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紙の本

時の過ぎ行くままに……

2010/10/25 16:48

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

不破の旦那も、お文姐さんも、ぎっくり腰で、按摩に診て貰っても治らず、骨接ぎに行って、治して貰う。

> 「中腰の格好がいけません。三十を過ぎたら、若い頃のように無理はできませんぞ」

読んでいる私にも骨身に沁み通る言葉だ……。

骨接ぎの弟子が、不破龍之進たちが追っている本所無頼派の、ひとりらしい。本所無頼派には武家の若者と町人の若者とが混じっているが、町人の若者のほうが、仲間を守る仁義を通し、武家の若者の方が、情け容赦なく仲間を切り捨てる。不破龍之進たち町方は、町人は捕えることができるが、武家は、捕えることができない。武家の仲間に瀕死の重傷を負わされた、骨接ぎの弟子は、龍之進たちに捕えられて、看取られて、逝った。

骨接ぎの弟子としては、患者に対する態度も親切で腕前も良さそうのに。惜しい若者が、なぜと思うようなばかなことを仕出かして、あたら命を縮めたのを、私は残念に思う。

髪結いの伊三次や不破や緑川の旦那たちは、若い見習い同心たちの成長を見守り、時に助言する。伊三次の弟子の九兵衛と、不破龍之進とは、伊三次と友之進のような、良き相棒として御用の勤めを果たせるようになりたいと、お互いに思っているらしい。なかなか、ほほえましい。

緑川の息子の鉈五郎は、皮肉屋だ。龍之進のほうが、正直で素直だ。彼らより一つか二つ年下の、十四歳の娘お梅が、おおぜいの女達と一緒に捕われて来る。女達は、公認の吉原以外の場所で売春をしていた咎で挙げられたのだが、十四歳のお梅は、ただ、女中をしていただけだ。ところが彼女は、自らも売春をしていたと言い張り、掟に従って吉原へ送ってほしい、と言う。彼女が寝る間もなくこきつかわれていたことを、龍之進は知っている。奉行所の人々も同情して、なんとか彼女を救う方法を考えている。だが、腐った役人もいる。弱い立場の少女を欲望の捌け口にしようとする、定年間際の男だ。鉈五郎は、処世の知恵から、ほうっておけ、という。龍之進は、一度は放置しておこうとしたが、思い直して、お梅を救い出す。鉈五郎め! 定年間際のヒヒ爺いも憎らしいが、まだ、「うら若い」のに、いかにも世の中をわかったふうな顔をして不正を見逃そうとするこいつも、憎たらしい!

龍之進に救い出された少女お梅は、なんとか、ましな境遇で女中奉公ができるようになった。少し、ほっとする。

親がどうしようもなくダメになってしまって、たぶん、もともとはそんなにダメでもなかったのに、世の中の理不尽さに苦杯を舐めさせられるうちにそうなったのではないかと、私などは想像してしまうが、それにしたって、その皺寄せが、少女達を苦界に追い遣るのは、やりきれない。

伊三次とお文の幼い息子の伊与太と、不破友之進といなみの幼い娘の茜を、さらった娘、およしも、そうだ。およしは、父親から、岡場所に売られたくなければ人攫いを手伝うようにと、命じられたのだ。人攫いの元締めは、なんと、西国の、さる藩らしい。大名が元締めとは……

おおぜいの幼児が乗せられた船を、伊三次、友之進、龍之進、鉈五郎たちが、瀬戸際で摘発し、こどもたちを救い出す。

人攫いたちは罰せられ、およしの父親も、死罪は免れない。およしは、今で言う、保護観察処分みたいなものになる。

伊与太は、およしが人攫いだったなどとはわからない。伊三次とお文と一緒にお祭に行って、およしを見つけると、声を上げて呼ぶ。およしは、両手を合わせるような格好をする。伊三次とお文から、およしはお仕事だよ、と言われて、おとなしくききわける、伊与太。

およしが人攫いの手伝いをしたことについて、私は、腹が立って仕方がないが、およしや、お梅のような娘達が、親に売り飛ばされることが、なんとしても、なんとしても、やりきれない。

やりきれない話が多いなかで、唯一、楽しいのは、伊与太と茜の成長だ。前作『君を乗せる舟』では、一方的に茜にいじめられていた伊与太が、今作『雨を見たか』では、それなりにたくましくなっているではないか。

まず、茜にいじめられても一向に懲りたふうもなく、茜が遊んでいるところに喜んで出かけて行って一緒に走り回るのもかわいい。茜のほうが、伊与太よりも、ずっと手も足も口も達者で、それだけに、おもしろい遊びができる姐御と、慕って(?!)いるのだろう。

伊与太はいつのまにか茜を「お嬢」と呼ぶようになっている。小さな移植ごてで泥の山を作って遊んでいて、茜が来ると、気前良く移植ごてを貸してやり、泥の山を作らせてあげる。でも、茜が家に移植ごてを持って帰りたいようなそぶりを見せると、さっさと取り上げる。おお!やられっぱなしではなくなっている!

逆に、伊与太のほうが、母親のお文から、意地悪だねえ、と言われる始末。返事をしないでいると、都合の悪いことには知らないふりだ、とまた、お文が言う。伊与太、

> 「ごめんよ、かんべんよ」

と、歌うように言う。ちゃんと、言うこと、知っとる!

小さいながらも、伊与太も、ちゃんと、知恵もついてきているじゃないか。これは、先が楽しみだ。並外れておてんばで親泣かせの茜と一緒に、どんな少年少女に育って行くのだろう……!?

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雨を見たか

2021/06/25 06:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukko - この投稿者のレビュー一覧を見る

伊三次捕物余話 第7弾

前巻から伊三次の捕物話より次世代龍之進達の話が多くなり
ちょっと寂しく感じていたら、巻末の文庫のためのあとがきで宇江佐真理さんが
「伊三次とお文の出番が少ないとご不満の読者もいらっしゃるだろうが、どうぞ、今しばらくは龍之進の成長を温かく見守ってくださるよう・・・・」
と書かれていました。
読者の不満も織り込み済みだったのですね。


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2009/08/25 22:46

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