろ螺旋的、楕円的ではないかと思うのである。リーマン予想で言う自明で無いゼロ点が複素数平面上の1/2上の実部に並ぶというのは離散的な数が複素数空間上を何らかの規則的な螺旋乃至楕円曲線状を構成し、素数が因数を3つ以上持たないが故に複素数線上にしか着陸できないことを暗示しているのでは無いかと思うのである。考えれば、オイラーの公式にしろフェルマーの定理にしろ数論に絡む問題というのはなんかしらの円、楕円、螺旋が関わっていると感じるのである。
つまり、人間が飛行機に乗る限りにおいては鳥(素数以外)と同じように空間を旅行できるが、着地においては(3つ以上の因数のある)鳥のように自由に着地点を選べるわけで無く空港(1/2の実部上)にしか着陸できないということなのではないかと思うのである。
そう考えると、因数の数によって複素数平面上の着地点がどう変化するかが気になるが、そんなことは当然自分には手に負えないのである。
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リーマン予想の権威、東工大の黒川教授と、経済学者にして数学エッセイスト、帝京大学教授の小島 寛之さんの共著。
読みやすく良かったです。特に小島教授の書いた、リーマン予想まであと10歩、という章は45ページくらいでリーマン予想に関して多少数式を交え良くまとまっておりとても良かったです。私は数学科出身なのでもちろんリーマン予想は耳にしていましたが、何かとっつきにくくなじめませんでした。どうもゼータ関数と言うのが何か気持ち悪くて。ゼータ関数は一部の数学者を魅了してやまないようですがピンときていませんでした。この章はまとまっていて良かったです。
リーマン予想が正しければ素数が非常に美しい分布をする、ということになるそうです。
最近はリーマン予想が数論幾何や物理学と結びついて盛り上がっているようですね。しかしながら黒川先生によればリーマン予想は解決にはまだまだ遠いようですね。黒川先生はこれを解くこと自体より、解くために進化する数学の枠組みに期待しているところがあるようです。